標準OASIS学

UKロックバンド、OASISのブログです

ボーンヘッド

Bonehead - Myspace - 2009/11/14

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「The Vortexとボーンヘッド」

バノックバーンといえば、スコットランド人にとっては歴史的に受難の地であることを差し置いても愛国心を喚起せずにはいられない場所だ。この日2009年11月14日、イングランドとスコットランドの対立を象徴するスターリングシャーは、南に住む隣人との戦いの地ではなかった。

タータン・アームス・バーに通じるMcQ'sと呼ばれる会場には、地元の者達が数百人集まっていた。レコード会社との契約はなくとも、純粋に音楽を愛する5人のマンキュニアン達の姿を見るために駆けつけたのだ。

マンチェスターの音楽は、今でもスコットランドでは深く愛されている。1990年、Glasgow Greenで行われたThe Stone Rosesのギグ、1996年、Loch Lomondで行われたOASISのギグ、そして1993年にKing Tut's Wah Wah Hutで行われたギグに関しては言うまでもなく、ロックの歴史に残る重要なイベントを目撃した幸運なファン達の心に永遠に生き続けるだろう。

それらの事件を誰よりも間近で目撃していた男、それがVortexのギタリスト、ポール"ボーンヘッド"アーサーだ。OASISのステージでリズムギターを弾いていたのは彼なのだから。

世界中で2000万枚を売り上げたアルバム3部作をレコーディングしたのと同じリズムギターを、ボーンヘッドは会場へと運び入れている。彼が今属しているバンドVortexに、ローディなどは雇われていない。そして、足手まといになる連中もいない。

今夜のThe Vortexの音は、いつもより軽く聴こえるかもしれない。バッキング・ヴォーカルであるジャクリーン"ジャックス"ギルバートが、この冬に行われるツアーに参加できなくなったのだ。ボーンヘッドは、彼女のことを「バンドのサウンドに華を添えてくれ、Primal Screamのアルバム「Screamadelica」でのデニス・ジョンソンを思い起こさせる」と、話した。

ボーンヘッドと、Vortexのベーシスト、ニック・レプトンは、Primal Screamのアルバム「XTRMNTR」を、バンドのベンチマークとして定めている。ボーンヘッドは、The VortexはPrimal Screamの「パーティバイブ」を再構成するバンドで、彼らの多様性に満ちた音楽を崇拝していると話す。

「バラッドも書ければ、Country GirlやKill All Hippiesみたいな曲も書ける。次に何をするのか想像がつかないだろ。あのビートサンプルとリズムに乗ったギター。Vortexはそういう方向に行けると思うんだ」。

さらに、Primal Screamと同様にGlasvegasも気に入っていることを明かし、メンターであるアラン・マッギーに関しても言及した。

「彼はジャッジさ。あらゆるバンドにジャッジを下す。これまでマッギーが出したレコードを見ればわかるだろ、『このバンドは来る』と言えばその通りになる。大きく外すことはない」。

そうであれば、アラン・マッギーが「The Vortexが12月にマンチェスターでギグをする時には、1000人のファンが集まる」と予測し、すでにThe Vortexを期待の星として推しているのもうなずけることだ。

「The Stone Rosesみたいにさ、口コミなんだよ。俺はマンチェスターの音楽をずっと信じてきた。The Vortexは大きくなる」。

アラン・マッギーの音楽への嗅覚を信じきっているボーンヘッドだが、彼が発掘したバンドでも1つだけ気に入らないものがあるという。

「レコードについて1つ言わせろよ。The Grantsってバンドいるだろ?あれは最悪、クズだね」。

OASISを見つけた男がいつでも正しいとは限らないようだ。しかし、The Vortexについていえば、アラン・マッギーは次のように述べている。

「The Vortexは、OASISよりもPrimal Screamに近い。OASISよりもHappy Mondaysに近い。その音楽性に、OASISのアティテュードが備わっている」。

確かにステージではそういう姿勢を見せるかもしれないが、The Vortexの面々は非常に紳士的だ。ギグが終わるや否やバックステージに逃げ込み自己耽溺に浸るのではなく、ファン達と一晩中語り明かすことを選ぶ。ロックンロールを体現したいと強く望みながらも、ギグの前にステーキパイやチップス、野菜類を食べてる姿を目撃されたりするのだ.....。

デザイナーブランドを身に着け、ジャガーを乗りこなすボーンヘッドだが、彼は地に足のついた人生を送っている。過去20年で最大のバンドOASISのメンバーとして世界を飛び回ったことは一度ではないけれど、バンドにとって何が一番大事なのかを彼は知っている。

「リオ・デ・ジャネイロや、シドニー、ニューヨーク、色んな場所に行ったよ。でも『一番どこが好き?』と言われると、グラスゴーなんだ。なぜって?人間性。盛り上がり。情熱。彼らは全てを持ってる。会場の大きさは関係ない。昨夜バスゲイトでギグをしたら、みんな前の方まで踊りにきたんだぜ。すごい盛り上がりだった。楽しんでたのさ」。

ボーンヘッドのことを話す時、OASISのことに触れないわけにはいかない。彼は、ノエル・ギャラガーが加入するより前からメンバーだったのだし、アルバム3部作でウォールオブサウンドをつくりあげる大きな役割を担ったのも彼だ。前のバンドについての話題は避けたほうがいいという私の意向は、一蹴された。というのは、The Vortexのフロントマンであるマイク・プライスが、サウンドチェックをするボーンヘッドに向かって「Supersonic!」だの「Live Forever!」だのおかしな野次を飛ばし出したのだ。

しかし、彼はOASISと過ごした時代を懐かしく振り返る。彼らが成し遂げたことを心から誇りに思っているようだ。

「俺達は本当に、本当に恵まれていたんだよ。King Tut'sでギグをやったら、偶然アラン・マッギーが現れて『気に入った。最高だ。レコード契約を結ばないか?』だぜ。俺達はしかるべき時にしかるべき場所にいた。それだけさ。ある意味、俺達は幸運に恵まれていただけなんだ」。

その夜、マッギーが列車に乗り遅れていなかったら、OASISはどうなっていたのだろうか?

「デモはあったけど、配り歩いてはなかったからな。どうなってたか誰にもわからない。レコード会社に配ってたのかな?それにも飽きてやらなくなったかも。わからないよ」。

では、ボーンヘッドが今The Vortexに必要と感じていることは何なのだろう。デジタル化が進んだ16年後の今、レコード契約を掴むためにすべきこととは?

