アームチェアに腰掛けたゲム・アーチャーは、OASISで過ごしたこれまでの9年間を静かに振り返る。 1999年に、ノエルに声をかけられてから、ブリットポップ期のパブ・ロック・バンドの元フロントマンであるダラム生まれのこの男は、そのまま世間から忘 れられていくという道から抜け出したのだ。
41歳になる彼は、OASISの正式メンバーであるのみならず、ノエル・ギャラガーのサポートにもついていく。キース・リチャーズにとってのロニー・ウッドのような存在だ。
今回のアルバムは大きなトラブルもなく7週間で仕上がりましたね。前回とは何が変わったのでしょうか?
ゲム:僕達にもわからないよ。ノエルが「あまりいじらずに出すぞ」と言ったことはよく覚えてる。僕達がいつもやろうとしていることなんだ。スタジオ入りし て、レコーディングしてさっさと発売ってことだよ。でもそれは苦しさを伴う作業じゃない。むしろワーキング・クラスな考え方っていうかな。もちろん、 OASISに混乱なんてあるはずないさ。レコーディングの仕方を知らない百姓じゃないんだぜって言えばわかるかな。これだけは言っておこう。OASISに ついていけてると思った時には、すでに君はもう5分遅れてるのさ。それがOASIS。ぼけっとしてたら取り残されるぞ。
ノエルは日ごろから「OASISは俺のバンドだ。デモクラシーは存在しない」と公言しています。実際は、穏やかな独裁国家といったところなのでしょうか?
ゲム:ええっとね、彼はとても頭がいいんだ。だから本当にそんな風に振舞ってたとしたら、彼らしくないよ。デモクラシーはない。でもどんなバンドにもデモ クラシーはないだろ。メンバー一人一人考えを持っているのは当然だ。でも、トップの考えを大切にしなきゃならない。メンバー全員のフォーカスを合わせな きゃならないんだ。ノエルは時々こう聞いてくるんだよ、「これで満足なのか?」ってね。そこで僕達はテレパシーを働かせる必要がある。僕はレコーディング をしてる時間が大好きなんだよ。その感覚を音に反映させるんだ。もし、ファンタスティックなギターパートとバロックピアノを求めてるなら、アンディが適 任。そしてリアム。バンドで核になるのは、まさに彼だね。
ノエルとリアムはお互いに「バンドの推進力は俺だ」と言い張ってますが、どっちが正しいんでしょうね?
ゲム:うーん・・・・2人とも飛びぬけて陽性の力を持ってるんだよ。リアムはいつでも元気一杯だしね。それが僕が知ってる彼の姿だ。でも、2人がポジティ ブな面を引き出しあっているという方が合ってるかもね。ノエルは、時々そういう目でリアムを見ているだろう、よくわからないけど。でも彼が大きな存在であ ることは確かだ。なんせリアムの兄なんだからね。2人とも大きな力を持ってるし、そして全く違うタイプの人間だ。それがOASISをOASIS足らしめて る。反発しあうけど、2人が合わされば、とても巨大な力になる、時にそれは痛みを伴うんだけどね。彼らはカオスを乗り越えて今の地位を築き上げてきた。今 でも音楽を作り、今でも音楽で生きている。それが音に出てるだろう?
かつてノエルは、40にもなってバンドを続ける自分の姿は想像できないと話していましたが、あなた達2人は今年で41歳ですよね。どんな感じがする?
ゲム:41には41なりの新たな基準があるんだよ。自分を惨めに見せたくないならね。たとえば僕達がブリーチ加工されたジーンズを履くことはないんだ。 OK。僕達が知らないバンドは星の数ほどあるが、「名前を覚える価値もない」って思うバンドもある。大半は、ギャップ・イヤー(訳注:お金を稼ぐために、 大学へ進学するのを1年間延期すること)を使って金儲けしてるようにしか見えないよ。別にそういうやつの車をホテルのロビーに突っ込んでやるつもりはない けどさ、でも・・・・わかるだろう!?
