私が友人と共にOASISを知ったのは、1994年のこと。これまで聴 いてきたものとは全く違う種類の音楽を、彼らは鳴らしていた。アシッドの味を初めて知ったヒッピーのように浮かれ騒いだものだ。それが、音楽史上最も派手 な時代の一つであるブリットポップ、そしてインディミュージックの時代の幕開けだったのだ。
一気に2009年まで早送り。私は手に汗を握っている。リアム・ギャラガーがCoke Zero Festivalに参加するため、この街にやってきており、私は彼と一対一で話をすることができる幸運な一人に選ばれたのである。認めよう。この仕事を受 けて最初に脳裏をよぎったことは - リアムに殴られませんように、だった。彼が記者会見室に入ってくると、その場にいる大勢が一斉に顔を向ける。リアムとノエルのギャラガー兄弟はまるで王族 のような佇まいだ。バーのテーブルからなかなか落ちないビールの染みのように、誰もが彼らから目を離さない。
チンピラのように歩き、まるで「俺に近寄るな。そうすれば噛み付かないでやる」とでも言いたげに自信を漲らせているリアム。部屋に入ってくると、軽くおじぎをし、私に握手を求めてきた。
「リアム、こんにちは。あなたに会えて光栄です」。
「ああ、そうか」と、彼は呟いた。少しの間、黙って座っていると、リアムに急かされる。
「じゃ始めようぜ」。私にはほとんど理解できないマンキュニアンのアクセントが色濃く残る口調で。
まずは、自分の存在が「インディ」ミュージックを定義つけたと自覚しているのかどうか。その過程が同時にOASISというバンドを形成してきたと思うか。 私達が愛し、今では大昔のこととなってしまった90年代ブリットポップを彷彿とさせるバンドとしてはどういうものがあるか尋ねてみた。
「OASISはOASISの歴史を作る」と、リアムは答える。
「他の誰の歴史でもない。他の連中が何をしようかどうでもいいね。俺達は良いバンドだし、それに、本気で音楽をやってる。みんなOASISがどんな音楽を作るかよくわかってる。俺達は嘘はつかない。こういうバンドの姿勢には満足してるよ」。
彼は、最近の音楽シーンに無関心で、BeatlesやStone Rosesなどを熱狂的に支持することで知られるが、「最近の新人達についてどう思うか」という質問には次のように答えた。
「色んなバンドが出て作品もたくさん出してるけど、どれも小物だな。Kasabianは良いバンドだし、Arctic Monkeysもいるし、ピート・ドハーティとかくだらねえのはたくさんいるけど、でもみんなみみっちい考えしか持ってねえ。誰もビッグに考えようとしな いんだ」。
と、話すリアムを遮り、私は「それらのバンドの中で、歴史に残りそうなものはあると思うのか」質問した。
「さあな、ほんとわかんないよ。ただそんなバンドがいることを願うね、音楽はこれからも続いていくんだから」。
なんだか狐につままれたような気分だ。空気の密度が濃くなるのを感じる。リアムの短く味気ない返答は、記事を書く側としてはなかなか厄介だ。今日の彼は、 心を開かず興味を示さず、冷淡とも言える態度を見せていた。ジョン・レノン風のサングラスの奥にある瞳にちらちらと浮かぶ笑みに、相手が何を考えているの か不安に思い気にかける彼の一面を見た気がした。しかし、グリーンのパーカーをまとったリアムからその違う面を実際に引き出すには、かなりの労力を必要と するのだろう。
「OASISの曲で好きなのはLive Forever」。
どうして?
「歌詞も、メロディも好きなんだ・・・」。
なるほど。好きな理由は私達リスナーと同じだ。
「OASISのアルバムは全部好き。駄作は出してないと思うぜ。名作よりちょっと落ちるのは出したかもしんねえけど。新作は良いな。今んとこ一番はまってる」。
リアムと兄ノエルが仲良しこよしではないことはもはや周知の事実で、長いこと疎遠な関係のようだ。一緒に過ごす時間も少なく、お互いのことを家族というよ りバンドのメンバーとして認め合っている。しかし、ノエルについて質問した時、これだけは確かに言える。リアムからは深い愛情を感じた。タブロイド紙が何 と書きたてようと、二人は憎みあってはいない。
あなたのお兄さんを一文で表してください。
「変なやつ.......」。リアムはにっこりと笑った。「変人だよ!」。
南アフリカでは何を楽しみにしていましたか?
