2008年の1月、2月、OASISはプロデューサーのデイヴ・サーヴィがL.A.に所有するヴィレッジ・スタジオで、ニューアルバムのレコーディングを行った。ウェスト・ハリウッドの高級ホテルであるWホテルに滞在したリアム。やがて、毎日TVを見るのが習慣となる。

毎週火曜の夜は、「Celebrity Rehab With Dr. Drew」。ブリジット・ニールセンや、ダニエル・ボールドウィンなどの有名人が番組内でドラッグ中毒のための治療を受けていくという内容だ。最初、ホテルの特大ベッドに寝そべって暇つぶしに見ていたリアム。

「笑えるけど、内容は重いんだ」と思い出しながら話し出した。

「出てくるやつはみんなコカイン中毒なんだよ」。

いつしか、番組への態度が変わってきたことに、自分でも気づき始める。

「ケニッキーを演じてた俳優が出てたんだ。やつは本当に悪い方向に行ってた。いつのまにか肩入れしちまって、本当に彼の考え方が哀れに思えてきたんだ。かわいそうだよ」。

そのすぐ後、リアムは、L.A.で行われたマリリン・マンソンのギグに招待される。ステージ上から「ロックンロール・ニガー」と呼ばれた彼は、マンソンに「何だって!でも、みんなにあてはまる言葉だな、確かに!」と返したという。

バックステージではさらにおかしなことが起こっていた。

「ファッキンケニッキーが松葉杖でやってきたんだ。こんなとこで何やってんだ?施設で大人しくしてなきゃダメだろうって思ってさ」。

結局、ケニッキーに大切にしていた自分の持ち物をプレゼントすることにしたリアム。リンゴ・スターからもらった白の「Peace And Love」ブレスレットである。

「こいつにあげるべきだなと思ったんだよ。そしたらあっちも感動したみたいで、『メシ食べに行くか?』って誘われたんだけど、何があったか忘れたけどそれは無理だったんで、『いや、気にすんなよ』と言っておいたんだ」。

ケニッキーは、ドラッグの問題を抱えているわけですが、どうしてそこまで親身になるんでしょう?自分もああなる可能性があったと?

リアム:いや、ない。絶対ない。

あなたが中毒に悩まされなかったのはなぜ?

リアム:中毒にならなかったからさ、つけ入る隙を与えなかったんだ。俺には他にやることもたくさんあったしな。座ってラリって飲むだけが人生じゃねえんだよ。

以前は「俺は自分の力でコントロールできるんだ」という主張が、あなた達の売りでしたよね?

リアム:うーん、俺にわかってたのは、そろそろまともにならねえと、クソみたいな方向に向かうぞってことなんだ。今は良い調子なんだよ、俺はスイートな男 になったんだ。もし悩みごとができたら、休みゃあいいんだよ、休暇を取ればいいんだ。それかドアに鍵をかけて、電話線を抜いて、テレビでファッキン 「Rising Damp」なんか見ながら、サーモン食えば悩み解決。外に出るなってことさ。わかるよな?

マリリン・マンソンのショーの後、おかしなことが起こったようですね?

リアム:ああ、音楽はクソだが、ショーは素晴らしかったな。まさに「地獄」に落ちる気分だったぜ。あいつ、ナチグッズにはまっててさ、翌朝目が覚めたらポ ケットの中がナチのバッジで一杯なんだよ。びびって「こいつらは一体どっから来たんだ?」なんて思ってさ、すぐにでも捨てたかったんだけど、ホテルのゴミ 箱には捨てようとは思わなかったんだよな、なぜか。俺がナチになったってんで逮捕された時のノエルのリアクションなんかが思い浮かんでさ。だからホテルの 外に出て、フードを深くかぶってL.A.の街を歩きながら様子を伺って、他人の家の庭に投げ捨ててきた。

あなたはノエルのことをいけ好かない兄のように言いますけど、最近の彼は、むしろあなたのような振る舞いをしていますよ。ラッセル・ブランドのショーに毎週出演したり、Radio 5 Liveに登場したり・・・。

リアム:この話題を出してくれて嬉しいね、なぜならあいつは、あいつはな、そういうことをするのがクソ大好きなんだよ。誰にも止められないぜ。昔、あいつ が俺になんて言っていたかわかるか?「自分を見てみろ、エルヴィスさんよ、お前は新聞に毎日登場しないと気が済まねえらしいな」だぜ。それが今では5分ご とにラッセル・ブランドの番組に電話かけてんだ。でもやつにお似合いだぜ、あいつは41だ。じいさんには好きなことをやらせてやれよって俺なら言うね。楽 しみを奪わないでやってくれ。