「最近は全然違うんだよな。MySpaceにFacebook。インターネットがある。方法はたくさんあるんだ。レコード会社も昔とは違う。俺達は何千万枚もレコードを売ったけど、今はレコードが売れない時代なんだ。レコード会社はもうそこまで力がない、だからわかんないな。できることを一つ一つやるしかないさ」。

山のようにレコードを売りチケット完売のツアーをしたOASISから、契約はないもののハングリー精神に富み、野心あふれるVortexへ。ボーンヘッドはなぜ再びバンドを組みギグをする道に戻ったのだろう。

「俺は、テリー・クリスチャンと一緒にBBC Manchesterでラジオ番組をやってたんだ。テリーが辞めて、2人の女の子と続けることになったんだけど、その子たちが、Vortexのベーシスト、ニックと友達でね。そうやってニックと知り合ったわけ。やつに『マンチェスターでギグをするんだ。俺達の前にDJしないか?』と誘われて、『わかった、何曲かやってやるよ、お前達の音楽が気に入ったから』と、受けたんだ。それから、Vortexのギグに俺が2曲参加するようになってね、それがとても楽しかったんだよ。バンドに入りたかったんだけど、とてもじゃないが頼めなかったし彼らの方からも言ってこなかったんで、実質加入ってことにしたのさ。人生要領よく生きないとな」。

ボーンヘッドとニックは、もっぱら自分のことを話し、他のメンバーのことまで干渉しない。私は、フロントマンのマイクに、ツアーを楽しんでいるかたずねてみた。控えめな彼は、インタビューに不慣れな様子だったが、話したいことがありそうだったのだ。

「俺はインタビューは受けないけどさ。でも、クリス・マーティンはクソだし、Coldplayもクズバンドだな」。

なるほど。アラン・マッギーが、彼好みの「女々しいバンド」にVortexをなぞらえないのは、こういう態度が原因かもしれない。

UK史上最大のギグとなった1996年のネブワースが終わって、ボーンヘッドはその後の「小さな」会場続きのツアーをどのように楽しんだのだろうか?

「ツアーをする意味に絡んでくるよな。会場の大きさや土地勘なんかは関係ない。ギグを一緒に楽しむファンとバンドのやる気が大事なんだよ。今のバンドではそのことを心に留めてるんだ。会場のサイズはどうでもいい。俺にとって大切なのは、情熱と固い決意さ。この二つはどこであろうと通用する。だから今のところは、小さな会場でギグを続けて次につなげていくつもりだよ」。

この言葉を聞くと、ボーンヘッドはVortexに信じられる何かを見つけているようだ。この数ヶ月、彼は文字通り「一心不乱」に、道を切り開いてきた。

「俺は、OASISとしてネブワースをやったんだぜ。頭の先からつま先までOASIS一色、それで出世したんだ。わざわざ進んでバンドに入ろうとは思わないね。もう十分わかってるから。そこをおしてやつらは、俺をやる気に、つまり、俺が座り込んでいた椅子を取り上げて、OASISのレコードをレコーディングしたのと同じギターをつかませた。一本取られたよ。それでVortexができた。だから俺は今ここにいるんだ。シンプルだろ。バンドを探す気にはなれなかったんだ。その間もちょっとしたことをして、それなりに楽しんではいたけど夢中にはなれなかった。でもVortexは良かったんだ。家から出てギターを弾きたいと思わせてくれた。しつこいようだけど楽しんではいたんだぜ。好きなことをやってさ。でも深入りはできなかった。そこにあいつらが現れて火をつけてくれたんだ」。

ベテランのボーンヘッドが加わったことで、Vortexは本格的なツアー日程を組む決断をする。

「2週間のヨーロッパツアーから戻ったばかりでさ。最高だったぜ。プレスやプロモーション抜きでも会場は満席だ。1日休みでまたギグを続けて、客の反応は最高だしさ。来年、ちょっと休みを取るだろ、そしたらロンドンとかマンチェスター、バーミンガムといった場所よりは、グラスゴー、エディンバラ、ダンディみたいなところに集中したいね。あとスコットランドでもやりたいな、ベルファストにダブリン、そしてまたヨーロッパに戻るんだ。スコットランドのファンはわかってるんだよな。どうしてだかわからないけど、これまでもこれからも楽しみ方をわかってるんだ」。

次にギグをするトーントンのファンはどう?スコットランド人のように盛り上がれると思う?

「トーントンってスイスの地名だと思ってたんだよ(実際はイギリスの地名)。だからわざわざスーツケースに荷造りしてパスポートまで引っ張り出しちまった」。

OASISの前身バンドThe Rainで、リアム・ギャラガーと共に曲を書いていたボーンヘッドだが、The Vortexでは曲作りに参加しているのだろうか。

「曲は全部俺が書いてるんだけど、クレジットはThe Vortexの連中が持ってて.....ってのは冗談で、曲は他のメンバーが書いてるんだ。ドラマーのショーンに、リードギターのマズ。2人が曲を書いて俺が入って音を分厚くする。俺がこのバンドにいる理由は、そこにあるのさ」。

ツアーをしながら曲を披露すると同時に、バンドはアルバムのレコーディング作業にも取り掛かっている。しかし、バンドメンバーのほとんどはいまだに正社員として仕事に就いているのだ(ショーンは、アイスクリーム工場で日勤をしている)。

「アルバムは作ってるよ。まだ全然形になってないけど。マネージャーもプロデューサーもいないし、レコード契約も結んでないんだ。俺達はマンチェスター出身のただのインディーズバンド。俺の経歴のことはもう忘れてくれよ。俺達はマンチェスター出身のインディーズバンドなんだ。ヨーロッパツアーをして、UKツアーをして、それで得た金をアルバムに注ぎ込む。セルフプロデュースして、クリスマスか正月明けくらいまでには、アルバムを出したい。以上。結局、自分達でやることになるさ」。

マンチェスターのギターバンドがアルバムを出す時、音楽界が注目することは間違いないだろう。彼らは、自らのバンドをこれまでのマンチェスター系譜のバンドとは一線を引いているのだ。ボーンヘッドに尋ねてみる。なぜ、マンチェスターは絶えず素晴らしい音楽を生み出すのだろうか。