あなたはノエルにとっての安定剤であるとともに、リアムの良き支援者でもあると言われています。特に彼のソングライティングについては顕著ですね。ノエルはもっと距離を置いているというのに。
ゲム:もちろん、リアムのことは応援してるよ。最初に我慢できないと言ってきたのはノエルだね。彼がリアムと一緒にコードを探してる姿なんて見たことがな いよ。それがノエルのやり方さ。「俺の言うことが理解できないなら、それまでだ」ってのがね。一方リアムは、奥が深い。一度調子づくと誰にも止められない よ。外に遊びに行くことと、ギターを弾くことが本当に大好きなんだ。誰かの家に夜遅くに酔っ払った状態で押しかけても、ギターを見つけたら、正気に返るも んな。リアムは嘘だろって思うくらいに簡単にメロディーを編み出すことができるのさ。言葉が出てこないって悩んでる?自分に厳しいんだな。「I’m Outta Time」は素晴らしい歌詞だよ。最初に半分書き上げて、1年間くらい残りが書けずにいたんだ。こんな風に言ってたよ、(じれったそうに)「言葉、何か良 い言葉はないか?」ってね。だから僕は「ない。今に自然に出てくるから落ち着いてよ。そしたら5ページ分は出てきて、4ページ削ることになるぞ」となだめ ていた。そして、この曲でリアムは放っておくことの大切さに気づいたのさ。無理やりひねり出そうとしてもいいものはでてこない。良いものが出てくる時、そ いつはまるでずっと前からそこにあったみたいな顔をしてるもんなのさ。
最近のノエルとリアムは、だいぶ落ち着いていますね。荒れ狂うOASISの時代は終わったのでしょうか?
ゲム:もちろん、またいつ荒れ狂ってもおかしくないよ。2人が「OASISは平穏だ」なんて言ったことあるかい?ないだろう?それが全てを現している。シ リアスなことが起こったらと想像したらぞっとするけれど、それが人生さ。そういうもんだ。僕が気に入らなかろうと、起こるものは起こる。そして再びそうい うことが起こりうるのは、あの2人が穏やかになることなんてないからなんだ。僕がOASISに入るまでどんな感じだったのかは知ってるし、マネージャーの マーカスが「1ヶ月が1年に感じる」と漏らしていたことも知ってる。あの言葉より当時を上手く表現する言葉はないね。どうしてその中に僕が入ることになっ たのか今でもわからないよ。あれから9年、マーカスの言うとおりに年を取っていたらもう90歳だな。僕はヨーダだ。
あなたがOASISにふさわしい理由とは何なのでしょう?
ノエル:2人と同じくらいに深くこのバンドを信じているって答えがしっくり来るな。バンドから離れても、一緒に出かけたりするし、ノエル、リアム2人のこ とは尊敬している。一緒に演奏するのにこれ以上のメンバーはいないよ。もちろんアンディも含めて。OASISに入る時は、はっきりいってビビッていたん だ、音楽以外の課外活動がすごかったからね。でも一番の決め手は、大好きなバンドってことだよ。僕が最初に参加したギグの時ですら、ゲム、そのスロープを 登って、そのまま真っ直ぐ歩け。サウンドチェックはしない。チューニングされてるか確かめろ。じゃ、行くぞって感じさ。それで終わりさ。OASISは今で もラウドすぎるくらいの演奏を聴かせている。そういうバンドだから、僕は一緒にやっていけるんだよ。
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OASISのベーシスト、アンディ・ベルは、37歳にはとても見えない男だ。これでもロックンロールの世界で17年のキャリアがあるのだから驚きである。
1988年にRideを結成してから、ブリットポップ期にはHurricane #1の中心人物となり、1999年、リアムの命に従ってOASISに入ることになったアンディは、それ以来、ノエルのお眼鏡に適うソングライティングの力 を持つ人物として、OASISに貢献している。
ウェストロンドンにあるバンドのリハーサルルームで、ソファに気持ち良さそうに沈みこんでいるアンディ。そこにノエルがやってきて、近くのプレイヤーにCDをセットした。
「どれにしようか迷ってるんだよ」と、ノエル。「どう思う?アンディ」。
プレイヤーから、「The Shock Of The Lightning」が、異なる二つのバージョンで流れ始める。その一方のバージョンに対して、予想外にもアンディがむくれた。「ベースが聴こえない」と いうのがその理由だ。まだ決めかねる様子のノエルはヘッドフォンを探しに行った。戻ってきたノエルにアンディは笑顔でこう言った。「ベースがないと、ギグ は始まらないからね」。
このアルバムで、ノエルは全ての曲をたった1日で書き終えたそうですね。傍らにいて不気味なくらいだったとか?
