ニューアルバム「Dig Out Your Soul」の発売も間近となった今回のNMEは、OASISのメンバーを一人ずつ招いて、真情を吐露してもらうことにした。これがノエルとリアムの口論を防ぐ唯一の方法だろう、たぶん・・・・。
OASISのレーベル「Big Brother」のオフィスのある一室である。NMEは、OASISのメンバーと個人インタビューを行うために、待機していた。
なんだか就職の面接をやっているような妙な感じだ。次々入っては出て行く。
彼らに、個々人でインタビューを受ける理由について尋ねれば、多様な答えが返ってくるだろう。
ノエル:もし俺達4人が一度にインタビューを受ければ、アンディとゲムは一言も喋らねえだろう。リアムは俺が言うこと全てに反論してくる。たとえ本心では 賛成していてもだ、あいつはその場を気まずくしたいだけなのさ。ゲムと俺が一緒にインタビューを受けても同じだ。インタビュアーはゲムには質問せず、俺に ばかり話しかけてくる。だから俺の方からゲムに「おい、お前が答えろ」と振るしかないんだよ。その時にちゃんと発言してくれればいいけどな。なぜなら、俺 にカメラが向けられている時は、誰も口を挟むことは許されないからだ。俺には言いたいことがたくさんあるんだよ!
アンディ:気にしてないよ。少なくとも今はちゃんと喋ってるからね。みんな面白くて一緒にいるだけで楽しいから、ノエルと一緒にいる時は黙って話を聞いてるだけなんだ。別にストレスにはならない。意見を言う必要を感じないんだ、そんなに言いたいことも無いしね!
ゲム:一人で受けた方が気楽だからかな。この形式の方が好きだよ。
リアム:さあな。他のメンバーと一緒でもいいし、一人で受けてもいいんだ。周りの意向次第さ。みんな納得してるから、上層部に文句も行かねえんだろう。た ぶん今回は、ノエルが(皮肉めいた口調で)ファッキン重要なことでも話したいんだろう、自分の考えを伝えようとしてる最中に口を挟んでくる弟に邪魔された くないのさ。たぶんな。あんまり深く考えたくないんだ。もし特別な理由があるとしても、俺は聞いてねえ。
さて、最初のメニューは?もちろん、シンガーで決まりだろう・・・。
リアム・ギャラガー、みなさんご存知の通り、彼は変わった。マッドな日々は過ぎ去り、今では立派な家庭人である。さらに付け加えるなら、健康で、幸せで、音楽作りにも熱心というところか。彼の毎朝の習慣と言えば、ランニングだ。
「俺は6時に起きる。アラームが鳴ったら始まりだ。軍隊並みだぜ。アラームが鳴ると同時に起きて、コーヒーを飲んで外に出て、8マイル走って7時30分に は家に戻り、新聞を取って、新聞を読み、子供達を起こして歩いて学校まで送って、家に帰ったら色々予定をこなし、外にメシを食いに行って、子供達を迎え る。特別なことはしてないよ」。
そして夜はと言うと?10時までにはベッドに入るというトラブルメーカーは、兄とは違う方向へ向かっているようだ。
「ノエルは、変なやつらとばかりつるんでるだろ、あのラッセル・ブランドとか。俺には合わないんだよ」。
さらにリアムは続ける。
「グルーチョ・クラブでも遊んでるよな、あそこって俺が出入り禁止になってる場所なんだ。ギャザ(訳注:ポール・ガスコンシンの愛称)と一緒になった夜の ことだよ。あいつがなれなれしい態度で古臭えジョークを言ってくるんだ、『ロール・ウィズ・イットしたいか?スープ皿と一緒にロール・ウィズ・イットした いのか?』『いい加減大人になれよ、クズ野郎』となって、消火器ぶっ放したら出入り禁止になっちまった。あれはあれで楽しい夜だったが、あそこには行けな くなったのさ。俺はもうああいうところには行きたくないんだ。ノエルとサラはそういう生活を楽しんでるが、俺と二コルはご無沙汰してる。俺が思うにノエル は年を取ったんだよ、年のせいで自由になってるのさ、41となれば、50はすぐそこだからな」。
バー巡りもしないというリアム。
「くだらねえ、何だありゃ、バーにいるバンドってみんなクソだよな?外に行ってわざわざ学生連中に靴踏まれる必要があるのか?俺は嫌だね。『お前のバンド は最悪だ!』って喧嘩売ってくるやつばかりだしよ、だから、俺はギグには行かない。趣味じゃない。何か面白いことでもあるんなら行ってもいいけど、家にい るほうが好きだ。革づくめで外に行くよりも、静かに過ごすほうに今ははまってる。家の中に入ってドアを閉める。パブに行って時間を無駄にするより他に、俺 にはやることがたくさんあるんだ。子供も大きくなって『どうしてパパは一日中ベッドでごろごろしてるのに、僕は学校に行かなきゃいけないの?』なんて言う んだぜ」。
喜ばしいことに、彼のライフスタイルの変化はバンドにも良い影響をもたらしているようだ。
毎朝のように、アビーロードスタジオに一番乗りし、バンド活動を満喫し、「Dig Out Your Soul」を「これまでで、一番楽に作れたアルバム」と言うリアムだが、ノエルをはじめ人々がニューアルバムを「グルーヴ主体のアルバム」と評価すること には賛同できないという。
「グルーヴィだろうが、グルーヴィじゃなかろうが、良いものは良いんだよ。このアルバムに乗って踊ろうが踊るまいが座ろうが逆立ちしようがどうでもいい。 OASISの音でさえあれば、俺はそれで満足だ。ダンスバンドになるつもりはない。変わったアルバムに聴こえるかもしれないが、俺からしてみればそうでも ない。どこからどう聴いても歌ってるのは俺だし、実際俺にとってはそれで十分だ」。
