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デビュー前に行われた唯一のインタビューでも、のちのライバルとなるポップスター達に辛辣な言葉を残しているノエル・ギャラガー。今回、インタビュアーとしてニール・マコーミックが、栄光、金、音楽業界、そしてトラブルメーカーの弟について聞き出すことに成功した。

これまでに4つのBrit Awardsを受賞しているノエル・ギャラガーだが、その賞をどこに置いたかも覚えていないという。

「賞を受け取った後ってのは、たいてい有頂天だろ。そこらへんにいる連中に適当にあげちゃうんだよな。ウズラの卵を持ってきたウェイターとかに。『ほら、やるよ』」。

来週水曜日に行われるBrit Awards 2007で、OASISは、Outstanding Achievement Awardを受賞する予定だ。授賞式前に行われたのが唯一このインタビューであったのだが、バンドリーダーであるノエルは、模範的なスポークスマンではなかった。

「ただのTV番組だろ?大手レコード会社同士の小競り合いさ。授賞式は好きだぜ。だから最高の夜になるだろうけど、式自体何の意味もないね」。

「オスカーをもらって次回は4000万ドルの出演オファーが来るって話じゃない。OASISのギグチケットが突然高騰することはないんだ。それもなかなか良いアイディアだけどな!」。

彼が受賞を承諾したのも、あくまで現実を見据えた上でのことだ。

「毎年聞いてくるんだよ。だから今30代でもらっとくか、それともPink Floydみたいなザマになるまで待つか?ってことさ」。

「Duran DuranやEurythmics、ボブ・ゲルドフ、Bee Geesのことは尊敬しているけど、賞を取った当時はもう最盛期をだいぶ過ぎていた。俺達は昨年に2枚のシングルでNo.1になってるし、新人とも対等に勝負してる。それに外見もまだまだイケてるだろ」。

「尊敬している」という言葉を発しながらも、そう思ってるようには到底思えない様子のノエルを、私は面白く眺めていた。さらに、往年のスパーリングパートナーであるトム・ヨークに対する批判の一手も相変わらずだ。

「トム・ヨークがピアノの前に座って『もう駄目だ』とか1時間半歌ってるだろ。そんなことは俺達もわかってんだ、ミスター・ヨーク。俺達の知らないことを歌ってくれよ。あんたがどれだけ『僕達は終わりだ』とかうじうじやっても、結局みんなが聞きたいのはCreepなんだよ。あきらめな」。

友人ですら、ノエルのネタになることを逃れることは出来ない。

「U2も同じだ。Oneを演奏しろ。アフリカのことは黙っとけ」。

家族と言えば。

「最近リアムは、髪が長すぎるよな。キチガイみたいだろ、まあそれも大きく外れちゃいないけど。あいつは今もまだ馬鹿な青二才のままなんだよ。一日23時間は自分のことを喋ってるしな。The Fast Showみたいだぜ。『おい、リアム。この曲にコーラスを入れたらどうだ?』『そりゃいいな、うん、コーラスな、最高』と言ったかと思えば、他のやつが『コーラス?気取ってんな』と言うと『だよな、駄目だ、コーラスなんてクソだぜ、な、馬鹿みてえ』だ。だからリアムとスタジオにいると面白いぞ」。

目じりに皺を寄せて穏やかな笑みを浮かべながら、北部特有のぶっきらぼうな話し方をするノエルは、相手の敵意をかきたてずに侮辱する方法をわきまえているかのようだ。

ワーキングクラスとして育った彼は、パブでの仲間内さながらに親近感を漂わせ、肩肘を張った様子はみせない。ロックスターとしての影響力に比例した偉ぶった態度は微塵もない。

「俺は現実的に考えるのが好きなんだ。リアムは非現実的だろ。この2つの中間なら俺達は上手くやっていけるんだろう」。

その大きな態度と奇跡的にキャッチーな楽曲とともに、90年代ブリティッシュロックの一時代を築いたOASIS。

ノエルは、自らの業績としてバンドの文化面での影響を挙げた。おそらく当時の彼らは意図していなかっただろう。

「たくさんの若者がギターを買い、バンドに入るきっかけになったんだ」。

今年のBrit Awardsにノミネートされたバンド、Arctic MonkeysやKooks、Kasabianをみると、どのバンドもOASISの影響を受けているといって過言ではない。

「俺達が出てくるまで、成功という言葉は汚らわしいものと思われていた。OASISが野望を生き返らせたのさ。今思えば大したたわ言だとも思うけど『周りがクソみてえな状況なら、何かに騒いだ方がマシだ。今この瞬間を祝おうじゃないか』ってことだったのさ」。