2005年、あなたは宗教への信仰に目覚めたと言っていましたよね。大聖堂に通うようになったと。

リアム:いんや、お前をからかっただけだ。何?俺が教会に行ってあそこのボスに「ハロー」とか挨拶すんのか?バカかよ。面白そうだけど実行はしないぜ。み んなが誰かの導きを求めてるってことに興味があるんだ。俺は違う、興味はない。俺は自分で自分を導いていけるし、それで壁にぶち当たったら、しっかりぶ ち当ってやるまでのことさ。俺はバンパーカーみたいなもんだ。自分で疑問を出したり答えたり、全くやかましいったらないぜ。

OK。あなたがどれだけ変わったのか試してみましょう。あなたが起こした過去の事件を3つあげます。今ならどのように対処しますか? まずは1998年オーストラリアのパシフィック・エアラインから永久追放を言い渡された事件。フライト中に、スコーンのことで、キャビンスタッフと喧嘩に なったことが原因でしたが・・・

リアム:(けんか腰で)ファッキンライト!もう一度同じことをするに決まってんだろ!俺はちゃんと金を払って飛行機に乗って、他のやつはスコーンを1つず つもらってるのに、どうして俺の分だけないんだよ!他のローディ20人はもらってるんだぜ、なのに俺だけおあずけだ。フェアじゃない。俺はファッキンス コーンが欲しかったんだ、俺の方が正しいだろう。

2番目、1996年USツアーに行かなければならない時に、家捜しをしていた。

リアム:それもまた同じことをする。何の問題もないさ。俺にとっちゃそんなに重要じゃねえんだ、アメリカで金を稼ぐことって。家族第一さ。真のOASIS ファンなら、そこらへんを理解しやがれ。ギグのスケジュールは立て直すこともできるが、俺はその日に家を買わなきゃならなかったんだよ。もし、好きなバン ドのギグを見に行って、そのシンガーが「家を探さなきゃならないんだ」と言ったら、俺はちゃんと受け止めてやるぜ。クソッたれ、俺はもう一度同じようにや るんだよ。

3番目、2000年バルセロナで、兄弟喧嘩でノエルがバンドから出て行きました。

リアム:うーんと、それは後悔してるな。でもそういうクソみたいなことも時には起こるさ。家族に暴言吐かなかったら、代わりに誰に吐きゃいいんだよ?

あなたの発言でとても印象に残っているものがあります。幼い頃父親から暴力を受けたけど、全ては意味がある。あなたの場合はその怒りをマイクにぶつけていると。

リアム:そうだよ。ギグで歌うたびに、マイクにぶつけてるんだ。でもそういうクソみたいなこととは関係ないのかもしれない、ただ俺の心の裏側にそういう何 かがあって、でも・・・落ち着いてるんだ。同時に怒ってもいる。今でも怒りは冷めてないが、コントロールは出来るってことだな。

スコーン以外で、あなたが頭に来ることって何?

リアム:うーん、わかんねえ。どうしようもない間抜け野郎とかクソみたいな音楽かな。

学校はちゃんと卒業してませんよね?

リアム:うん。15歳の時に追い出された。何回か停学処分は受けてたけど、一番問題になったのは制服を着けなかったことなんだ、おふくろには制服を買う余 裕がなくてさ。だから自分の黒いジャケットを着けていたら、あいつらが「そういうのは着けてきてはいけませんよ」って言うから、「ファック、知るか」って 答えたら、停学になって戻してくれってお願いすることになって、結局学校側に制服代を負担してもらってそれを俺は着けることになったんだ。でもまた何かや らかして退学になったから、ガーデンセンターで働き始めた。みんなが学校で勉強している時に、俺は週50ポンドでフェンスのペンキ塗りをしてたんだよ。金 曜日は12時半に仕事が終わったから、自転車で学校の正門まで行って、札束をみんなに見せびらかしてたぜ(札束を振る真似をする)。「これを見やがれ、ク ソッたれども!」。

でも今となっては、あなたは十分分別もありますし、お金もあるんですから、家庭教師を雇う余裕くらい・・・・

リアム:何のために?俺にはかみさんもいる、子供もいる。今の小さな生活で幸せなんだよ。いつでも野郎どもと飲んだくれてるわけじゃない。一度抜け出した らやる気がしねえんだ。家族と大切な時間を過ごすことが楽しいし、今の俺にはしっくりくる。それが普通だって感じるんだよ。

あなたの日常生活はどんな感じなの?