リアムは、バンドの方向性について考えることも好まない。
「みんなで座り込んで次は何をするか考えることはないんだ。絶対にない。『なあみんな、バンドはこの方向で行くべきだよ』なんて話し合うことはない、そんな必要ねえだろ?OASISというバンドは自由なスピリットを持っているから、その意思に任せるのみだよ」。
さらに、今でもノエルが主導権を握っていることを、リアムは認めた、たぶん。大方は。
「そうだな、ノエルは1日18時間はバンドのために働いてる。だから当然それなりの発言権はあるさ。あいつがボスだ、そうだろ?俺はそれで満足してる。で もな、俺とノエルの意見が合わなくて喧嘩をする時は、いつもあいつが勝つ、勝つとは言いたくないな、俺が勝たせてやるんだ。俺の方から一歩引いて『お前の 好きなようにやれよ、俺は休暇に出る』って感じさ。あいつが勝ってるわけじゃない。俺が譲ってやってるんだ」。
喧嘩でどちらが勝つのかはさておき、「Dig Out Your Soul」に関して一つ、確かなことがある。
「Bag It Up」や「The Turning」のような曲では、リアムの万全の声を聴くことができるということだ(「最近の自分の声は気に入ってる。昔の声は若すぎるんだ」)。
今回のアルバムで、ノエルがヴォーカルをとる曲があることが、リアムには気に入らないらしい(「俺の方がヴォーカルの腕は上、だから俺が歌うべきだ」)。
「Heathen Chemistry」、「Don’t Believe The Truth」に続いて、リアムが作曲作詞を担当した3曲は、ノエルやアンディ、ゲムのそれと比べて、大幅に個人的な内容となっている。
「ものについて曲を書くことはない、書きたいものなんてないんだ。俺は自分をテーマに曲を書く。他に俺のことを書けるやつなんていないからな。俺はユニー ク、俺はみんなとは違う、俺みたいなやつは他にはいない。音楽からインスピレーションを受けることもない。改めて求めなくても、俺の中には音楽があるんだ から」。
アルバムを締める「Soldier On」、ブルージーな雄叫び「Ain’t Got Nothin'」。しかし何といっても今回の主役は「I’m Outta Time」であろう。ジョン・レノンのインタビューがサンプリングされた、柔らかなバラードはアルバム随一の出来であるし、おそらくリアムの作品としても 最高作と言える。
「でも、俺はソングライターにはなりたくないんだ」と、リアムは言い張った。
「俺はあくまでシンガーで、時々2,3曲、みんなが気に入ったり気に入らなかったりする曲を作るだけ。曲を書くのは好きだけど、そのことで『そうだな、今 度の俺の曲は・・・』と、喋くりまくるほど周りが見えなくなるようなことはない。作曲という行為には、みんなが薀蓄を傾けるような特別な何かがあるとは思 うけど、俺は曲を書けなくなるよりも声を失うことの方が恐い。俺はシンガーだ。そういうことさ」。
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次はノエル・ギャラガー。発言と言う発言がニュースとして取り上げられるあの男である。弟が大人しくなってきた今、ノエルこそがOASISの声だ。
NMEの最初に紹介したように、言いたいことが山のようにある彼。
インタビューの依頼が次々と舞い込む今の時期を楽しんでるのでは?
「全くのクソだね、正直言って。くだらねえんだよ。俺の元にやってきて、目の前に座り、レコーダーをオンにして『では、今度のアルバムについて話してみ て』と、同じ質問ばかりだ。『他に何か話題はないのかよ?』って感じさ、わかるだろ?コーヒーテーブルのことでもいい、もっとユニークな質問をしてくれ、 俺の時間を無駄にするのはやめてくれ。アホみたいな質問をされてばかりだ・・・・ジャーナリスト達にとって、質問を考え出すのは難しいことだとは思うけど さ、それにしても『ニューアルバムについて教えて』だと?いい加減、フットボールでもナイフ犯罪のことでも違う質問をしてくれよ」。
ナイフ犯罪についてどう思う?
「全くひどいもんだよな。脳たりんによって引き起こされてるわけだが、おかしいのは、イングランドのみならず世界中で、この話題が一番の関心事になってる ことさ。『おいおい、この子達が道端で刺されただと!?イギリス社会はおしまいだな!今、僕達がやるべきことが何かわかるかい?ギグさ。フットボールスタ ジアムを借り切って、いくつかのバンドをステージに上げれば、何もかも解決するんだ』。むかつくぜ、そうだろ?『リリー・アレンを呼ぼう。彼女なら引き受 けてくれるよ』。俺も電話をもらったぞ。『僕達フィンズリー・パークでギグをするんだ、凶悪事件に対する関心を喚起するのさ!』『わかった、俺に何をし ろって言うんだ?』『ええっと、演奏してほしいんだよ』。で、どうなるんだ?ギグが終わって家に帰った時に、自分の身体に3ヶ所刺し傷があることに気づく ことになるのさ・・・・なあ、くだらねえだろ。まずはあのクズどもをどこかに閉じ込めろ、それが今やるべきことだ。でも社会がおかしくなってるよな、若者 の間にはニヒリズムが蔓延してる。不安になるよ」。
自分だったら解決できるのに、と思うこともある?