「さあ。南アフリカ人で会ったのは君が初めてだからさ。ファンとも会ってないし、ここの人がどんな服着けるのかもわかんねえんだ。俺のかみさんもすぐに こっちに来るから、一緒にケープ・タウンをぶらつこうかと思ってる。かかりつけの歯医者がケープ・タウン出身なんだ。嬉しそうだったよ」。
OK。あなたはフットボールの大ファンですよね。ワールドカップを観戦しに南アフリカに来ることは?
「いやあ、考えようとも思わねえな。ないよ」。
そうですか。Beatlesの影響を大きく受けてるOASISですが、いつかBealtesのメンバーと仕事をすることはありえる?もしあるとしたら誰と?
「ジョン・レノン。レノンの曲は最高だろ。声も良いし。それに一緒にいて楽しそうだ」。
「ジョン・レノン」と答えた後に、リアムは女性である私に対する敬称として「マーム」を付け加えた。私はリアム・ギャラガーの発するこの「マーム」が好きかもしれない。何だか温かいものを感じるから。
OASISは、過去の悪行の数々でも知られている。そこでこれまでに経験した中で一番どうかしていたと思うツアーを尋ねた。
「オーストラリアに初めて言った時かな。飛行機の中でマジで酔っちゃって、到着した時にはもう色々トラブルを起こしてたんだ。でもああいう時期があって良 かったと思うんだよな。今も飲みはするけど、他のものには手を出さないだろ。もう飽きたから。だからと言ってドラッグはやるなって言って回るわけでもねえ けどさ。だから、うん、酒は好きだよ、でも前みたいには飲まない。な、俺も年をとってるから」。
年をとる?リアム・ギャラガーが?なんだかしっくりこない。
集中力が切れてきた。私達がいるインタビュールームのドアは開いたままなので、通りがかりの人が次々と顔をのぞかせる。その度に、私もリアムも少し苛立っていたのだ。
OASISの将来をどのように考えてる?
「もっとアルバムを出して、バンドを続ける。音楽が導いてくれるさ。だから、もしRolling Stonesみたいになっちまっても俺はかまわない。歓迎するよ。自分がやることなら何でもね」。
最後に一緒に写真を撮って、部屋から退出する。リアム・ギャラガーは今を生きるスーパースターの一人だ。いつかビールを酌み交わし、彼の本当の姿、夫、父親としての姿、自信たっぷりの人柄に触れてみたいものだ。OASISは永遠に生きる。きっとその通りなのだろう。
一気に2009年まで早送り。私は手に汗を握っている。リアム・ギャラガーがCoke Zero Festivalに参加するため、この街にやってきており、私は彼と一対一で話をすることができる幸運な一人に選ばれたのである。認めよう。この仕事を受 けて最初に脳裏をよぎったことは - リアムに殴られませんように、だった。彼が記者会見室に入ってくると、その場にいる大勢が一斉に顔を向ける。リアムとノエルのギャラガー兄弟はまるで王族 のような佇まいだ。バーのテーブルからなかなか落ちないビールの染みのように、誰もが彼らから目を離さない。
チンピラのように歩き、まるで「俺に近寄るな。そうすれば噛み付かないでやる」とでも言いたげに自信を漲らせているリアム。部屋に入ってくると、軽くおじぎをし、私に握手を求めてきた。
「リアム、こんにちは。あなたに会えて光栄です」。
「ああ、そうか」と、彼は呟いた。少しの間、黙って座っていると、リアムに急かされる。
「じゃ始めようぜ」。私にはほとんど理解できないマンキュニアンのアクセントが色濃く残る口調で。
まずは、自分の存在が「インディ」ミュージックを定義つけたと自覚しているのかどうか。その過程が同時にOASISというバンドを形成してきたと思うか。 私達が愛し、今では大昔のこととなってしまった90年代ブリットポップを彷彿とさせるバンドとしてはどういうものがあるか尋ねてみた。
「OASISはOASISの歴史を作る」と、リアムは答える。
「他の誰の歴史でもない。他の連中が何をしようかどうでもいいね。俺達は良いバンドだし、それに、本気で音楽をやってる。みんなOASISがどんな音楽を作るかよくわかってる。俺達は嘘はつかない。こういうバンドの姿勢には満足してるよ」。
彼は、最近の音楽シーンに無関心で、BeatlesやStone Rosesなどを熱狂的に支持することで知られるが、「最近の新人達についてどう思うか」という質問には次のように答えた。
「色んなバンドが出て作品もたくさん出してるけど、どれも小物だな。Kasabianは良いバンドだし、Arctic Monkeysもいるし、ピート・ドハーティとかくだらねえのはたくさんいるけど、でもみんなみみっちい考えしか持ってねえ。誰もビッグに考えようとしな いんだ」。
と、話すリアムを遮り、私は「それらのバンドの中で、歴史に残りそうなものはあると思うのか」質問した。
「さあな、ほんとわかんないよ。ただそんなバンドがいることを願うね、音楽はこれからも続いていくんだから」。
なんだか狐につままれたような気分だ。空気の密度が濃くなるのを感じる。リアムの短く味気ない返答は、記事を書く側としてはなかなか厄介だ。今日の彼は、 心を開かず興味を示さず、冷淡とも言える態度を見せていた。ジョン・レノン風のサングラスの奥にある瞳にちらちらと浮かぶ笑みに、相手が何を考えているの か不安に思い気にかける彼の一面を見た気がした。しかし、グリーンのパーカーをまとったリアムからその違う面を実際に引き出すには、かなりの労力を必要と するのだろう。
「OASISの曲で好きなのはLive Forever」。
どうして?