アンディ:気味が悪かったね。ノエルにインスピレーションが訪れて、3日の間に「The Shock Of The Lightning」、「Falling Down」、それと「Come On It’s All Right」って呼んでいた曲、これはシングル候補に挙がっていたんだけど、なかなか完成までたどり着けなかったんだ。その週、リアムはしょっちゅう「ま るであの・・・Morning Gloryの時みたいだ」と言っていたね。僕にとってはそういうノエルを見るのは初めてだった。つまり、彼がスランプに陥る前ってこと。そして今、突然、 彼の中でスイッチがオンになったのさ。L.A.でミキシング作業をしている時なんて、ライブルームに座って、1日に1曲のペースで新曲のレコーディングし ていたからね。僕達は、傍らにたってその様子を眺めることしか出来ないんだ。このレコーディングに入る時には、50,60曲のデモが出来ていた。バンドが 「俺達、50曲も曲があるんだ」と言う時って、たいてい・・・・まあ、僕達の場合は、本当に50曲あるんだよ。
ソングライターであるあなたにとって、ノエルの存在は脅威なんでしょうね・・・・
アンディ:うーん、僕にとっては、作曲への自信を育てるには良い環境だったよ、「俺達に曲をくれ、曲が必要なんだ」という言葉で、OASISに誘われたん だからね。でも今回のアルバムに、僕の曲(「The Nature Of Reality」)は、入れてほしくなかったんだ。とても個人的な曲だったから。でも、ノエルが選んだ。実は、離婚したんだよ。セラピーにも通った。まる で自分の人生から愛が抜け落ちたみたいで、徹底した無神論者になることで、どうにか乗り越えようとしていた。小さい頃からクリスチャンとして育てられたん でね。まさに神について一から学び直そうとした時期だった。リチャード・ドーキンズの「The God Delusion」を読んで、もっと知的に、科学的に、論理的に、理性のある人間になりたいと思ったんだ。そういうことを考えていた過程で、この曲ができ た。この世に不思議なことなど何もないという僕の考えが出ていると思う。その後はもう、セラピーに行くのをやめて、恋をするのもあきらめて、カトリックの 十字架をコレクションするのもやめた。だから自分のことを信仰深いとはいえないけれど、スピリチュアルではあると思ってる。僕にしてみれば、何より大切な のは愛なんだよ。僕達はそれがはっきり何とは言えないけれど、いつだってすぐそこにあるものなんだ。
リアムの家にあるビートルズ・バーで、「愛こそ全て」と朝の3時まで語り合っているあなた達の姿が目に浮かびます・・・
アンディ:時々やるよ。リアムは深い、とても奥深い考えをもっているんだ。「Songbird」を聴いてみれば、わかるだろう。リアムはソウルフルで、愛 にあふれた人間だ。とても親切だしね。でも、ビートルズ・バーでは、Circus Charlie(ビデオゲーム)で遊ぶことの方が多いな。1万5千くらいゲームが入ったコンピューターボードを持ってるんだよ、リアムって。ビートルズ・ バーっていうより、ビートルズ・ハウスって呼んだほうがいいかも。リハーサルの時に、サザビーのカタログを持ってきて、「ジョン・レノンが使った浴槽が出 てるんだけど、買ったほうがいいかな?6千ポンドなんだけど」って言ってくるんだぜ。本当に買ったとは思わないけど。
リアムは、あなたがセラピーに通っていることを聞いて、どう思ったんでしょう?
アンディ:気に入らないみたいだったね。自分のことは自分で解決しろというのが彼の考えだから。でも説明したらわかってくれたみたいだった。セラピーは必 要ないだろう、あの2人には。何よりも自分自身を信じているんだから。彼らは、生まれつき貴重なものを携えてるんだ。自分を常に前進させる内なる炎みたい なものをね。
ゲムにとって、あなたとリアムが子供のような存在で、ノエルが分別ある大人という立場なのでしょうか?
アンディ:ゲムとノエルが大人だなんて、見た目にだまされちゃだめだよ。あの2人も子供さ。バンドの中では、僕が一番センシティブなんだから。
ギャラガー兄弟に初めて会ったのは、1994年だそうですね。その時の第一印象を教えてください。
アンディ:「Definitely Maybe」の発売日、彼らとハシエンダで一緒になったんだ。音楽についてノエルと話していて、「君達のアルバムはすごいね」と言ったら、「もう次のアル バムも書き終えたんだよ、その次もな」って返されたよ。OASISが、クリエイション・レーベルの社員30人ほどを相手にギグをやっていた時も、見ること ができたんだけど、全く今と同じだよ。「I Am The Walrus」でギグを終えたその後、バンドに「素晴らしいライブだったよ、Rideのサポートバンドにならない?」って声をかけたよ。(大笑いするアン ディ)。2人とも、雰囲気はそんなに違わなかったよ。ノエルも、リアムみたいに、突然人の後ろから飛びかかってきそうな風体をしていたし。話しててとても 楽しいんだ、フレンドリーだしね。ドラッグを少々やってるんじゃないかって感じだよ。
「Ain’t Got Nothin’」は、2002年、ミュンヘンで起こった喧嘩をきっかけにリアムが書いた曲ですが、あの事件で何か目撃しましたか?