「解決するのは、クソ簡単さ!台所以外でナイフを持っていたら、2年そこらの懲役。釈放されてまたまた捕まったら、5年の懲役。その後も続くようなら10年の懲役だ。ただわめいてるように見えるだろうが、俺なら解決できる」。
なるほど。ノエル・ギャラガー。次期ロンドン市長。こういう考えもあるのですが・・・・
「そうさ!簡単だ。警官を増やそう。市長の座を争ってるバカが2人いるだろう(ケン・リヴィングストーンとボリス・ジョンソン)。Evening Standardでこういうのを見たんだ。『もし私が市長になったら、1500本の木を植えます』。翌日別のやつが『だったら、私は2000本植えま す』。その次の日、『それなら、私は2千と何百・・・』。ったく、木が何だって言うんだよ!犬の小便用に植えるのか?そんなことよりも、街に警官を増やし てくれ。俺はここ10年、家の周りで警官を見かけたことがないぞ。木だと!?木が必要なら、公園にでも行けよ、公園が近くにないなら、裏庭にでも座っと け。裏庭がないなら、引っ越せ。引っ越す余裕もないなら、ギターを習え、俺みたいにな。そうすれば、裏庭も公園のように思えてくるさ」。
このインタビューが始まって早く、ノエルは「トルコ帽をかぶり、スモーキングジャケットを着けて、スタン・ローレルを気取って、午前の煙草を楽しみ」ながら、「Dig Out Your Soul」を聴いていた。ノエルの、大大好きなアルバムである。
何曲かはライブで演奏するのが難しいのだそうだ。
「苦労してるよ、レコードみたいにたくさんのギターを弾くことはできないだろう。だから俺とゲム、ギタリスト2人でやるのは少し難しくなるのさ」。
「The Turning」では、キーボードまで弾いているノエル。
しかしながら、全てをひっくるめて彼は、このアルバムを「ゲムとアンディがOASISに入って以来目指していたアルバム」と表現した。
また、弟リアムの「OASISの曲は全曲俺が歌うべきだ」発言に対しては、きっぱり反対した(「リアムはいつもそういうクソみたいなことばかり言うんだよ。俺だってOASISの曲は全曲自分で書きたいんだ。思い通りにならないことってのがあるんだよ」)。
しかし、それ以外の事柄、小さな仲違いをのぞいて、2人の関係は上々のようだ。
3曲のノエルの曲。「The Shock Of The Lightning」、「Falling Down」、「Come On, It’s All Right」、これは2,3日で仕上げたという新曲だ。
「30曲も曲が余ってるんだ。どう片付ければいいのかわからないよ」。
ため息をつく。
「誰かに歌ってもらおうかな?女の子が歌えそうなのも、2,3あるんだ。でも誰にしよう?エイミー・ワインハウス?あいつは俺がもう1曲提供する前に死んじまうな。ダフィーでも良いかも。映画に提供してもいいが、腐ったロマンティック・コメディはごめんだ」。
ジェームス・ボンドのテーマ曲はどうですか?ジャック・ホワイトも手がけましたよね。
「イギリスの誇るスパイが、毎回ファッキンアメリカ人どもにサウンドトラックをつくってもらってるなんて、ふざけた話だよな。でも、いいぜ。俺が2,3曲書いてやるよ」
本当に?タイトルは?
「ええっと、全然ボンドっぽくないタイトルなんだ。だからタイトルはその都度つけなおす必要があるな。最近書いた曲が、聴きなおしてみると『おいおい!こ れはボンドのテーマにぴったりだぞ!』ってやつでさ。でもそのタイトルがFreaky Teethだからな。この曲から想像するに、ジェームス・ボンドの新作は、めちゃくちゃサイケデリックで・・・」。
ジョーズ(訳注:「007/私を愛したスパイ」に登場する暗殺者)が帰ってくるかも。
「そうだな!どうなるかわからねえけど、A Different Way To DieとかDie Another Dayなんて曲は、俺なら絶対に書かない。いつだって何らかの形で死がつきまとってるだろう」。
流れに逆らって「Live Forever」を提供したら?
「それもいいけど、レコーディングしなおさなきゃならないし。とにかく話を戻して、余った曲をどうしたらいいのか困ってるんだよ」。
今の時点では、それがノエル・ギャラガーにとっての最大の悩みらしい。悪くはない悩みではないか。そうだろう?