「歌詞も、メロディも好きなんだ・・・」。
なるほど。好きな理由は私達リスナーと同じだ。
「OASISのアルバムは全部好き。駄作は出してないと思うぜ。名作よりちょっと落ちるのは出したかもしんねえけど。新作は良いな。今んとこ一番はまってる」。
リアムと兄ノエルが仲良しこよしではないことはもはや周知の事実で、長いこと疎遠な関係のようだ。一緒に過ごす時間も少なく、お互いのことを家族というよ りバンドのメンバーとして認め合っている。しかし、ノエルについて質問した時、これだけは確かに言える。リアムからは深い愛情を感じた。タブロイド紙が何 と書きたてようと、二人は憎みあってはいない。
あなたのお兄さんを一文で表してください。
「変なやつ.......」。リアムはにっこりと笑った。「変人だよ!」。
南アフリカでは何を楽しみにしていましたか?
「さあ。南アフリカ人で会ったのは君が初めてだからさ。ファンとも会ってないし、ここの人がどんな服着けるのかもわかんねえんだ。俺のかみさんもすぐに こっちに来るから、一緒にケープ・タウンをぶらつこうかと思ってる。かかりつけの歯医者がケープ・タウン出身なんだ。嬉しそうだったよ」。
OK。あなたはフットボールの大ファンですよね。ワールドカップを観戦しに南アフリカに来ることは?
「いやあ、考えようとも思わねえな。ないよ」。
そうですか。Beatlesの影響を大きく受けてるOASISですが、いつかBealtesのメンバーと仕事をすることはありえる?もしあるとしたら誰と?
「ジョン・レノン。レノンの曲は最高だろ。声も良いし。それに一緒にいて楽しそうだ」。
「ジョン・レノン」と答えた後に、リアムは女性である私に対する敬称として「マーム」を付け加えた。私はリアム・ギャラガーの発するこの「マーム」が好きかもしれない。何だか温かいものを感じるから。
OASISは、過去の悪行の数々でも知られている。そこでこれまでに経験した中で一番どうかしていたと思うツアーを尋ねた。
「オーストラリアに初めて言った時かな。飛行機の中でマジで酔っちゃって、到着した時にはもう色々トラブルを起こしてたんだ。でもああいう時期があって良 かったと思うんだよな。今も飲みはするけど、他のものには手を出さないだろ。もう飽きたから。だからと言ってドラッグはやるなって言って回るわけでもねえ けどさ。だから、うん、酒は好きだよ、でも前みたいには飲まない。な、俺も年をとってるから」。
年をとる?リアム・ギャラガーが?なんだかしっくりこない。
集中力が切れてきた。私達がいるインタビュールームのドアは開いたままなので、通りがかりの人が次々と顔をのぞかせる。その度に、私もリアムも少し苛立っていたのだ。
OASISの将来をどのように考えてる?
「もっとアルバムを出して、バンドを続ける。音楽が導いてくれるさ。だから、もしRolling Stonesみたいになっちまっても俺はかまわない。歓迎するよ。自分がやることなら何でもね」。
最後に一緒に写真を撮って、部屋から退出する。リアム・ギャラガーは今を生きるスーパースターの一人だ。いつかビールを酌み交わし、彼の本当の姿、夫、父親としての姿、自信たっぷりの人柄に触れてみたいものだ。OASISは永遠に生きる。きっとその通りなのだろう。