アンディ:何も見てないさ。その夜は「Nirvana Unplugged」をホテルで見て、翌朝、ツアー・アカウンタント、僕達が一度も会ったことのない人物から電話がかかってきて「やあ、アンディ。こちら はツアー・アカウンタントです。私がお電話差し上げたのは、あなた以外のメンバーが全員拘留されてしまったことをお伝えするためです」って言うんだ。つま り、セキュリティ・ガード全員、バンドメンバー半分、ツアー・マネージャーってことだね。残った僕らはギグの会場に行って待機していた。結局ギグは行われ ないことになって、身を潜めることになったのさ。またまたね。バンドに入る時って、まさか時間の大半をスイスで隠遁することに費やすなんて思いもよらない だろう。でも、実際にはそうなってしまうんだよな。
ノエルとリアムの対立を解決する方法は何ですか?仲介に出る?それとも、その場から逃げる?
アンディ:バリウムだよ。まあ、ことが2人のパーソナルな部分にまで及んだ時は、関わらないようにするけどね。でもほとんどの場合、バリウムを使えば、上 手くほどけるのさ。喧嘩ってのは車輪がレールから外れるようなもんだから。2人の場合はとんでもない外れ方をするんだけど。第3者の僕から見たところ、そ ういうことは長い、長い間起こっていないんだ。昔の話さ。だからといっていつもスムーズに行ってるってわけじゃないけどね。今でも緊張感はある。僕達は感 じてるよ。それでもこの独特の興奮は他のバンドでは得られない。1分に1回は笑えるようなことが起こるからね。最高のバンドだよ。
このバンドには、いつでも何らかの緩衝作用が働いてるんですよね。
アンディ:OASISに敵はいないんだ。戦車みたいなものさ。種類はチーフテンだね。もちろん英国製だ。
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1964年、ウィラルで生まれたクリス・シャーロック。80年代にリバプールで結成したThe Icicle Worksから、彼のパーカッションのキャリアは始まる。それからThe La’s、World Party、そして12年間にわたり、ロビー・ウィリアムズのバックバンドを務めてきた。そして、ノエルから声がかかったのだ・・・・1度のみならず2度 も。
これはOASISからの2回目のオファーだそうですね。ノエルによると、ザック・スターキーが入る前の2004年、あなたが本命だったそうですが・・・
クリス:そうだね、4年前、ノエルから電話があって「どう思う?」って聞いてきたから、「ああ、面白いな。金曜日にかけ直してくれ」と言ったまま、僕は彼 の電話を4年間待ち続けた、ってことだ。それで今回ノエルから電話があった時は、テレビで「Bargain Hant」を見てたんだ。15ヶ月間、何もすることがなかったんだよ。暇でしょうがなかったから、電話は嬉しかったね。
以前からOASISのファンだったんですか?
クリス:ああ、そうだよ。デビューした時から大好きだ。もちろん、ファンに決まってる。彼らは素晴らしいよ。世界一のロックンロールバンドだね、僕からすれば。
あなたのドラマーとしての歴史を聞かせてください。
クリス:The Icicle Worksが、本当の意味で僕の最初のバンドなんだ。みんなThe La’sのメンバーってことばかり取り上げるけど、実際あのバンドにいたのは8ヶ月だけなんだよ。マイク・ヘッジズとのセッションがボツになった後、月曜 日、僕はプラクティスルームでドラムを叩き、側ではリーがアフリカのドラミングについての本を読んでいた。その次の日から、スタジオに行かなくなったん だ。それでそのままWorld Partyに移った。変な感じだったよ。The La’sとやってたビートルズ初期のアルバムから、一気にホワイトアルバムに来た感じがしてね。そして今、僕はビートルズ中期にいるってわけだ。
ノエルとリアムは、あなたが12年もロビー・ウィリアムズと仕事をしていたことをからかったりはしないの?
クリス:全然!誰もそのことに触れないのも、おかしいよな。誰にもからかわれてないよ。今のところ。
ドラマーとして、あなたは派手のパフォーマンスをしますよね。スティックを投げたり・・・。
クリス:これからは、そんなことはしないよ。リアムが真正面に立ってるのを見ると、そういう気にはなれないだろ。人生を無事に全うするためにも、投げるの はやめて、スティックにしがみついておこう。僕はただ力の限り強くドラムを叩くだけさ。セットリストに載ってる20曲は、全て名曲だから。
あなたのドラムに文句がついたらどうしましょうか。
クリス:(笑って)さあね。一回引っ込んでドラムの腕を磨くか何かするよ。
41歳になる彼は、OASISの正式メンバーであるのみならず、ノエル・ギャラガーのサポートにもついていく。キース・リチャーズにとってのロニー・ウッドのような存在だ。
今回のアルバムは大きなトラブルもなく7週間で仕上がりましたね。前回とは何が変わったのでしょうか?