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ゲムは、夢の世界に生きている。
「アビーロードへと歩いていると、ビートルズの魂へとつながってる気分がする」と語った、OASISのギタリスト。
ノエルに、アルバム中の曲が気に入らない時、ゲムはどういう態度をとるのかと尋ねると、彼は次のように話した。「直接口に出さずに伝えるのさ、家の周りを飛び跳ねたりしてな。ゲムは反対することが多いんだ、遠まわしに伝えてくるよ」。
これは決して批判ではあるまい。
ゲム・アーチャーは、たぶんあなたがこれまで出会った中でも最高に面白い男である。OASISの要的存在。
「Dig Out Your Soul」では、「To Be Where There’s Life」を提供している。「この曲のまとまった感じが好きなんだ」と、自身の曲について熱く語ったゲム。彼の言葉の端々には常に情熱が感じられる。
「曲の構想はどこからともなく湧いてきた。アルバムの方向性は大まかに決まっていた頃に、ノエルにこの曲のインストゥルメンタルで聴かせたんだ。そしたら 『歌詞は作ったのか?』と聞かれて『いや』と答えた、でも結果としては良い週末になったよ、いつもは歌詞を書くのに何週間もかかるのに、今回は2,3日で 済んだんだ」。
ゲムに関してもっと重要なことは、ギャラガー家の兄、弟の2人を相手にデモをレコーディングをできるのが、彼のみということだ。「Dig Out Your Soul」の中には、ゲムの自宅でデモを作った曲もある。
「ノエルは、自分が目指す方向をしっかり持っている、たとえ最終的には思い通りにはいかなくてもね。彼はとても保守的なんだ、Portastudioさえ 持ってないんだぜ、全て頭の中で作り上げる。ノエルの作曲の仕方は、絵を描いてるような感じなんだ。4層目がのっかるまで2層目の意味が誰にもわからな いってこと」。
「リアムは正反対だね。彼も自分なりの音を持っているけど、もっと柔軟だ。全て自流で学んできたから、どの音が正しく、どの音がイメージと違うのかはっき りわかっている。プロデューサーとしても優れてるよ。誰がお門違いのことをやっているかすぐに気づくんだから。リアムよりもノエルの方がプロデュースには 入れ込んでるみたいだけどね」。
つまり、今でもノエルがOASISのリーダーだと?
「そうだよ、彼こそリーダーさ。でも前よりもみんなの意見を取り入れるようになってる。僕達も意見を言えるんだ。ノエルは物事を正しい方向に運ぶにはどうしたらいいかを知っている、それにアイディアを出すのも彼だしね」。
ギャラガー兄弟双方の文句の聞き役でもあるゲム。
「いっつもそうなんだよ!ノエルがこう言ってくるんだ。『あいつは俺をまんこ野郎扱いしやがる!』『僕はそういう扱いをされないけどな』『そりゃそうだ ろ!』。リアムも同じさ。2人の喧嘩はちょっとした遊びみたいなもんだよ。心配するようなことじゃない。いつかみんなで集まって何もかも上手く行く時が来 たら嬉しいけど、それじゃOASISじゃない。それにバンドとして活動していない時、リアムは本当に自分の生活を大切にするんだ。リアムが出てきても、ノ エルがどこかに行ってるのさ。そういうものなんだ。それでいいんだよ」。
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出番が最後だからといって、最小の存在ではない。
OASISの中でも大人しいベーシスト、アンディ・ベル。彼自身も「自分の人生に満足している。人の後ろにいても十分幸せ」なのだという。
ゲムと同じく、「Dig Out Your Soul」には「Nature Of Reality」1曲を提供している。
この曲は「その当時僕の頭の中にあったことをはっきり捉えている」のだそうだ。
アンディは新しいドラマーのクリス・シャーロックのことを話したがっていた(「Supersonicのドラムの叩き方をよく心得てるんだ!」)。
昔からOASISの大ファンだったアンディだが、OASISに入る前にもRideで素晴らしいアルバムを世に送り出している。
いつかは自分一人で音楽を作り出したいと話す彼(「いつかはそうしようといつも言って回ってるんだ。今はOASISの音楽に合うと思うものを提供しているわけだろう、もちろん合わないこともあるけれど」)。
しかし、今現在は、OASISのベーシストという地位に満足しているという。これまでもずっとそうだったように。
「僕とゲムは、OASISのセッションミュージシャンで終わることだってありえたんだ。それでも素晴らしい体験だっただろうけどね。70年代のローリン グ・ストーンズみたいだろうと思っていた。発売されたアルバムを聞き直してみたら、昔の曲ほど出来がいいってことさ。。僕は、OASISもそうなるだろう と予想していたし、それでも良いと思っていた。でも実際入ってみたら、今でもフル稼働しているバンドだったんだよ」。
謙虚なアンディは、今回のアルバムでベースを演奏しているのは、ほとんど彼以外の人物であることを、簡単に認めた。
「スタジオではゲムがよくベースを弾いていたし、ノエルもベースが上手いんだ・・・出来の良いベースラインがあったら、それは2人のものだよ。一つはゲム の曲のもので、僕が挑戦して出来ずにいたら、ゲムがベースを取り上げて完璧に弾いてみせたんだ。ノエルも同じような感じでベースを弾いていた」。
バンド内での役割については、ゲムに似た考えを持っている。
彼に、曲に関して拒否権を発動することはできたのか尋ねてみた。きっと巧みな手腕を使うに違いない。
「そうだな、自分の意見は持ってるけどそれで争うことはないんだ。だって同じバンドなわけだしね」。
ほらね?