「ワーキングクラスの街だからだよ。リバプールが近くにあり、30マイル海を進めばそこはダブリンだ。アイルランドとケルトの血をひいてるってことは、生まれた時から情熱を胸に秘めてるってこと。ハングリー精神があるし俺達なりの労働意欲がある。雇われ労働であくせく週5日間9時5時で道を掘り起こして、金曜日には何が何でもパーティに繰り出すっていうさ。俺はアイルランドの家系で、週5日働いても、金持ち連中みたいに金曜の夜に遊びほうけるだけの金がない。そうなるとギターを手に取るだろ。だからみんなギターかバンジョーかピアノか、つまり楽器が演奏できるのさ。自分で音楽を作って自分でビールを作る。これなら金はいらねえだろ。これがケルトの血。だからマンチェスターやリバプールは最高のバンドを生み出してきた。みんなアイルランドの血をひいてる。ジョニー・マーにリアム・ギャラガー。みんなワーキングクラスだ。毎日必死に働いて金曜日に『俺は好き放題する権利がある』と言って、ギターを弾きビールを飲むのさ」。

それらの都市が、一流のフットボール選手を輩出する理由もそこにあるのだろうか。

「貧乏から抜け出す道なんだよ。これまた、アイルランドさ。ロイ・キーン。情熱的っていうんであいつを超える男なんていないだろ?アイルランド人のフットボーラーで、情熱が欠けてるやつを挙げてみろよ。いないだろ。そういうもんなんだ。アイルランド出身なら、ワーキングクラスなら、フットボーラーになるかポップスターになるか道を掘り起こすかのどれか1つ。それだけ。何にでも必死になって取り組むっていうね。ギターかフットボールか、いずれか1つ。それに情熱。そして飢えに渇きだな。俺もそうだった。音楽とフットボールがあって、フットボールはあんまりだったけど、ギターはそれなりにできたからそれで食っていこうと思ってた。ギグジーはフットボールが上手かったんだけど、膝を壊してね」。

ボーンヘッドの人生哲学に賛同するかと、マイクに向かって尋ねると、彼は何か言いたいことがありそうだった。

「Coldplayはクソ。クリス・マーティンはクズ」。

.......。さて、ボーンヘッドは、ワーキングクラスのバンドは道路の穴掘りから抜け出すために努力をするのだと強調していた。しかし、一度成功を収めると、栄光に溺れ、かつての情熱や渇望を忘れてしまうのではないだろうか。

「俺は大金を稼いだけど、今でも失業手当で暮らしてるやつやアイスクリーム工場で9時5時労働してるやつと一緒にステーキパイを食ってるぜ。ビッグになりたいとか金持ちになりたいとは思ってない。俺は俺だからな。ああ、確かに俺は昔大金を稼いださ。その通り。でもそれを自慢したりはしない。プラダやグッチを着けても、人の顔にそれをこすりつけたりはしない」。

では、その毛皮の襟がついたダークブラウンのレザージャケットはグッチ?似合ってますよ。

「着けたいなら貸してやるよ。金ができても俺は変わらなかった。変わる人間が多いけど、俺達はColdplayじゃないんだ。クリス・マーティンじゃないのさ。クリス・マーティンは100万ポンド稼いでポップスターと結婚した。俺は違う。かみさんは幼ななじみだしな」。

何度目の登場だろう。クリス・マーティン。ボーンヘッドといいThe Vortexのメンバーといい、クリス・マーティンのような人物に反発心を抱いているようだ。元OASISのメンバーは、Coldplayが今後もなれないようなビッグで良質なバンドのメンバーとなり、世界を救う道には進まなかった。

「今朝も運転しながら楽しみでしょうがなかったんだよ。バンドメンバーを迎えながらギグに向かってさ。バンドってのは、最高にクールな連中と一緒に最高にクールな音楽を作るところなんだ。『俺はあんな成金になるつもりはなかった』とぼやくつもりはないしルーツに戻るふりをしてるわけでもない。俺は俺で、何にも変わっちゃいないんだ」。

The Vortexが、クリス・マーティンやColdplayのことを気に入っていないという印象を持ったと私が話すと、ショーンがボーンヘッドにColdplayの話を振った。

「1stアルバムは名作だな。マジな話。Coldplayの1stアルバムは、ジェフ・バックリーだ。ギターはどうかって?本当に素晴らしいよ。クリス・マーティンはどうでもいいさ。ああいうアルバムに参加できたら誇りに思うね。だって全くジェフ・バックリーだろ。名作だよ。最高のアルバムだ」。

他のメンバーはボーンヘッドに賛成しないようだ。音楽を批評する時のThe Vortexには遠慮の欠片も見当たらない。「俺は嫌いだな」と言うニックに、「クリス・マーティンはファッキン間抜け野郎だ」と言うショーン。Coldplayを巡るディスカッションは活発に続いたが、結局ボーンヘッドが折れることはなかった。その彼もColdplayの最近の作品は好きではないという。

「変わっちまったよな。今の作品はどうしようもない。俺は好きじゃないね。1stアルバム?あれは好きだよ。クリス・マーティンはそうでもないけど、あのアルバムは大好き」。

それでもショーンはボーンヘッドが自分の好みを貫く姿勢を見逃せないようだ。人好きのする彼がヒートアップする話題の1つがColdplayということらしい。

「連中には1曲だけ良い曲がある。『Yellow』って曲さ。あれはまあまあだな。Coldplayは他に良いバンドがいないから出てこれたバンドさ。1994年にデビューしてたら今のようにはなれなかったはずだ」。

これは結構良い点を突いている。というのも1994年に衝撃的なデビューを果たしたOASISは、Blur、Pulp、Radioheadといったライバル達や、同郷のStone Rosesとすら相手にする必要があったのだ。ボーンヘッドによると、ベーシストのニックはマニを彷彿とさせるところがあり、「自分の意見をおし通そうとするのもその影響さ」ということだ。ニックにマニと比較されてどうかと尋ねると、心から満足げな顔をした彼は次のように答えた。

「マニの失敗作ってところだな、うん」。

マニの誕生日パーティにメンバーそろって行く予定と話したボーンヘッド。マニは性根を入れ替えているらしい。

「彼はもう酒は飲まないんだ。今度の日曜が誕生日でさ、みんなで行くつもりだよ」。

マンチェスターにあるBeat ClubでNorthern Soulのファン向けにDJをしているというマニ。ニックもボーンヘッドもその手の音楽はあまり好きではないという。

「俺はそんなに好きじゃないな。聴きはするけどそこまで夢中になれない」。

Stone Rosesを1990年のSpike Islandで体験しているボーンヘッド。ギグジーと一緒にジャクソン・ポロック風にペイントを施した車、通称「ボーン・モバイル」で会場へ向かった彼は、当時マンチェスターの頂点だったバンドの姿を目にしている。