リアム:いいか。まず目覚まし時計を6時にセットするだろ。6時9分になったら、コーヒーを一杯飲む。15分になったらハムステッド・ヒースを、狂人のよ うに2時間走りまくる。今朝は8時までに10マイル走ったぞ。音楽は聴かない。エンジンをかけて、フードをかぶって、そこらにいる動物と一緒に走る。8時 には家に帰る。朝食はとらないで、子供達を学校に連れて行く。月曜から日曜までこんな感じさ。いいぞ。俺ははまった。

走っている時、何を考えているんですか?

リアム:今度はどのまんこ野郎にパンチ入れようかなとか、あの電球変えなきゃなとか。

8時以降は何をするんです?

リアム:12時には、炒めたサーモンを食べるだろ。3時にリンゴを食べて、6時にまた同じメシを食う。7時になったら紅茶一杯と一緒にヤツファケーキを一箱平らげて、10時にはご就寝さ。

あなたのテレビ番組の嗜好は面白いですよね。「Countdown」に出演するという噂も出ています・・・

リアム:何?俺じゃねえだろ、ファック、違えよ。あの女は好きだけどさ・・・アン・ロビンソン(The Weakest Linkの司会者)だよ。だからって壁にポスターを貼ってるとかそういうことじゃねえぞ、誤解するなよ。「The Weakest Link」は得意なんだよ、よく当ててるぜ。

70年代のコメディ「Bless This House」や「Rising Damp」も好きだとか。登場人物はおかしくはあるけど、いつも怒っている付き合いにくい男達ばかりですね。

リアム:気にしねえよ、俺は好きだ。俺みたいだからさ。「Rising Damp」は特に。一日中だって見てられるぜ。リグスビーがいいな。見てて面白いし、ちゃんと貯金をしてるんだ。

あなたも貯金を?

リアム:いんや、俺は騎兵隊みてえな勢いで使いまくる。休暇とか、洋服とか、子供とか、元妻とか、金がかかるんだよ。

あなたが好きな番組と言えば、「SpongeBob SquarePants」ですが、主人公とは同じスピリットを持っていると考えているようですね。

リアム:スポンジ・ボブは最高だぜ、いつでも元気一杯、ハイテンションな海綿動物で、ビキニ・ボトムに住んでるんだよ、クールだろ。友達のイカルドはクラ リネットを吹くんだが、ノエルみたいにいつだって不機嫌なまんこ野郎だ。マネージャーのマーカス・ラッセルはSpongeBob SquarePantsの生まれ変わりだと思うんだよなあ。今、スポンジ・ボブのポートレートを書いてもらってるんだ。アンディ・ウォーホル風のな。出来 上がったら、俺の家のリビングルームに、エルヴィスやヘンドリックスと一緒に飾るのさ。

音楽界も変わってきましたよね。これまでとは異なるビジネスモデルが登場しています。OASISがレコードを無料で配るなど新しい試みをすることはないのでしょうか?

リアム:いや。レコード作るのにいくらかかると思ってんだよ。いいか、俺は今サーモンに夢中なんだ。今俺が興味のある新しいことってのは、まさにそれな んだよ。音楽業界なんて知らねえ。俺達は曲を書き、レコーディングして、それで金がかかった分をみんなに払ってもらうまでだ。後はノエルとマーカスに任 す。

変わらないこともありますよ。ColdplayとU2は今でもビッグネームを維持するライバルですが・・・・

リアム:昨日BBCでColdplayのギグを見たんだ。Mr Bloodyが使っていた駐車場でやってたんだけど、俺からするとちょっと変な感じがしてさ。太陽の下でなんかチープに見えるっていうか。でも、クリス・マーティンは良いやつだろ、良い曲書いていくと思うぜ。

バンドに対する批判は、コンスタントに残っていますよね。ほとんどはあなた方の音楽性が変わらないことについてです。

リアム:俺達が進化しないとか、退屈だとか言われると悲しくなるよ。本当に。理解できない。俺達は15年間もバンドを続けているから、もうエキサイティン グじゃないかもしれないが、俺は今でもエキサイティングだと思ってるんだよ。ギグをやる時はいつだって楽しんでる。興奮するんだよ。

OASISのオフィシャルウェブサイトにこう書いてあります。「批評家がわかっていないのは、OASISの音楽の核とは、体感することであって、その感じることとは切望するということなのである」。あなたが切望しているものとは?