「時々、僕らは自分の好きな音楽に取り憑かれた人間の集まりだなと思うことがあるんだ。みんな心が狭くて、互いに非難しあって、境界を狭く狭くしようとし ている。でもそれが、最上のバンドを絞り込んでいった時に、OASIS以外のバンドが脱落する理由にも思えるんだよね。結局最後に残るのはOASIS、そ ういうことさ!」。
ビルディングの外では、ヴィンテージのミニがアンディを待ちかまえている。これからツアー前のリハーサルに赴くのだ。ギャラガー兄弟ももう立ち去ってしまったから、口論やいざこざを心配する必要はない。ああそうだ、ナイフ犯罪は解決せねばならないけれども。
OASISのレーベル「Big Brother」のオフィスのある一室である。NMEは、OASISのメンバーと個人インタビューを行うために、待機していた。
なんだか就職の面接をやっているような妙な感じだ。次々入っては出て行く。
彼らに、個々人でインタビューを受ける理由について尋ねれば、多様な答えが返ってくるだろう。
ノエル:もし俺達4人が一度にインタビューを受ければ、アンディとゲムは一言も喋らねえだろう。リアムは俺が言うこと全てに反論してくる。たとえ本心では 賛成していてもだ、あいつはその場を気まずくしたいだけなのさ。ゲムと俺が一緒にインタビューを受けても同じだ。インタビュアーはゲムには質問せず、俺に ばかり話しかけてくる。だから俺の方からゲムに「おい、お前が答えろ」と振るしかないんだよ。その時にちゃんと発言してくれればいいけどな。なぜなら、俺 にカメラが向けられている時は、誰も口を挟むことは許されないからだ。俺には言いたいことがたくさんあるんだよ!
アンディ:気にしてないよ。少なくとも今はちゃんと喋ってるからね。みんな面白くて一緒にいるだけで楽しいから、ノエルと一緒にいる時は黙って話を聞いてるだけなんだ。別にストレスにはならない。意見を言う必要を感じないんだ、そんなに言いたいことも無いしね!
ゲム:一人で受けた方が気楽だからかな。この形式の方が好きだよ。
リアム:さあな。他のメンバーと一緒でもいいし、一人で受けてもいいんだ。周りの意向次第さ。みんな納得してるから、上層部に文句も行かねえんだろう。た ぶん今回は、ノエルが(皮肉めいた口調で)ファッキン重要なことでも話したいんだろう、自分の考えを伝えようとしてる最中に口を挟んでくる弟に邪魔された くないのさ。たぶんな。あんまり深く考えたくないんだ。もし特別な理由があるとしても、俺は聞いてねえ。
さて、最初のメニューは?もちろん、シンガーで決まりだろう・・・。
リアム・ギャラガー、みなさんご存知の通り、彼は変わった。マッドな日々は過ぎ去り、今では立派な家庭人である。さらに付け加えるなら、健康で、幸せで、音楽作りにも熱心というところか。彼の毎朝の習慣と言えば、ランニングだ。
「俺は6時に起きる。アラームが鳴ったら始まりだ。軍隊並みだぜ。アラームが鳴ると同時に起きて、コーヒーを飲んで外に出て、8マイル走って7時30分に は家に戻り、新聞を取って、新聞を読み、子供達を起こして歩いて学校まで送って、家に帰ったら色々予定をこなし、外にメシを食いに行って、子供達を迎え る。特別なことはしてないよ」。
そして夜はと言うと?10時までにはベッドに入るというトラブルメーカーは、兄とは違う方向へ向かっているようだ。
「ノエルは、変なやつらとばかりつるんでるだろ、あのラッセル・ブランドとか。俺には合わないんだよ」。
さらにリアムは続ける。
「グルーチョ・クラブでも遊んでるよな、あそこって俺が出入り禁止になってる場所なんだ。ギャザ(訳注:ポール・ガスコンシンの愛称)と一緒になった夜の ことだよ。あいつがなれなれしい態度で古臭えジョークを言ってくるんだ、『ロール・ウィズ・イットしたいか?スープ皿と一緒にロール・ウィズ・イットした いのか?』『いい加減大人になれよ、クズ野郎』となって、消火器ぶっ放したら出入り禁止になっちまった。あれはあれで楽しい夜だったが、あそこには行けな くなったのさ。俺はもうああいうところには行きたくないんだ。ノエルとサラはそういう生活を楽しんでるが、俺と二コルはご無沙汰してる。俺が思うにノエル は年を取ったんだよ、年のせいで自由になってるのさ、41となれば、50はすぐそこだからな」。
バー巡りもしないというリアム。
「くだらねえ、何だありゃ、バーにいるバンドってみんなクソだよな?外に行ってわざわざ学生連中に靴踏まれる必要があるのか?俺は嫌だね。『お前のバンド は最悪だ!』って喧嘩売ってくるやつばかりだしよ、だから、俺はギグには行かない。趣味じゃない。何か面白いことでもあるんなら行ってもいいけど、家にい るほうが好きだ。革づくめで外に行くよりも、静かに過ごすほうに今ははまってる。家の中に入ってドアを閉める。パブに行って時間を無駄にするより他に、俺 にはやることがたくさんあるんだ。子供も大きくなって『どうしてパパは一日中ベッドでごろごろしてるのに、僕は学校に行かなきゃいけないの?』なんて言う んだぜ」。
喜ばしいことに、彼のライフスタイルの変化はバンドにも良い影響をもたらしているようだ。
毎朝のように、アビーロードスタジオに一番乗りし、バンド活動を満喫し、「Dig Out Your Soul」を「これまでで、一番楽に作れたアルバム」と言うリアムだが、ノエルをはじめ人々がニューアルバムを「グルーヴ主体のアルバム」と評価すること には賛同できないという。