その悪名高い車をeBayで売りに出したらどうかと提案したが、当の昔に150ポンドのために潰してしまったという。「Definitely Maybe」のアートワークですら、eBayなら - 現時点で - 260ポンドで売られているのに!ボーンヘッドは笑って、今でもあのアートワークに映っているピンクフラミンゴは保管しており、装飾された窓枠も新しい家に取り付けたのだと話した。

The Vortexは、メンバー同士とても仲が良い。マニの誕生日といい、マンチェスターの音楽仲間のつながりは強いようだと私が話すと、ボーンヘッドはうなずき、マンチェスター出身の音楽の偉人達があまりに普通に日常生活を送っているため、時々それが不思議でならなくなる時もあるのだと話してくれた。つい先日も、ガソリンスタンドで給油をしていると、隣で至って普通にジョニー・マーが同じく給油をしていたという。本人にとっては日常に過ぎないのだろうが、他の客達はとても驚いた様子だったとか。ボーンヘッドにとっても、ジョニー・マーは今でも会うと感激してしまうほどの人物なのだ。

ボーンヘッドの行く先をファンが興味を示していることを伝えると、彼は当然とふんぞり返ることはせず丁寧にお礼を述べた。さらに、リアム・ギャラガーについて、セレブリティの地位を得た今でもファンに対して真摯な態度で接していると話を向けた。

「Definitely Maybe」のアートワークに登場しているメンバー達は、元気でやっているのだろうか?ボーンヘッドによれば、ギグジーは地元でとても幸せに暮らしており、今の人生に満足しているという。また、トニー・マッキャロルとは、今でも仲良くしているそうだ。そして、そのトニーが1995年にバンドをクビになった時は、とても悲しんだのだと打ち明けてくれた。

今でも、OASISは最初の3枚のアルバムが名作だと考えているボーンヘッド。自身とギグジーが離れた後のOASISをどう思っていたのだろうか?

「OASISはもうバンドじゃなくなってた。あえて言えばギャングかな。それでも素晴らしいことに変わりはなかったよ。俺は今でも彼らの一番のファンさ、いや、ファンだったが正しいのかな」。

プレスでも伝えられているように、バンドの分裂が伝えられているOASIS。インタビューを開始してから初めて、私たちは、ギャラガー兄弟の話題に入ることにした。まず、リアム・ギャラガーの新バンドについて話し始めた時、今でもリアムから「兄貴」と呼ばれるボーンヘッドは、とんでもない発言をぶちかました。

「電話を待ってるんだ。リアムならかけてくると思う。俺が必要だよ。これまでの経緯から考えればかけてくると思うな、でもどうかな?今俺はThe Vortexのメンバーだ。本気でやってるから、メンバーである限り、もし声がかかっても応えられない。俺はVortexとやっていくよ」。

リアム・ギャラガーは、2010年の初めには新バンドでニューアルバムのレコーディングを開始すると話しているが、本当に電話がかかってくるのかは知る由もない。もし現実にコールがあったとして、それでもボーンヘッドがVortexへの忠誠を守るなら、私は彼の誠実さに尊敬の意を示そう。

私が言いたいのは、バンドをやめて15年になるリズムギタリストが再びバンドの一員になり積極的に活動するなど誰が考えただろうということだ。首尾よく行けば、私達は2010年に元OASISのメンバー達によるアルバムが3枚は望めるというわけか.....。

夜は始まったばかりだ。Vortexがステージに上がり、インタビューを受けないフロントマンが座を仕切る。ボーンヘッドは慣れた様子で落ち着き払い、ニックは能力に見合うだけの自信を持って堂々と立ち、ショーンは自分の演奏に没頭し、マズはサングラスの向こう側で幸せそうに、寡黙なソングライター然としている。ボーンヘッドは「やつはそんなんじゃない」と話していたが。

スコットランドのファン達の心を満たして家に送り届けたVortexは、次なる目的地トーントンへと向かうため荷造りを始める。次にこのバンドをスコットランドで見る時は、さらにビッグになっているだろう。ボーンヘッドとその妻ケイトが、クリス・マーティンとグウィネス・パルトロウのような生活を送らない限り、私はVortexの将来を信じている。

彼らより前に出て来た輝けるホープ達と同じように、彼らもまたロックンロールのvortex(渦流)に消費されてしまわないよう、素晴らしいギターミュージックに希望を託そうじゃないか。ボーンヘッドの言葉を借りれば、「もう十分分かってるから」。ボーンヘッドがいる限り、彼らが渦潮に流されることはない。今回のインタビューで私はその確信を得たのだった。

Noel & Liam Gallagher - Q - 2002 May pt1

離婚のごたごたに、プレスに追われる週末。今のギャラガー兄弟には、鬱憤を晴らす機会をもうける必要がある。そう考えたQは今回、ノエル、リアムの二人を招き、思いの丈を話してもらうことにした。

本人達ですらあやふやな、結婚をするに至った理由。「みじめな小人」ことトム・ヨーク。そして発売も押し迫った「これまでで2番目に良い出来」らしいニューアルバム。「俺達に何を求めるんだ?」。インタビュアーであるマイケル・オデルは逆に尋ねられたのだった・・・・

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それは空気全体が湿った火曜の朝のこと。ノースロンドンにある、とあるパブである。
スタッフは、今から来るべき大仕事に意気揚々だ。地下にあるこのバーは、隣にビルディングを構えるBig Brother Recordsたっての要請により、貸切にされている。
しかし、間もなくして到着した二人の大酒飲みの姿を見た時、驚いたのはどちらもしらふで、至って普通の会話を交わしていたことだった。

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「ちょっと早すぎだよな」。

ノエル・ギャラガーが言う。

「同感」。

リアム・ギャラガーがつぶやく。

「紅茶でも飲まないとやってらんねえ」というなり、リアムは遠心力を使うように勢いよく立ち上がると、熱い紅茶2人分をテーブルに運んでくる。兄弟ならではの呼吸で、ノエルがリアムに灰皿を渡す。

ノエル・ギャラガー。キャンバス生地で織られたブルーのジャケットを羽織り、ボウルをかぶせたような髪型はご愛嬌だ。左手の薬指に結婚指輪はもうなく、代わりに3600万枚のレコードを売り上げたバンドのチーフにふさわしいサイズのルビーの指輪がはまっていた。しかし彼の指には、過去の生活の痕跡も残っていた。無意識に震えているのだ。まるで指にだけ絶え間なく電流が流れているかのように。

リアム・ギャラガー。フレアジーンズをだらしなく着こなし、赤いTシャツ、ジャケット、そしてバーバリーのスカーフを結んだ彼は、薄く色のついたサングラスの向こうから不躾な視線をこちらに向けている。