リアム:切望ってどういう意味?

あこがれ。とりとめのない願いとでも言いましょうか・・・

リアム:そうだな、俺達は今でもやる気に満ちてる。世界一のバンドになりたいし、OASISは今でも最高のバンドだと思ってる。俺はもう「誰が一番?」っ ていうクソみたいな悩みは乗り越えたんだ、ああいうのはガキが考えることだろ。でも俺は一番になりたい。ライバルはそんなにいねえんだよ。

21の頃からロックスターになりたいと考えていたと言いますが、他の職業は考えなかったの?

リアム:俺はマイクの前に初めて立った時から、ロックスターだった。最初は馴染んでなかったかもしれないが、ステージの上に立った時から、もう全てが始まってたんだ。

そして今があると。OASIS無しの人生なんて考えられない?

リアム:そんなんじゃねえよ。俺がOASISだ。他のメンバーはそうじゃないとかそういうことでもない。でも、俺はOASISを愛し、毎日身体中で感じてる。永遠に続けてやるよ。ローリング・ストーンズみたいにな。

繰り返し同じ夢を見たりすることはあります?

リアム:あるよ。よく見る夢があるんだ。家がある。美しい家で半分は完成してるんだ。でももう半分の方に足を踏み入れると、そこは暗くて薄気味悪いのさ。誰も住んでいない感じで、俺は「気味悪、一体ここで何が起こったんだ?」なんて思ってるわけ。

たぶんそれはあなた自身も気づいていない自己なんですよ。「未開の」リアムです。

リアム:ああん?たぶん、俺が今ヘンリーに建ててる途中の家だぜ。一つの部屋は仕上がったんだけど、あとの部屋はどうしようか迷っててさ。とにかくよ、外 見が良くて、かつ利口ぶってるやつほどやっかいなものはないぜ。俺はハンサムだが、あんまり物は知らない。それで十分だよ。

インタビューが終わった途端、メロウで柔らかなリアム・ギャラガーが姿を現した。私のことを知性的だと言い、着けていたズボンを褒めてくれたのだ。そして、「前のインタビューの時よりはちゃんと仕事をしたから、ギャラを上げるべきだったな」とも付け加える。時に、このロックスター、もしくは「おどけ者」と上手く意思を伝えあうことができているのか、わからなくなることがある。ただ、彼が未来への確固とした展望を抱いていることは、動かぬ事実なのだ。

子供が大きくなったら、二コルと一緒にニューヨークへ移住するのだという。

「大好きなんだ」と、リアム。「良いところだよ。ニックはカナダ生まれだけど、5年間ニューヨークに住んだことがあるんだ。だからあそこに住む時が、俺の 次の目標だな。いや、だからって演技の道に入るとかそういうクソみたいなことじゃねえ。オファーはいくつかもらったけど、俳優なんて俺のやることじゃな い。俺は俺でいられるところに行きたいんだ」。

リアム、フェイバリット・ソングを語る:「Live Forever」を聴くと、おふくろを思い出す。

変わったんだよな。今でも「Rockin’ Chair」はライブでやりたいんだけど、「Live Forever」は俺の中で一定の位置を占めてるんだ。昔の曲なのに未だに歌詞が胸に来る、力強いんだよ。OASISは魂を掴み取るバンドとして評価され ているだろう、この曲は、人が自分の運の悪さに嫌になっている時の心の内を歌った曲だと思うんだ。俺が最初に聴いたのは、マンチェスターのボードウォークで、ノエルが試すように弾いていた時だと思う。今になっても、この曲を披露する時は、これまでになかったようなバージョンを生み出そうとベストを尽くしてるんだ。俺の場合、この曲を聴くとおふくろが浮かんでくるね。バンドは世界一の仕事だと思える曲でもある。俺にこんな曲は書けなかっただろうが、歌うという使命を与えられた。後に作られた曲よりもよっぽど長生きしてるから、なんだか変な感じだよ。