ゲム:僕達にもわからないよ。ノエルが「あまりいじらずに出すぞ」と言ったことはよく覚えてる。僕達がいつもやろうとしていることなんだ。スタジオ入りし て、レコーディングしてさっさと発売ってことだよ。でもそれは苦しさを伴う作業じゃない。むしろワーキング・クラスな考え方っていうかな。もちろん、 OASISに混乱なんてあるはずないさ。レコーディングの仕方を知らない百姓じゃないんだぜって言えばわかるかな。これだけは言っておこう。OASISに ついていけてると思った時には、すでに君はもう5分遅れてるのさ。それがOASIS。ぼけっとしてたら取り残されるぞ。
ノエルは日ごろから「OASISは俺のバンドだ。デモクラシーは存在しない」と公言しています。実際は、穏やかな独裁国家といったところなのでしょうか?
ゲム:ええっとね、彼はとても頭がいいんだ。だから本当にそんな風に振舞ってたとしたら、彼らしくないよ。デモクラシーはない。でもどんなバンドにもデモ クラシーはないだろ。メンバー一人一人考えを持っているのは当然だ。でも、トップの考えを大切にしなきゃならない。メンバー全員のフォーカスを合わせな きゃならないんだ。ノエルは時々こう聞いてくるんだよ、「これで満足なのか?」ってね。そこで僕達はテレパシーを働かせる必要がある。僕はレコーディング をしてる時間が大好きなんだよ。その感覚を音に反映させるんだ。もし、ファンタスティックなギターパートとバロックピアノを求めてるなら、アンディが適 任。そしてリアム。バンドで核になるのは、まさに彼だね。
ノエルとリアムはお互いに「バンドの推進力は俺だ」と言い張ってますが、どっちが正しいんでしょうね?
ゲム:うーん・・・・2人とも飛びぬけて陽性の力を持ってるんだよ。リアムはいつでも元気一杯だしね。それが僕が知ってる彼の姿だ。でも、2人がポジティ ブな面を引き出しあっているという方が合ってるかもね。ノエルは、時々そういう目でリアムを見ているだろう、よくわからないけど。でも彼が大きな存在であ ることは確かだ。なんせリアムの兄なんだからね。2人とも大きな力を持ってるし、そして全く違うタイプの人間だ。それがOASISをOASIS足らしめて る。反発しあうけど、2人が合わされば、とても巨大な力になる、時にそれは痛みを伴うんだけどね。彼らはカオスを乗り越えて今の地位を築き上げてきた。今 でも音楽を作り、今でも音楽で生きている。それが音に出てるだろう?
かつてノエルは、40にもなってバンドを続ける自分の姿は想像できないと話していましたが、あなた達2人は今年で41歳ですよね。どんな感じがする?
ゲム:41には41なりの新たな基準があるんだよ。自分を惨めに見せたくないならね。たとえば僕達がブリーチ加工されたジーンズを履くことはないんだ。 OK。僕達が知らないバンドは星の数ほどあるが、「名前を覚える価値もない」って思うバンドもある。大半は、ギャップ・イヤー(訳注:お金を稼ぐために、 大学へ進学するのを1年間延期すること)を使って金儲けしてるようにしか見えないよ。別にそういうやつの車をホテルのロビーに突っ込んでやるつもりはない けどさ、でも・・・・わかるだろう!?