これから2時間、彼は時に不機嫌そうに(インタビュアー持参の自転車用ヘルメットを指して、「俺達が暴れたときのため?」と尋ねてきた)、時に親しみをこめて、時に滑稽に、そして時には意味不明の行動に出る(通りすがりの店員を呼びとめ、「ハンモック」を注文)。

さらにリアムは、罵詈雑言を並べて、恐れ多くも名誉毀損法の限界点へ挑戦する。
兄のノエルはそれに対して始終大声で笑い、頭を抱えてテーブルに突っ伏す。しまいには、一から出直してまともになったことも忘れて、リアムの悪ふざけに参加する有様だ。

前作「Standing On The Shoulder Of Giants」から2年、オリジナルのバンドメンバー、ボーンヘッド、ギグジーは遠く離れ、新しくゲム・アーチャーとアンディ・ベルが加入したOASIS。兄弟共に、結婚生活は破綻し、どん底まで落ちた二人の関係は、OASISが確立した英雄談の終焉が見えるぎりぎりのところまでいったのだ。
ノエルは、一度ロンドンを離れて郊外に落ち着き、再び戻ってきた時には、ドラッグを断ち切り、ボノの影響で本の虫に豹変していた。

ニューアルバム「Heathen Chemistry」のタイトル(ノエルがイビサの古着屋で買ったTシャツに書かれていた「The Society Of Heathen Chemists」が由来)では、そのノエルの変貌もあいまってリアムと口論になったようだ。
そしてシングル「The Hindu Times」も2001年の10月には発売される予定が、延期されたのも「十分な出来じゃなかったから」という理由。

このように私生活でもバンドとしても大騒ぎをされているということを知ってか知らずか、リアム・ギャラガーは自分なりのペースを守って新曲を3曲書き上げ、ゲム・アーチャーも「Hung In A Bad Place」を完成させた。

確かに今、OASISの新しいステージが始まったのだ。

「飛行機さ」と、たとえを出すノエル。「1つのエンジンよりは4つのエンジンがあったほうがいい」。

4つのエンジンを兼ね備えたジェット機、OASISの新作を聴いたポール・ウェラーは「ロック」と一言で言い表した。

このインタビューが行われる2,3日前、Travisのギタリスト、アンディ・ダンロップの家にテープを持っていったリアムは「スピーカーに耳をくっつけてさせてダギー(Travisのベーシスト)も一緒に、夜10時から朝5時までアルバムを聴かせてやった」そうである。

二人の感想は「いいね」。
リアムが第3者の公平な意見を望んだとは驚きだ。

テープを試聴してもらう前に、「気に入らないなら、外につまみだして車で轢く」と脅したことは別として。

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これまでの発言では、「Be Here Now」は「コカイン中毒の間抜け二人」が作った作品。「Standing On The Shoulder Of Giants」は、「間違ったスタート」ということですが、今度の「Heathen Chemistry」はどういう位置づけになるのでしょう。

ノエル:「She Is Love」以外、パーソナルな曲は一つも入ってない。だから、自分のために書かれた曲だと、勝手に勘違いするのはやめるんだな。「She Is Love」。日曜の晴れた朝目覚めると、愛する女性が「紅茶飲む?」と話しかけてくる、そういう曲さ。つまり「人生は素晴らしく、彼女はクール」と実感してる男の曲。サラといると、心が落ち着く。こういう風にしなきゃならないだの、翌朝5時まで予定ある?だの、そういうくだらないことに巻き込まれずにすむんだ。

リアム:こいつの書いたパーソナルな歌詞では「俺の×××は12インチ。分けてやってもいいぜ」ってやつくらいしか歌ったことがない。俺はシンガーだから、別にそういう歌詞でもかまわねえけど。ただ自分なりに感情を注ぎ込むだけさ、じゃなきゃ一切タッチしないかどっちかだ。

「Force Of Nature」の歌詞は?「You're smoking all my stash/You're burningall mycash/ It's all overtown/The sun's going down/On your easy life.」。メグ・マシューズのことを皮肉っているように聞こえます。

ノエル:誤解だよ。前のアルバムの時にはもうあった曲なんだ。「Love , Honout & Ovey」っていう映画のために作った曲で、ジョニー・リー・ミラー・がドラッグを盗み出すシーンに使われてる。1998年の作品だからチェックするんだな。採用されて光栄だね。

今でも「結婚」を神聖なものと考えてる?

リアム:幸せな結婚なんてありえねえな。4人の女と違うセックスを楽しみたいんなら、その数だけリングを交換する。それだけのことさ。今日はあの女、次の日は別の女。俺は一人でいるよりは誰かと一緒にいたいし、それがガールフレンドだったらより良いと思ってるだけだ。

二人とも結婚生活が上手くいかなかったのには何か問題が?

ノエル:結婚なんてバカらしい。俺はこう言うやつが大嫌いなんだ。「ああ、ついにソウルメイトを見つけた」。アホか。ソウルメイトはたった一人、神様だけだ。
まず、どうして結婚しちまったのか自分でもわからないよ、弱ってたんだろうな。

リアム:俺はいやいや結婚させられたんだ。計画結婚じゃなくて無計画結婚さ。

あなた達はいい父親だったんでしょうか?

ノエル:どうして俺にばかり、結婚の話を持ち出すんだ?トム・ヨークの結婚話はだれもしようとしないよな。

リアム:たぶんあいつの嫁も、あいつと同程度に違いないぜ。みじめな小男とみじめなその妻。そんなやつらのことを誰が知りたがる?

あなた達のガールフレンド同士の関係はどうなんでしょう?サラと二コルは上手くやってる?

リアム:ああ、一緒に出かけてメシ食ったりしてるよ。ツバかけあって「黙りなさいよ!」って言い合ったりはしてないさ。俺達がフットボールのことで話してる間、二人で楽しくやってる。

リアム、特別な人を見つけたと気づいたのはいつだったんですか?

リアム:最初に会った時から夢中だったよ、フランスだったかな。一緒に出かけると、自分で自分が楽しんでることに気づいたんだ。二コルとならバカなこともできる、友達みたいな関係だよ。飲むのも好きだし、パブも好き。前のガールフレンドは、パブの中をのぞこうとすらしなかったからな。自分のことをファッキンエリザベス・タイラーかなんかと勘違いしてたぜ。「パブに来いよ」と誘ったら、鼻であしらって「パブですって?くだらないわ!」。ああそうか、でも俺の中では最高の場所だ。そこが違うのさ。二コルの場合、一日中一秒たりともグッチから離れないなんてこともない・・・そんなことしたらついにはグッチも臭くなっちまうからな。

ノエル:二コルが素晴らしいのは、金目当てでOASISのガールフレンドになったnじゃないところだ。

親権問題など大変では?

