あなたの場合、曲を再収録するときにも、リミックスしたり異なるバージョンを作ることはありませんよね。

ノエル:俺は昔からThe Jam とThe Smithのファンなんだ。どのバンドもB面ですら素晴らしい曲が入っていただろう。だから俺にとってのB面はソングライターとしての腕磨きの場みたいなもんなんだ。まさかシングルにしたりアルバムにするつもりはなかった。「The Masterplan」を出すのも純粋にファンのためさ。そういえば、リミックスならブレンダン・リンチと一緒にやったことがあるんだぜ、「Champagne Supernova」でね。クラブ用のリミックスで片面12インチにしたんだ。

B面から特に1曲選ぶとしたら?

ノエル:「I Am The Walrus」は抜きだな。俺が書いた曲じゃないからさ。1曲を選ぶのは難しいんだ。アルバムの最初の曲「Acquiesce」は、ウェールズのロコスタジオでレコーディングをしていた時、俺がまだチジックに住んでいた時に書いたもの。電車が立ち往生した時にだよ。ギターを手にしてメロディーを口ずさんだんだ。そしてスタジオで声入れをした。みんな俺達兄弟のことを歌ってると思ってるみたいだな、リアムが俺に対して歌って、俺はリアムに対して歌ってる、みたいな。でもこれはむしろ友情について書いた曲なんだよ。どうしてリアムはサビを歌わなかったんだ?たぶんパブかどっかに行っていたんだろ。だから代わりに俺が歌ったんだ。当時は1枚のシングルに4曲入れることが出来たんだけど、今度から3曲に落とすらしいぞ、残念だよな、これでくだらねえバンドの寿命が5年は延びちまう。

どうして「I Am The Walrus」をカバーするの?

ノエル:91、92年そこらの時、俺達がリバプールに行ってギグをするとなると、地元のバンドのサポートをやらされたんだ。そうするとよく言われたもんさ、「自分らのことをBeatlesと思い込んでるバンドがいるぜ」ってな。とんだ嘘っぱちさ。俺達は自分で自分のことをBeatlesだと言ったことはない、リアム以外はな。あいつは自分をジョン・レノンと思い込んでるから。で、リバプールのやつらはBeatlesの曲をよくプレイしてた。それなのに「I Am The Walrus」を誰もカバーしてないことには驚いたね、だから酔った勢いで宣言したんだよ、「俺達がやってやる」ってね。自分で自分にプレッシャーをかけたわけだ。で、リバプールに行って、実際にカバーした。25分も演奏したんだぜ!シングルには9分だけど、アルバムではさらに6分におさめたんだ。どっかで切らないと永遠に続く曲だからな。当時は「オリジナルよりも良い」と大勢に言われたけど「レコードになるのはまだまだ先だ」と思っていた。アルバムバージョンではその時より多くギターの音をかぶせてある。それにしてもこのギターは最悪だよな、酔ってたから仕方ねえか。

「Listen Up」のギターは良いですね。

ノエル:シングルだと、ギターソロが「Masterplan」とくらべて2倍の長さあるんだ。リアムは長すぎるとぬかしたが、それは無視した、どっちにしろやるつもりだったからな。あいつ、一度は意見を聞いておかないとすぐキレるからさ。でも結局俺の意見を通して、ロング・ヴァージョンをシングルに入れたんだ。でも今度のアルバムでは「編集しよう」と考え直した。つまり4年たって、リアムに軍配が上がったってことさ。なのにギターソロを短くして聴かせたら、あいつ、気づきもしなかったぜ!

「Fade Away」に出てくる「手に入れたものこそ夢に見たもの」という考え方は、いかにもジョン・レノン的ですね、「Imagine」の根底にある考え方ですよ。

ノエル:そうだな。結局今そこにあるものが手に入れたものなんだ。その歌詞は好きだよ。本かなんかから取ったんじゃなかったかな、よく覚えてないけど。俺だけの歌詞にしとくのはもったいないくらい良いね。この曲を書いたとき、Wham!の曲に似ていたもんだから危うく訴えられそうになったんだよな、憎たらしい連中だぜ本当に。たまたま似たんであって、わざとじゃないっての。マンチェスターで書いたんだと思う。俺が語るより歌詞が物語ってるだろ。「子供の頃に夢見たものは全部消えちまった」。この曲は成長することについて書いてあると同時に、大人になれないことについても書かれてる。もしこの歌詞に意味があると仮定すればの話だけどね。

「Rockin’ Chair」は?

ノエル:今いる場所から抜け出したいって気持ちを書いた曲。当時の曲を聴くと、俺がどれだけ当時のガールフレンドと別れたがっていたかがよくわかる。全部バッグに物を詰め込んで、いつ出て行こうかタイミングを待ってる曲なんだ。ロンドンに行きたかった。そこが俺の居場所だと思っていた。そこに行くたびに、二度と北部になんて戻りたくないと思ってたよ。アシッド・ハウスの後、クラブ・シーンは廃れ、ロンドンには一夜にはしごできるクラブが500もあった。みんな酒をおごってくれたよ、レコード会社のボスは俺達の売り上げに興奮してたからさ。俺は「ロンドンに来て、こいつの隣に部屋を借りよう、なにより俺のために!」なんて思ってたんんだ。

「Going Nowhere」は?