あなたはノエルにとっての安定剤であるとともに、リアムの良き支援者でもあると言われています。特に彼のソングライティングについては顕著ですね。ノエルはもっと距離を置いているというのに。
ゲム:もちろん、リアムのことは応援してるよ。最初に我慢できないと言ってきたのはノエルだね。彼がリアムと一緒にコードを探してる姿なんて見たことがな いよ。それがノエルのやり方さ。「俺の言うことが理解できないなら、それまでだ」ってのがね。一方リアムは、奥が深い。一度調子づくと誰にも止められない よ。外に遊びに行くことと、ギターを弾くことが本当に大好きなんだ。誰かの家に夜遅くに酔っ払った状態で押しかけても、ギターを見つけたら、正気に返るも んな。リアムは嘘だろって思うくらいに簡単にメロディーを編み出すことができるのさ。言葉が出てこないって悩んでる?自分に厳しいんだな。「I’m Outta Time」は素晴らしい歌詞だよ。最初に半分書き上げて、1年間くらい残りが書けずにいたんだ。こんな風に言ってたよ、(じれったそうに)「言葉、何か良 い言葉はないか?」ってね。だから僕は「ない。今に自然に出てくるから落ち着いてよ。そしたら5ページ分は出てきて、4ページ削ることになるぞ」となだめ ていた。そして、この曲でリアムは放っておくことの大切さに気づいたのさ。無理やりひねり出そうとしてもいいものはでてこない。良いものが出てくる時、そ いつはまるでずっと前からそこにあったみたいな顔をしてるもんなのさ。
最近のノエルとリアムは、だいぶ落ち着いていますね。荒れ狂うOASISの時代は終わったのでしょうか?
ゲム:もちろん、またいつ荒れ狂ってもおかしくないよ。2人が「OASISは平穏だ」なんて言ったことあるかい?ないだろう?それが全てを現している。シ リアスなことが起こったらと想像したらぞっとするけれど、それが人生さ。そういうもんだ。僕が気に入らなかろうと、起こるものは起こる。そして再びそうい うことが起こりうるのは、あの2人が穏やかになることなんてないからなんだ。僕がOASISに入るまでどんな感じだったのかは知ってるし、マネージャーの マーカスが「1ヶ月が1年に感じる」と漏らしていたことも知ってる。あの言葉より当時を上手く表現する言葉はないね。どうしてその中に僕が入ることになっ たのか今でもわからないよ。あれから9年、マーカスの言うとおりに年を取っていたらもう90歳だな。僕はヨーダだ。
あなたがOASISにふさわしい理由とは何なのでしょう?
ノエル:2人と同じくらいに深くこのバンドを信じているって答えがしっくり来るな。バンドから離れても、一緒に出かけたりするし、ノエル、リアム2人のこ とは尊敬している。一緒に演奏するのにこれ以上のメンバーはいないよ。もちろんアンディも含めて。OASISに入る時は、はっきりいってビビッていたん だ、音楽以外の課外活動がすごかったからね。でも一番の決め手は、大好きなバンドってことだよ。僕が最初に参加したギグの時ですら、ゲム、そのスロープを 登って、そのまま真っ直ぐ歩け。サウンドチェックはしない。チューニングされてるか確かめろ。じゃ、行くぞって感じさ。それで終わりさ。OASISは今で もラウドすぎるくらいの演奏を聴かせている。そういうバンドだから、僕は一緒にやっていけるんだよ。
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OASISのベーシスト、アンディ・ベルは、37歳にはとても見えない男だ。これでもロックンロールの世界で17年のキャリアがあるのだから驚きである。
1988年にRideを結成してから、ブリットポップ期にはHurricane #1の中心人物となり、1999年、リアムの命に従ってOASISに入ることになったアンディは、それ以来、ノエルのお眼鏡に適うソングライティングの力 を持つ人物として、OASISに貢献している。
ウェストロンドンにあるバンドのリハーサルルームで、ソファに気持ち良さそうに沈みこんでいるアンディ。そこにノエルがやってきて、近くのプレイヤーにCDをセットした。
「どれにしようか迷ってるんだよ」と、ノエル。「どう思う?アンディ」。
プレイヤーから、「The Shock Of The Lightning」が、異なる二つのバージョンで流れ始める。その一方のバージョンに対して、予想外にもアンディがむくれた。「ベースが聴こえない」と いうのがその理由だ。まだ決めかねる様子のノエルはヘッドフォンを探しに行った。戻ってきたノエルにアンディは笑顔でこう言った。「ベースがないと、ギグ は始まらないからね」。
このアルバムで、ノエルは全ての曲をたった1日で書き終えたそうですね。傍らにいて不気味なくらいだったとか?