リアム:取引はしない。俺は毎週息子に会うし、パッツィにはその間のこともちゃんと伝えてる。慰謝料も払ってる。面倒だけど、決まったことだからしょうがねえ。

ノエル、あなたとメグの関係は、1998年にあなたがドラッグをやめてから上手く行っていたように見えました。再び分かり合えたとまで言ってましたよね。なのにどうなってしまったの?

ノエル:色々あったんだよ。原因が俺のドラッグだったかについては、話したくないね。でもはっきり言っておくが、離婚は正しい決断だったと思ってる。別に邪悪な企みが裏にあるわけじゃない。お互いに罵倒しあうつもりもないし、俺は誰も憎んではない。彼女に対して敵意を抱いてるわけじゃないんだ。俺はロビー・ウィリアムズじゃないからな、そうだろ?順調に人生を送ってる。本当だぜ。最高さ。俺は彼女に伝えることが一つもなくなって、彼女も俺に伝えることがなくなった。だから俺が「もう終わりだ」と切り出した。後は、アナイスのことを考えて具体的にいつ離婚するか話しただけさ。それだけだ。

しばらく「Wonderwall」を演奏しませんでしたが、その原因はやはり、あの曲がメグについて書かれたものだからでしょうか。

ノエル:よく聞けよ。あの時期はあの曲を上手く演奏することが出来なかったんだ。テンポが遅すぎるか早すぎるかしてな。今ではちゃんとギグの終わりに演奏してる。決して、メグについて書かれた曲だからという理由で、演奏しなかったわけじゃない。

あなた達二人の仲はどう?

リアム:良くするためには、一度どん底まで堕ちる必要があったのさ。堕ちたばかりの時はマジで最悪な気分だったぜ。それに、俺達二人でプレスに記事のネタも提供してやんなきゃ、TravisやColdplayに流れちまうだろ。どのバンドも良い子ばかりだけど、全くリアルじゃねえ。殴り合ってけなしあって蹴飛ばしあうのが本当の姿だ。

ノエル:今はリアムと上手くやってるよ、俺が心を広く持つようにしたからだ。これまでは「俺がボスだ。言うことが聞けないなら出て行け」と思ってたからな。それとこの5年間、俺がこいつのことをイギリス一のソングライターだと言うたびに皮肉と捉えられてたようだが、俺はあくまで本気だったんだぜ。リアムの新曲はすごい。

リアム:イギリスどころか、俺は世界一のソングライターだ。

でも、デビュー当初は、ボーンヘッド、ポール・マッギガン、そしてトニー・マッキャロルがいるOASISが最高だと言ってなかった?

ノエル:いや。

リアム:言ってねえよ。今の俺達が最高のバンドだ。

やめた3人とは今でも交流はあるの?

リアム:朝の3時に、ボーンヘッドからくだらねえ電話をもらったことならあるよ。まあ、いいけどさ。

ノエル:ボーンヘッドとは一言も話してない。あいつら何か企んでるぜ。ボーンヘッドとギグジー、マッキャロル、そしてどっかのバカ4人で、俺のところにやってきて「7人編成のジャズバンド作ったんだ」と言いに来るに違いない。消えてくれ。

ボーンヘッドはクビにしたの?

ノエル:自分でやめたのさ。俺はバンドから人を追い出すようなことはしない。OASISは(リアムを指して)こいつのバンドだからな。俺は最後に入ったメンバーにすぎない。ボーンヘッドの方が先にバンドにいたわけだし。確かにフランスでは喧嘩をしたよ、あいつが、バカみたいに子供じみたことばかりするからさ。その時の俺達は、(再びリアムを指して)こいつをどうにか3ヶ月パブから引き剥がして、ちゃんと歌わせようとしていたというのに。

リアム:だからちゃんと歌っただろ!

ノエル:そうだな。それなのにボーンヘッドはみんなの顔にワインをぶっかけて、俺達の計画を台無しにした。レコーディング期間は、酒を絶とうと決めたのにも関わらず、あのバカは、朝の5時にみんなのベッドルームのドアを蹴破って、眠ってるやつらの顔にワインをぶっかけたんだ。その中に、レコーディングに参加していたエンジニアがいたから、事件が表沙汰になった。俺はそんなこと全く知らないわけだろう。そのエンジニアが話の最後に「毎晩こうなんだ」と付け加えたもんだから、俺は頭にきて「それなら明日の真夜中、俺がボーンヘッドのドアを蹴り破って、ベッドから引きずり出して『ほら、どんな気分だ?』と言ってやるよ」と言ったんだ。翌朝、ボーンヘッドは起きてくるなり「もう限界だ」と言ってきた。だから俺は「お前、どうせやるなら俺達にワインをぶっかけてみろよ。あのエンジニアは俺達のために働いてくれてるんだ。朝の5時にビールを頭にかけてくるようなクズは、ここに必要ない」。だからボーンヘッドはバンドを辞めることを決心した。たぶん俺達が向き直って「お願いだから残ってくれ!」というと思ってたんだろうが、俺がかけた言葉は「タクシー呼んでやるよ」だ。それから、あいつとは話してない。OASISの場合、一度やめたら、二度目はない。

リアム、ジョージ・ハリソンがOASISに対してマイナスのコメントをした後に、「ゴルフクラブで、あいつの頭を吹っ飛ばす!」と言ったことを後悔してる?

リアム:全然。OASISだけじゃなく、俺のこともバカにしたからな。ろくに知りもしないくせに。もし俺にもその時が来たら、天国に行ってちゃんと話をつけてくるよ。でも、彼が世界でも最高のソングライターであることに変わりはないし、俺は今でも彼の作った音楽は大好きなんだ。素晴らしい男さ。

ノエル:ヘンリーでのボンファイア・ナイト・パーティで、彼に会ったよ。デニムジャケットに長い髪をした男が、ハイネケン2缶を持って俺の隣に座り、「飲むか?」と言ってきたんだ。振り向くと、ジョージ・ハリスンだよ。1時間半ほどギターの話で盛り上がった。めちゃくちゃかっこよかったぜ、立ち上がって「話せてよかったよ、そろそろ行かなきゃ」ってさ。

リアム:昨夜、やつが夢に出てきたんだ、で・・・・。

ノエル:どんな夢だ?

リアム:ゴルフクラブで頭を吹っ飛ばしたのさ!