「俺達の音楽にはみんな陶酔することができた。ファンの数は膨れ上がり、もはやバンドが中心ではなくてファンが中心になっていったんだ。音楽に乗せて飛んだり跳ねたり酔っぱらうファン達にね」。

若手のバンド(同年代のライバルとは違い、ノエルの標的になることは少ない)を応援している彼だが、ブリットポップの新しい夜明けが来るという説に簡単に納得するつもりはないようだ。

「今がブリティッシュミュージックの最盛期だとは思わないな。微妙な時代だよ。ラジオでは良い曲がたくさん流れているけど、時代を象徴するような曲がない」。

「若い連中は、自分を格好良くみせようと必死だろ。スキニージーンズ、手間のかかった髪型、タイにジャケット。これで勝ったも同然ってわけさ。でもどいつもこいつも八方美人だ。『そうだな、Bloc Partyは好きだし、Jay Zのニューアルバムも超気に入ってんだ。それとあのデヴェンドラ・バンハート、天才だね』とね。クールは絶滅したんだよ。モッズとロッカーに同時になることなんてできない。どっちかを選ばなきゃならないんだ」。

知的で血の気の多いロックンローラーであるノエルの価値観は、奇妙なほどに古風だ。

「音楽を進化させようとしたことはない」。

「それでなくともOASISとしての人生はカオスなんだ。今週誰がバンドに残るかもわからない。だから新しいことを試そうとは思わない。『アーバン・サイバーソニック・パンクスタイルを試そうぜ』なんてな。駄目だ。Marshallのアンプとそこにあるギターがあればいい。それさえあれば十分だ。ほっといてくれ」。

度重なるメンバーチェンジを経ながらも、Beatles以来の音楽史に残るバンドとなるという宣言通り、OASISが変わらない理由はここにあるのだろう。「良い曲に議論は無用」という簡明な哲学が基底にあるのだ。

意図せずして、インタビューの流れが自己分析へと傾き、ノエルは作曲のことを「神のお召し」と表現した。

「もう年だから、貪欲に曲を追い求めることはしない。素晴らしい曲は全て、降りてくるんだ」。

歌詞の意味はあまり考えないらしいが、昨今のテーマは「逃避、愛、希望」だと答えた。ノエルのこの純然たる作曲能力が、現状維持という名目で語られる退行萎縮からOASISを救ってきたのだろう。確かに現状維持と退行萎縮は紙一重なのだが。

厳しい批判精神を持つにも関わらず、クールであることを間違って解釈していた自身の過去も、ノエルは冗談に交えて語ってくれた。

「最初の兆候は、ファッションセンスが悪くなり始めたことだな。90年代の終わりさ。毛皮のコートにファッキンサングラス。運転も出来ないのにロールスロイスを持っていた。『この仕事を始めてたったの4年なのに、どうしてこんなものを持ってるんだ?』なんて思ってたよ」。

「でもその現状を喜んでもいた。俺達はがむしゃらで、これ以上ビッグになれない、これ以上ヤバくはなれない、このコートにはどう頑張ってもこれ以上毛皮は付け足せられない、このサングラスはこれ以上光らせることはできない、なんたって内側まで乱反射だってなくらいのところまでたどり着こうと必死だったんだ」。

「そして一歩下がって考える時がやってきた。『こんなのどうかしてる。これじゃ世間の笑いものだ。夢ならいいのに』とね」。

リアムとの対立関係は相変わらずのようだが、それでもノエルはOASISが解散することはないと話した。

「もしあいつと兄弟じゃなかったら、OASISは2,3枚のアルバムだけだして解散してたさ。でもリアムといるといつだって俺は我慢をしなきゃならない。クリスマスに子供達の誕生日パーティーだろ。しかも、時々は一緒にバンドまでやるんだぜ。一緒に仕事をしていなかったら、俺達の関係はもっと悪くなってたと思うね。どうしてこんなことを言うのか俺にもわからない。だって普通に考えてみりゃ、別々の方が天国に決まってんだろ。でも何となくわかるんだ。心の奥でね。一緒にいた方がいいんだよ」。

彼のソロアルバムの話が現実味を帯びない理由はここにあるのだろう。

「水曜にボーダーラインに集まった150名の観客を前にハーモニカを吹いている。そんな自分の姿がどうにも想像できないんだ。曲を書くたび俺が心に描くのは、フットボールスタジアムに集まった満員の観客を熱狂の渦に巻き込むことだけさ。それがOASISなんだよ」。