アンディ:気味が悪かったね。ノエルにインスピレーションが訪れて、3日の間に「The Shock Of The Lightning」、「Falling Down」、それと「Come On It’s All Right」って呼んでいた曲、これはシングル候補に挙がっていたんだけど、なかなか完成までたどり着けなかったんだ。その週、リアムはしょっちゅう「ま るであの・・・Morning Gloryの時みたいだ」と言っていたね。僕にとってはそういうノエルを見るのは初めてだった。つまり、彼がスランプに陥る前ってこと。そして今、突然、 彼の中でスイッチがオンになったのさ。L.A.でミキシング作業をしている時なんて、ライブルームに座って、1日に1曲のペースで新曲のレコーディングし ていたからね。僕達は、傍らにたってその様子を眺めることしか出来ないんだ。このレコーディングに入る時には、50,60曲のデモが出来ていた。バンドが 「俺達、50曲も曲があるんだ」と言う時って、たいてい・・・・まあ、僕達の場合は、本当に50曲あるんだよ。
ソングライターであるあなたにとって、ノエルの存在は脅威なんでしょうね・・・・
アンディ:うーん、僕にとっては、作曲への自信を育てるには良い環境だったよ、「俺達に曲をくれ、曲が必要なんだ」という言葉で、OASISに誘われたん だからね。でも今回のアルバムに、僕の曲(「The Nature Of Reality」)は、入れてほしくなかったんだ。とても個人的な曲だったから。でも、ノエルが選んだ。実は、離婚したんだよ。セラピーにも通った。まる で自分の人生から愛が抜け落ちたみたいで、徹底した無神論者になることで、どうにか乗り越えようとしていた。小さい頃からクリスチャンとして育てられたん でね。まさに神について一から学び直そうとした時期だった。リチャード・ドーキンズの「The God Delusion」を読んで、もっと知的に、科学的に、論理的に、理性のある人間になりたいと思ったんだ。そういうことを考えていた過程で、この曲ができ た。この世に不思議なことなど何もないという僕の考えが出ていると思う。その後はもう、セラピーに行くのをやめて、恋をするのもあきらめて、カトリックの 十字架をコレクションするのもやめた。だから自分のことを信仰深いとはいえないけれど、スピリチュアルではあると思ってる。僕にしてみれば、何より大切な のは愛なんだよ。僕達はそれがはっきり何とは言えないけれど、いつだってすぐそこにあるものなんだ。
リアムの家にあるビートルズ・バーで、「愛こそ全て」と朝の3時まで語り合っているあなた達の姿が目に浮かびます・・・
アンディ:時々やるよ。リアムは深い、とても奥深い考えをもっているんだ。「Songbird」を聴いてみれば、わかるだろう。リアムはソウルフルで、愛 にあふれた人間だ。とても親切だしね。でも、ビートルズ・バーでは、Circus Charlie(ビデオゲーム)で遊ぶことの方が多いな。1万5千くらいゲームが入ったコンピューターボードを持ってるんだよ、リアムって。ビートルズ・ バーっていうより、ビートルズ・ハウスって呼んだほうがいいかも。リハーサルの時に、サザビーのカタログを持ってきて、「ジョン・レノンが使った浴槽が出 てるんだけど、買ったほうがいいかな?6千ポンドなんだけど」って言ってくるんだぜ。本当に買ったとは思わないけど。
リアムは、あなたがセラピーに通っていることを聞いて、どう思ったんでしょう?
アンディ:気に入らないみたいだったね。自分のことは自分で解決しろというのが彼の考えだから。でも説明したらわかってくれたみたいだった。セラピーは必 要ないだろう、あの2人には。何よりも自分自身を信じているんだから。彼らは、生まれつき貴重なものを携えてるんだ。自分を常に前進させる内なる炎みたい なものをね。
ゲムにとって、あなたとリアムが子供のような存在で、ノエルが分別ある大人という立場なのでしょうか?
アンディ:ゲムとノエルが大人だなんて、見た目にだまされちゃだめだよ。あの2人も子供さ。バンドの中では、僕が一番センシティブなんだから。
ギャラガー兄弟に初めて会ったのは、1994年だそうですね。その時の第一印象を教えてください。
アンディ:「Definitely Maybe」の発売日、彼らとハシエンダで一緒になったんだ。音楽についてノエルと話していて、「君達のアルバムはすごいね」と言ったら、「もう次のアル バムも書き終えたんだよ、その次もな」って返されたよ。OASISが、クリエイション・レーベルの社員30人ほどを相手にギグをやっていた時も、見ること ができたんだけど、全く今と同じだよ。「I Am The Walrus」でギグを終えたその後、バンドに「素晴らしいライブだったよ、Rideのサポートバンドにならない?」って声をかけたよ。(大笑いするアン ディ)。2人とも、雰囲気はそんなに違わなかったよ。ノエルも、リアムみたいに、突然人の後ろから飛びかかってきそうな風体をしていたし。話しててとても 楽しいんだ、フレンドリーだしね。ドラッグを少々やってるんじゃないかって感じだよ。
「Ain’t Got Nothin’」は、2002年、ミュンヘンで起こった喧嘩をきっかけにリアムが書いた曲ですが、あの事件で何か目撃しましたか?