Liam Gallagher - Uncut - April 2000 pt1

レノン君が生まれてから人生変わった?

リアム:今も感動しっぱなしさ、わかるだろ、あいつはまさに今この世に誕生したばかりなんだ。これからも俺は変わっていくと思う。人間が変わるとかそういう意味じゃなくて気づかせてくれたんだ、これまでのようじゃいけないってね。

何が変わったのでしょう?

リアム:少しずつだよ。手始めにパブにこもってみた。

良い人間に生まれ変われると思います?

リアム:さらに良い男になってやるぜ、少なくともレノンの周りにいる時の俺は最高だ。ていうか俺はいつも良いやつだっただろ。悪いことをした時もあったけど、それでも俺は人から好かれるタイプだった。

子供をもつことより特別なことはあるでしょうか?

リアム:ない。子供を持つのが最高さ。俺達はそのために生きてるんだから。

誕生の瞬間には立ち会いました?

リアム:立ち会ったよ。レコーディングの最中で、車で家に帰る途中だった。予定日の1ヶ月前だったな。そしたら電話がかかってきて、今すぐ病院に来いっていうから、俺は「マジかよ…」って思ってさ。病院に行ったらもう陣痛が始まってたんだ。そして医者が「よし、力んで」って言うから「俺が?」と思ったよ。

あわただしくて驚いたでしょ。

リアム:ああ、かなりショックだった。愚痴も吐きまくったけど、生まれてくる瞬間を見れて本当によかった。

レノン君を最初に見た時はどう思った?

リアム:わかんねえな、言葉にできなくてうなるだけしかできなかった。次に健康かどうか心配になって。でも、そうだな、素晴らしい気分だったよ。

お母様は孫の誕生を喜んだでしょう。

リアム:もう俺のことなんてどうでもいいんだ。会いにも来ねえよ。それでレノンが生まれてから状況が一変したことに気づいた。それまではこの世界で何よりも俺が一番だったし、それが俺の求めることだったんだ。でも今は違う。一番大切なのはレノンだ。

自分は二の次ってこと。

リアム:そうそう、その通り。おふくろにとってもそうだ。「来週遊びに行くわね」「でも来週は予定があるんだ」「あなたに会いたいわけじゃないわよ、レノンと遊ぶの」ってな具合でさ。

レノン君向けの曲は書いてる?

リアム:1曲書いてる、「Born On A Different Cloud」っていうんだ。まだ書きかけだけどな。

いつか聴けるでしょうか?

リアム:完成したらの話さ。良い感じだぜ。ピアノにのせて作ってるんだ。

作曲にはピアノを使うの?

リアム:そうしてきた。でもわかるだろ、俺はそこまで上手く弾けない。少しだけだ。生み出すことは出来るけどアレンジはできないんだ。だからその後はノエルに任せる。その核の部分を作って後は頭の中で組み立てる。それが俺の作曲の仕方だ。全部自分で完成させることは出来ねえんだよ。

ノエルが磨きをかけるんですね。

リアム:ああ、「Little James」みたいにね。最初はただ自分で楽しむためだったんだ。俺のメインの役割は歌うことで、たまに曲が作れればいいなってくらいだった。それをノエルが気に入ればさらに良い。そして気に入らなければ「わかった、ごみ箱行き」。それで満足さ。

レノン君に話を戻して。名前に注目が集まってますね。マッカートニーも自分の息子にはレノンとつけたいと話してましたが。

リアム:聞いたよ。すげえよな、笑える。そういえば昨晩オノ・ヨーコから電話があったんだ。

何て?

リアム:来週会いたいってさ。今クラリッジにいるらしいんだ。レノンが生まれて1週間後にこのカードを送ってくれた、ジョン・レノンが描いた小さな絵の入ったポストカードをね。「レノン家より、レノンへ。この世界にようこそ。ラブ、ラブ、ラブ、ヨーコ'99」と書いてあった。もう俺興奮しちゃってさ、「信じらんねえ」ってみんなに見せて回ったんだ。そしてニューヨークから大きな箱が届いて、中身はレノン宛の洋服だよ。ヨーコは子供用の服を作ってるだろ。「おいおい、こりゃ感謝のしるしに手紙でも書かなきゃなんねえだろ」と思って考えた。「一体何を書けば…」(頭をかきむしって書く仕草をしながら)。「親愛なるヨーコ様…くそ、こんなの書けねえ!」。書きたくなかったんだよ、「洋服をありがとうございます」なんてさ。もっと馬鹿に思われないように書きたかったんだ。だからもうやめた。今はロンドンにいるらしい、俺達が昨日リハーサルしたところさ、そこから彼女が「会いたい」って言ってきたんだ。だから昨夜家に帰ってから俺からかけ直した、番号も控えてあったから。「ヨーコ?」「そうだけど、どなた?」「ああ、リアムだよ」「ロンドンにいるのよ」「とにかく、洋服ありがとう」って言った。そしたら「ああ、電話をしたのは、ジョンの物で渡したいものがもっとあったからよ」って言うんだ。来週ヨーコはアビー・ロードに行くんだけど、その時俺達はアメリカだ。だから「見てほしかったんだけど」「行けないよ」「だったら、クリスマスにでも送るわ、私はすぐに戻るから、紅茶やビスケットが食べたかったらいつでもいらっしゃい、レノン君にあげるわ、大好きって伝えて」と言ってくれた。

彼女に対する印象が変わった?

リアム:嫌な印象を持ったことなんて一度もないぜ。「ヨーコのせいでビートルズは壊れた」とかぬかすやつらと一緒にするなよな。ビートルズが解散した原因は彼ら自身にある、そうだろ?電話でも感じ良かったぜ。それに、よく聞けよ。俺はジョンが大好きだ。尊敬してる。と同時に大馬鹿野郎で、自分勝手な人生を生きたとも思ってる。でも彼がヨーコを愛したんなら、俺も彼女を愛す。だから「ファック、ヨーコ」なんてほざくやつらと一緒にするな、俺のほうには何の問題もない。

OASIS以外での活動をするのには勇気がいった?スティーブ・クレイドックと一緒にやった「Carnation」のことだけど。

リアム:実は恐かったんだ。シングルにするつもりはなかった。Ocean Colour Sceneがスウェーデンかどっかで俺達のサポートをしてる時だったかな。みんな酔っぱらって、The Jamの話になったんだ。The Jamは良いと思うけど、俺は彼らの話をする年じゃないっていうか…。

あなたがThe Jamのファンだとは。

リアム:いや違うぜ。何曲か好きなものはあるし、ウェラーも好きだけど。で、The Jamやモッズの話になって、俺が「Carnationは良いよな」って言ったら、スティーブが「俺も好きだよ、いつかカバーしたいな」とうけた。とにかく、その後そのカバーを作って俺にテープを送ってきて「来週はロンドンにいるから、歌ってくれないか?」と言ってきたが「誰がやるか」って感じで無視してたわけ。そしたらパッツィが「また電話よ」「俺は誰かと一緒になんて歌わねえんだよ。そんなこと一度もやったことねえし」。でも、どうにかそういうのを抑えて、Primal Screamのスタジオで午後には仕上げた。まさかアルバムに入るとは思ってなかった、そういう企画があるのも知らなかったぜ。

つまりアルバム企画の前に作ったと。

リアム:そして去年(1998年)発売された。

OASISとは違った?