「グルーヴィだろうが、グルーヴィじゃなかろうが、良いものは良いんだよ。このアルバムに乗って踊ろうが踊るまいが座ろうが逆立ちしようがどうでもいい。 OASISの音でさえあれば、俺はそれで満足だ。ダンスバンドになるつもりはない。変わったアルバムに聴こえるかもしれないが、俺からしてみればそうでも ない。どこからどう聴いても歌ってるのは俺だし、実際俺にとってはそれで十分だ」。
リアムは、バンドの方向性について考えることも好まない。
「みんなで座り込んで次は何をするか考えることはないんだ。絶対にない。『なあみんな、バンドはこの方向で行くべきだよ』なんて話し合うことはない、そんな必要ねえだろ?OASISというバンドは自由なスピリットを持っているから、その意思に任せるのみだよ」。
さらに、今でもノエルが主導権を握っていることを、リアムは認めた、たぶん。大方は。
「そうだな、ノエルは1日18時間はバンドのために働いてる。だから当然それなりの発言権はあるさ。あいつがボスだ、そうだろ?俺はそれで満足してる。で もな、俺とノエルの意見が合わなくて喧嘩をする時は、いつもあいつが勝つ、勝つとは言いたくないな、俺が勝たせてやるんだ。俺の方から一歩引いて『お前の 好きなようにやれよ、俺は休暇に出る』って感じさ。あいつが勝ってるわけじゃない。俺が譲ってやってるんだ」。
喧嘩でどちらが勝つのかはさておき、「Dig Out Your Soul」に関して一つ、確かなことがある。
「Bag It Up」や「The Turning」のような曲では、リアムの万全の声を聴くことができるということだ(「最近の自分の声は気に入ってる。昔の声は若すぎるんだ」)。
今回のアルバムで、ノエルがヴォーカルをとる曲があることが、リアムには気に入らないらしい(「俺の方がヴォーカルの腕は上、だから俺が歌うべきだ」)。
「Heathen Chemistry」、「Don’t Believe The Truth」に続いて、リアムが作曲作詞を担当した3曲は、ノエルやアンディ、ゲムのそれと比べて、大幅に個人的な内容となっている。
「ものについて曲を書くことはない、書きたいものなんてないんだ。俺は自分をテーマに曲を書く。他に俺のことを書けるやつなんていないからな。俺はユニー ク、俺はみんなとは違う、俺みたいなやつは他にはいない。音楽からインスピレーションを受けることもない。改めて求めなくても、俺の中には音楽があるんだ から」。
アルバムを締める「Soldier On」、ブルージーな雄叫び「Ain’t Got Nothin'」。しかし何といっても今回の主役は「I’m Outta Time」であろう。ジョン・レノンのインタビューがサンプリングされた、柔らかなバラードはアルバム随一の出来であるし、おそらくリアムの作品としても 最高作と言える。
「でも、俺はソングライターにはなりたくないんだ」と、リアムは言い張った。
「俺はあくまでシンガーで、時々2,3曲、みんなが気に入ったり気に入らなかったりする曲を作るだけ。曲を書くのは好きだけど、そのことで『そうだな、今 度の俺の曲は・・・』と、喋くりまくるほど周りが見えなくなるようなことはない。作曲という行為には、みんなが薀蓄を傾けるような特別な何かがあるとは思 うけど、俺は曲を書けなくなるよりも声を失うことの方が恐い。俺はシンガーだ。そういうことさ」。
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次はノエル・ギャラガー。発言と言う発言がニュースとして取り上げられるあの男である。弟が大人しくなってきた今、ノエルこそがOASISの声だ。
NMEの最初に紹介したように、言いたいことが山のようにある彼。
インタビューの依頼が次々と舞い込む今の時期を楽しんでるのでは?
「全くのクソだね、正直言って。くだらねえんだよ。俺の元にやってきて、目の前に座り、レコーダーをオンにして『では、今度のアルバムについて話してみ て』と、同じ質問ばかりだ。『他に何か話題はないのかよ?』って感じさ、わかるだろ?コーヒーテーブルのことでもいい、もっとユニークな質問をしてくれ、 俺の時間を無駄にするのはやめてくれ。アホみたいな質問をされてばかりだ・・・・ジャーナリスト達にとって、質問を考え出すのは難しいことだとは思うけど さ、それにしても『ニューアルバムについて教えて』だと?いい加減、フットボールでもナイフ犯罪のことでも違う質問をしてくれよ」。
ナイフ犯罪についてどう思う?
「全くひどいもんだよな。脳たりんによって引き起こされてるわけだが、おかしいのは、イングランドのみならず世界中で、この話題が一番の関心事になってる ことさ。『おいおい、この子達が道端で刺されただと!?イギリス社会はおしまいだな!今、僕達がやるべきことが何かわかるかい?ギグさ。フットボールスタ ジアムを借り切って、いくつかのバンドをステージに上げれば、何もかも解決するんだ』。むかつくぜ、そうだろ?『リリー・アレンを呼ぼう。彼女なら引き受 けてくれるよ』。俺も電話をもらったぞ。『僕達フィンズリー・パークでギグをするんだ、凶悪事件に対する関心を喚起するのさ!』『わかった、俺に何をし ろって言うんだ?』『ええっと、演奏してほしいんだよ』。で、どうなるんだ?ギグが終わって家に帰った時に、自分の身体に3ヶ所刺し傷があることに気づく ことになるのさ・・・・なあ、くだらねえだろ。まずはあのクズどもをどこかに閉じ込めろ、それが今やるべきことだ。でも社会がおかしくなってるよな、若者 の間にはニヒリズムが蔓延してる。不安になるよ」。
自分だったら解決できるのに、と思うこともある?