アンディ:何も見てないさ。その夜は「Nirvana Unplugged」をホテルで見て、翌朝、ツアー・アカウンタント、僕達が一度も会ったことのない人物から電話がかかってきて「やあ、アンディ。こちら はツアー・アカウンタントです。私がお電話差し上げたのは、あなた以外のメンバーが全員拘留されてしまったことをお伝えするためです」って言うんだ。つま り、セキュリティ・ガード全員、バンドメンバー半分、ツアー・マネージャーってことだね。残った僕らはギグの会場に行って待機していた。結局ギグは行われ ないことになって、身を潜めることになったのさ。またまたね。バンドに入る時って、まさか時間の大半をスイスで隠遁することに費やすなんて思いもよらない だろう。でも、実際にはそうなってしまうんだよな。
ノエルとリアムの対立を解決する方法は何ですか?仲介に出る?それとも、その場から逃げる?
アンディ:バリウムだよ。まあ、ことが2人のパーソナルな部分にまで及んだ時は、関わらないようにするけどね。でもほとんどの場合、バリウムを使えば、上 手くほどけるのさ。喧嘩ってのは車輪がレールから外れるようなもんだから。2人の場合はとんでもない外れ方をするんだけど。第3者の僕から見たところ、そ ういうことは長い、長い間起こっていないんだ。昔の話さ。だからといっていつもスムーズに行ってるってわけじゃないけどね。今でも緊張感はある。僕達は感 じてるよ。それでもこの独特の興奮は他のバンドでは得られない。1分に1回は笑えるようなことが起こるからね。最高のバンドだよ。
このバンドには、いつでも何らかの緩衝作用が働いてるんですよね。
アンディ:OASISに敵はいないんだ。戦車みたいなものさ。種類はチーフテンだね。もちろん英国製だ。
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1964年、ウィラルで生まれたクリス・シャーロック。80年代にリバプールで結成したThe Icicle Worksから、彼のパーカッションのキャリアは始まる。それからThe La’s、World Party、そして12年間にわたり、ロビー・ウィリアムズのバックバンドを務めてきた。そして、ノエルから声がかかったのだ・・・・1度のみならず2度 も。
これはOASISからの2回目のオファーだそうですね。ノエルによると、ザック・スターキーが入る前の2004年、あなたが本命だったそうですが・・・
クリス:そうだね、4年前、ノエルから電話があって「どう思う?」って聞いてきたから、「ああ、面白いな。金曜日にかけ直してくれ」と言ったまま、僕は彼 の電話を4年間待ち続けた、ってことだ。それで今回ノエルから電話があった時は、テレビで「Bargain Hant」を見てたんだ。15ヶ月間、何もすることがなかったんだよ。暇でしょうがなかったから、電話は嬉しかったね。
以前からOASISのファンだったんですか?
クリス:ああ、そうだよ。デビューした時から大好きだ。もちろん、ファンに決まってる。彼らは素晴らしいよ。世界一のロックンロールバンドだね、僕からすれば。
あなたのドラマーとしての歴史を聞かせてください。
クリス:The Icicle Worksが、本当の意味で僕の最初のバンドなんだ。みんなThe La’sのメンバーってことばかり取り上げるけど、実際あのバンドにいたのは8ヶ月だけなんだよ。マイク・ヘッジズとのセッションがボツになった後、月曜 日、僕はプラクティスルームでドラムを叩き、側ではリーがアフリカのドラミングについての本を読んでいた。その次の日から、スタジオに行かなくなったん だ。それでそのままWorld Partyに移った。変な感じだったよ。The La’sとやってたビートルズ初期のアルバムから、一気にホワイトアルバムに来た感じがしてね。そして今、僕はビートルズ中期にいるってわけだ。
ノエルとリアムは、あなたが12年もロビー・ウィリアムズと仕事をしていたことをからかったりはしないの?
クリス:全然!誰もそのことに触れないのも、おかしいよな。誰にもからかわれてないよ。今のところ。
ドラマーとして、あなたは派手のパフォーマンスをしますよね。スティックを投げたり・・・。
クリス:これからは、そんなことはしないよ。リアムが真正面に立ってるのを見ると、そういう気にはなれないだろ。人生を無事に全うするためにも、投げるの はやめて、スティックにしがみついておこう。僕はただ力の限り強くドラムを叩くだけさ。セットリストに載ってる20曲は、全て名曲だから。
あなたのドラムに文句がついたらどうしましょうか。
クリス:(笑って)さあね。一回引っ込んでドラムの腕を磨くか何かするよ。