リアム:違うのはズボンの長さだけさ。俺達は34だけど、連中の丈の長さはここだ(脛をさして)。モッズだから脛を見せたいんだろ。

シングルとして出されたら、やっぱり1位を狙いますか?

リアム:いや、ポップで一番になろうとは思わない、OASISに戻るんだからさ。「何が悪い、OASISには良い曲があるし俺は歌って幸せだしこれより気持ちいいことなんてないぜ」だ。もし1位になったとして、そりゃ素晴らしいことだけど、俺はOASISで1位になるんだ。もし10位以内に入ってなかったとしても、良い曲なのに残念だと思うだけだな。

TV出演の際にはノエルが関わったという話だけど、彼はあなたを道徳的にサポートするためにそこにいたの?それともポール・ウェラーやスティーブの友達だから?

リアム:からかいにきたのさ。いや、馬鹿にするために来たかもな。野郎の集まりだよ、ただ飲むためだけの。

夜遊び、ということ。

リアム:そういうこと。

ボーンヘッドがOASISから脱退した時、新聞ではノエルとの喧嘩が原因と書きました。あなた達がレコーディングを行ったフランスでのことだと言うのですが、それは本当?

リアム:原因はそれだけじゃない。フランスに向かう1週間ほど前にアルバムのリハーサルをしてたんだ。俺は2分おきくらいにパブに行ってた。みんないつも遊んでばっかりいたから、俺も「仕方ねえな」と思ってパブに行ったんだ。みんなそこらへんで座り込んで、何か聴いてるだけだったから、パブに行くしかなかった。そして戻ったら、ちょっとリハーサルして、またくだらねえことやって、些細なことで口論が始まって。そしたら俺に電話だ。ノエルが「よく聞けよ、フランスに遊び目的で行くつもりなら、わざわざ来なくても良い」と抜かしやがった。俺は「この野郎…」と思って、電話越しに険悪なムードだ。で、電話を切ったらパッツィが俺をなだめて、「ノエルは正しいわ、やっと言ってくれたって感じよ」と言うのさ。つまりあいつ以外誰も俺に向かって「酒をやめろ」というやつはいなかったわけだ。馬鹿になってる俺に向かってな。パッツィは「飲んでる時のあなたってほんとに最悪だもの」とも言ってた。だから彼女の言葉に従って「わかったよ、しょうがねえな!」と思って、マーカスに「ノエルに電話して、『俺は良い子でいる、しらふでいる』と伝えろ」と言った。そして本当にフランスには酒無しで行ったよ。ボーンヘッドとの口論なんてちっとも無かったぜ。誰とも無いよ。ボーンヘッドは飲んでたしホワイトも飲んでた、みんな飲むさ。

新聞は彼のことを取り上げすぎだと思う?

リアム:そうだな、新聞にはノエルがパブに行くことを禁止したとかくだらねえことを書いてたよな。ドラッグを禁止にして「これで彼らのホーム(原点)に戻ったのだ」とかなんとか。なんだ、ホームって。俺達が今住んでる5000万ドルの家のことか?それが俺達の家に戻るってことなんだろうな。アルバムレコーディングの時は、みんな良い感じでやってた。ボーンヘッドはマンチェスターに引っ越そうとしてたから「俺は一度家に帰るよ、引越ししなきゃならないから。すぐ戻る」と言っただけだ。もし水面下で何かが起こってたとしても、俺は知らねえ。俺が言えるのは、俺が見たことだけだ。みんな上手くやってたし、音楽に入りこんでた。みんな曲を聴いてうなって飲んで「俺達最高だぜ」「この曲素晴らしいな」と言ってる時に、電話が入って、ボーンヘッドはもうバンドを抜けると聞かされたんだ。

その時のあなたの反応は?

リアム:最初は「それならそれでいいさ、どうにかなる」と思ったよ。OASISではよくあったことだろ?みんなが反発しあって、一週間それぞれ家に帰って次会う時には落ち着きを取り戻して「仲直り」だ。だからその時も「またかよ、あいつ何が気に入らなかったんだ?」と思ったくらいだった。直接話すことも出来なかったんだ、ボーンヘッドはマーカスに全部任せてたんだ。だから後は俺達だけでアルバムを仕上げて、家に帰った。どうにかボーンヘッドと話をしようとしたんだけど、あいつは「いや、もうツアーは十分なんだよ、子供と一緒にいたいんだ」って感じだった。

あなたは彼と話したの?

リアム:いや。あいつは電話してきたみたいだけど、俺は忙しかったんだ。今ボーンヘッドはマンチェスターに住んでて、バンドにいた時ほど近い関係じゃない。みんな結婚してるし、もともとそんなに頻繁に会わないんだ。パーティばかりやってるタイプじゃないからさ。特に俺は。ノエルはパーティ好きだけどな。会うのは、リハーサルかPV撮影の時くらいかな。それも今はやってないし…もし同じバンドにいなかったら、俺達に共通点は無いんだ。

彼がいなくなって辛かったのでは?

リアム:ああ、もし悩みを持ってたんなら、まあ俺は気づかなかったけど、俺達に話すべきだった。ずっと長いこと一緒にやってきて、そういう仲だと思ってたんだ。一緒にいる時にはいろいろ話してたのに。もし俺が悩んだら、メンバーに話す。ノエルでもホワイトでもみんなそうすると思う。あの2人がそう思ってなかったなんて、けっこうショックだったぜ。「実は話したいことがあるんだ」と言えない関係だったなんて。

飲み仲間じゃなかったの?

リアム:ホワイトやノエルとも一緒に飲んだぜ。ノエルはかなり飲みやがる。いや、みんな大酒飲みだな。飲まないのはギグジーだけだ。みんな仲間だった、そうだろ?だからそういうことを俺達に話してくれなかったのが、悲しいね。
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