「解決するのは、クソ簡単さ!台所以外でナイフを持っていたら、2年そこらの懲役。釈放されてまたまた捕まったら、5年の懲役。その後も続くようなら10年の懲役だ。ただわめいてるように見えるだろうが、俺なら解決できる」。
なるほど。ノエル・ギャラガー。次期ロンドン市長。こういう考えもあるのですが・・・・
「そうさ!簡単だ。警官を増やそう。市長の座を争ってるバカが2人いるだろう(ケン・リヴィングストーンとボリス・ジョンソン)。Evening Standardでこういうのを見たんだ。『もし私が市長になったら、1500本の木を植えます』。翌日別のやつが『だったら、私は2000本植えま す』。その次の日、『それなら、私は2千と何百・・・』。ったく、木が何だって言うんだよ!犬の小便用に植えるのか?そんなことよりも、街に警官を増やし てくれ。俺はここ10年、家の周りで警官を見かけたことがないぞ。木だと!?木が必要なら、公園にでも行けよ、公園が近くにないなら、裏庭にでも座っと け。裏庭がないなら、引っ越せ。引っ越す余裕もないなら、ギターを習え、俺みたいにな。そうすれば、裏庭も公園のように思えてくるさ」。
このインタビューが始まって早く、ノエルは「トルコ帽をかぶり、スモーキングジャケットを着けて、スタン・ローレルを気取って、午前の煙草を楽しみ」ながら、「Dig Out Your Soul」を聴いていた。ノエルの、大大好きなアルバムである。
何曲かはライブで演奏するのが難しいのだそうだ。
「苦労してるよ、レコードみたいにたくさんのギターを弾くことはできないだろう。だから俺とゲム、ギタリスト2人でやるのは少し難しくなるのさ」。
「The Turning」では、キーボードまで弾いているノエル。
しかしながら、全てをひっくるめて彼は、このアルバムを「ゲムとアンディがOASISに入って以来目指していたアルバム」と表現した。
また、弟リアムの「OASISの曲は全曲俺が歌うべきだ」発言に対しては、きっぱり反対した(「リアムはいつもそういうクソみたいなことばかり言うんだよ。俺だってOASISの曲は全曲自分で書きたいんだ。思い通りにならないことってのがあるんだよ」)。
しかし、それ以外の事柄、小さな仲違いをのぞいて、2人の関係は上々のようだ。
3曲のノエルの曲。「The Shock Of The Lightning」、「Falling Down」、「Come On, It’s All Right」、これは2,3日で仕上げたという新曲だ。
「30曲も曲が余ってるんだ。どう片付ければいいのかわからないよ」。
ため息をつく。
「誰かに歌ってもらおうかな?女の子が歌えそうなのも、2,3あるんだ。でも誰にしよう?エイミー・ワインハウス?あいつは俺がもう1曲提供する前に死んじまうな。ダフィーでも良いかも。映画に提供してもいいが、腐ったロマンティック・コメディはごめんだ」。
ジェームス・ボンドのテーマ曲はどうですか?ジャック・ホワイトも手がけましたよね。
「イギリスの誇るスパイが、毎回ファッキンアメリカ人どもにサウンドトラックをつくってもらってるなんて、ふざけた話だよな。でも、いいぜ。俺が2,3曲書いてやるよ」
本当に?タイトルは?
「ええっと、全然ボンドっぽくないタイトルなんだ。だからタイトルはその都度つけなおす必要があるな。最近書いた曲が、聴きなおしてみると『おいおい!こ れはボンドのテーマにぴったりだぞ!』ってやつでさ。でもそのタイトルがFreaky Teethだからな。この曲から想像するに、ジェームス・ボンドの新作は、めちゃくちゃサイケデリックで・・・」。
ジョーズ(訳注:「007/私を愛したスパイ」に登場する暗殺者)が帰ってくるかも。
「そうだな!どうなるかわからねえけど、A Different Way To DieとかDie Another Dayなんて曲は、俺なら絶対に書かない。いつだって何らかの形で死がつきまとってるだろう」。
流れに逆らって「Live Forever」を提供したら?
「それもいいけど、レコーディングしなおさなきゃならないし。とにかく話を戻して、余った曲をどうしたらいいのか困ってるんだよ」。
今の時点では、それがノエル・ギャラガーにとっての最大の悩みらしい。悪くはない悩みではないか。そうだろう?
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ゲムは、夢の世界に生きている。
「アビーロードへと歩いていると、ビートルズの魂へとつながってる気分がする」と語った、OASISのギタリスト。
ノエルに、アルバム中の曲が気に入らない時、ゲムはどういう態度をとるのかと尋ねると、彼は次のように話した。「直接口に出さずに伝えるのさ、家の周りを飛び跳ねたりしてな。ゲムは反対することが多いんだ、遠まわしに伝えてくるよ」。
これは決して批判ではあるまい。
ゲム・アーチャーは、たぶんあなたがこれまで出会った中でも最高に面白い男である。OASISの要的存在。
「Dig Out Your Soul」では、「To Be Where There’s Life」を提供している。「この曲のまとまった感じが好きなんだ」と、自身の曲について熱く語ったゲム。彼の言葉の端々には常に情熱が感じられる。
「曲の構想はどこからともなく湧いてきた。アルバムの方向性は大まかに決まっていた頃に、ノエルにこの曲のインストゥルメンタルで聴かせたんだ。そしたら 『歌詞は作ったのか?』と聞かれて『いや』と答えた、でも結果としては良い週末になったよ、いつもは歌詞を書くのに何週間もかかるのに、今回は2,3日で 済んだんだ」。
ゲムに関してもっと重要なことは、ギャラガー家の兄、弟の2人を相手にデモをレコーディングをできるのが、彼のみということだ。「Dig Out Your Soul」の中には、ゲムの自宅でデモを作った曲もある。
「ノエルは、自分が目指す方向をしっかり持っている、たとえ最終的には思い通りにはいかなくてもね。彼はとても保守的なんだ、Portastudioさえ 持ってないんだぜ、全て頭の中で作り上げる。ノエルの作曲の仕方は、絵を描いてるような感じなんだ。4層目がのっかるまで2層目の意味が誰にもわからな いってこと」。
「リアムは正反対だね。彼も自分なりの音を持っているけど、もっと柔軟だ。全て自流で学んできたから、どの音が正しく、どの音がイメージと違うのかはっき りわかっている。プロデューサーとしても優れてるよ。誰がお門違いのことをやっているかすぐに気づくんだから。リアムよりもノエルの方がプロデュースには 入れ込んでるみたいだけどね」。
つまり、今でもノエルがOASISのリーダーだと?
「そうだよ、彼こそリーダーさ。でも前よりもみんなの意見を取り入れるようになってる。僕達も意見を言えるんだ。ノエルは物事を正しい方向に運ぶにはどうしたらいいかを知っている、それにアイディアを出すのも彼だしね」。
ギャラガー兄弟双方の文句の聞き役でもあるゲム。
「いっつもそうなんだよ!ノエルがこう言ってくるんだ。『あいつは俺をまんこ野郎扱いしやがる!』『僕はそういう扱いをされないけどな』『そりゃそうだ ろ!』。リアムも同じさ。2人の喧嘩はちょっとした遊びみたいなもんだよ。心配するようなことじゃない。いつかみんなで集まって何もかも上手く行く時が来 たら嬉しいけど、それじゃOASISじゃない。それにバンドとして活動していない時、リアムは本当に自分の生活を大切にするんだ。リアムが出てきても、ノ エルがどこかに行ってるのさ。そういうものなんだ。それでいいんだよ」。
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出番が最後だからといって、最小の存在ではない。
OASISの中でも大人しいベーシスト、アンディ・ベル。彼自身も「自分の人生に満足している。人の後ろにいても十分幸せ」なのだという。
ゲムと同じく、「Dig Out Your Soul」には「Nature Of Reality」1曲を提供している。
この曲は「その当時僕の頭の中にあったことをはっきり捉えている」のだそうだ。
アンディは新しいドラマーのクリス・シャーロックのことを話したがっていた(「Supersonicのドラムの叩き方をよく心得てるんだ!」)。
昔からOASISの大ファンだったアンディだが、OASISに入る前にもRideで素晴らしいアルバムを世に送り出している。
いつかは自分一人で音楽を作り出したいと話す彼(「いつかはそうしようといつも言って回ってるんだ。今はOASISの音楽に合うと思うものを提供しているわけだろう、もちろん合わないこともあるけれど」)。
しかし、今現在は、OASISのベーシストという地位に満足しているという。これまでもずっとそうだったように。
「僕とゲムは、OASISのセッションミュージシャンで終わることだってありえたんだ。それでも素晴らしい体験だっただろうけどね。70年代のローリン グ・ストーンズみたいだろうと思っていた。発売されたアルバムを聞き直してみたら、昔の曲ほど出来がいいってことさ。。僕は、OASISもそうなるだろう と予想していたし、それでも良いと思っていた。でも実際入ってみたら、今でもフル稼働しているバンドだったんだよ」。
謙虚なアンディは、今回のアルバムでベースを演奏しているのは、ほとんど彼以外の人物であることを、簡単に認めた。
「スタジオではゲムがよくベースを弾いていたし、ノエルもベースが上手いんだ・・・出来の良いベースラインがあったら、それは2人のものだよ。一つはゲム の曲のもので、僕が挑戦して出来ずにいたら、ゲムがベースを取り上げて完璧に弾いてみせたんだ。ノエルも同じような感じでベースを弾いていた」。
バンド内での役割については、ゲムに似た考えを持っている。
彼に、曲に関して拒否権を発動することはできたのか尋ねてみた。きっと巧みな手腕を使うに違いない。
「そうだな、自分の意見は持ってるけどそれで争うことはないんだ。だって同じバンドなわけだしね」。
ほらね?
「時々、僕らは自分の好きな音楽に取り憑かれた人間の集まりだなと思うことがあるんだ。みんな心が狭くて、互いに非難しあって、境界を狭く狭くしようとし ている。でもそれが、最上のバンドを絞り込んでいった時に、OASIS以外のバンドが脱落する理由にも思えるんだよね。結局最後に残るのはOASIS、そ ういうことさ!」。
ビルディングの外では、ヴィンテージのミニがアンディを待ちかまえている。これからツアー前のリハーサルに赴くのだ。ギャラガー兄弟ももう立ち去ってしまったから、口論やいざこざを心配する必要はない。ああそうだ、ナイフ犯罪は解決せねばならないけれども。