ノエル:「ジャガー」という言葉が歌詞に入ってるね….この言葉を使ったのはこれで2回目かな。次のアルバムの曲でまた入れるかもしれない。「ジャガー」は韻が踏めない唯一の言葉なんだ。

「Swamp Song」は歌詞を書かなくてよかったから純粋に楽しめたでしょう。

ノエル:最高だったぜ。だれも歌詞を書くそぶりを見せなかったんだ。リアムがちょっと遅れて、自分で作った曲に歌詞を書いてた。実際とてもいい出来だったけど、それをなんと俺の曲に乗せようとしやがった、もう歌詞は書かないでおこうと決めた曲にだぜ、もちろん即ボツ。最初この曲は話題性を狙って意味で「The Jam」という題名だったんだ。でも実際ポール・ウェラーに参加してもらうんなら、その題名は止めたほうがいいと思ってね。俺達がThe Jamをおちょくってるととられたら困るだろう。いずれにせよ、この曲は注目を浴びるべき曲だよ。

「Half The World Away」は?

ノエル:ポール・ウェラーがOASISの曲の中で一番好きらしい。バート・バカラック風だろ。「This Guy’s in Love With You」のコード展開が好きで、誰かに実際に弾いてもらったんだ。そしてそこから拝借したわけさ。

他のバンドから「盗み」はじめたのはそれから?

ノエル:だと思うね。テキサスでその曲と「Talk Tonight」をレコーディングしたんだ。最初の大きなアメリカでのツアーで、俺達はロスのウィスキー・ア・ゴー・ゴーでひどいギグをした。さらにリアムとちょっとしたこと、あいつの履いてた靴かなんかのことで口論になってね。俺はラスベガスに逃げ出した、「こんなやつらとバンドなんてやってらんねえ」。でもマネージャーとは連絡を取っていたから、どこにいるかすぐにばれて、戻ってくるよう説得されたよ。イギリスでやらなきゃいけないツアーもあるからさ。それでラスべガスで「Talk Tonight」を書いて、テキサスで仕上げたんだ。俺はいつもギターを持って行方をくらますんだ、身軽だろ、しかもいざとなれば売って金になるしな!そういや、「Talk Tonight」ではリアムにダメ出しされたんだぜ、「カントリーかウェスタンみたいだ、それにアメリカのアクセントで歌ってる」ってさ。この発言でどれだけあいつの頭がまともじゃないことがよくわかるだろ。

「(It’s Good) To Be Free」は?

ノエル:どうしてIt’s Goodはかっこづけなんだ?みんなそう書くけどどうしてかわからないよ。たぶんやったのは俺なんだろうが、その理由もわからない。でももしTo Be Freeだけだったら、ふざけたタイトルだよな。たぶん本当の理由は、ちょっと格好つけたかっただけってところだろう。

最後に「Masterplan」ですね。

ノエル:これまで書いた中で一番好きな曲。日本のホテルに泊まってるときに書いたんだ。普通、リフが出来ていたら、そのために歌詞を書いて、逆に歌詞が出来てたら、後からリフをつけるだろ。でもその時は朝の4,5時にギターを手に座ってたら、自然にどっちも出てきたんだよ。家に来るメグの友達がいつも午後の3時半ごろになると、「Masterplanを弾いて、私達のために!」と催促するんだ。二日酔いでつぶれてる時にだぜ。その一言で完全につぶれるね。どうしてこの曲の歌詞がみんなにとって意味のあるものになってるんだろう。みんな、俺が歌詞を書くのが苦手なことくらい…。いや、「OASISの中では歌詞を書くのが一番上手い」と言ったほうがいいかな。でもこの歌詞は人々が経験する人生という旅路について書いただけなんだ。このアルバムに「Masterplan」というタイトルをつたことが、皮肉だよな、だって発売すること自体が「マスタープラン」(計画)の一部だったみたいだろ?俺達のマスタープランは世界一ビッグなバンドになることだ。そして1年かけて1996年8月のネプワースまで登りつめ、その後の6ヶ月は横ばい状態だった。でもそれで良かったんだ、あの休止期間のおかげでだいぶプレッシャーから解放されたよ。それでも俺達の目標が、素晴らしいレコードをつくることだってのには変わりない。もう他のやつらに良いレコードは作れないからね。良い曲はかけるが良いレコードはつくれないか、良いレコードは作れるが良い曲は作れないのどっちかに偏ってる。ま、みんなも、せいぜいやれるだけのことはやってみるんだな。

曲の中に使われる「兄弟」という言葉はリアムのことと取っていい?

ノエル:あああれね、あれはリアムを意味してるんじゃない。俺達はみんな兄弟だろ。兄弟に姉妹、俺の世代の連中はいつも人のあら探しをして人生を費やしてる。俺達の場合、もし今みたいに成り上がって「ファック!」なんて言って回ってなかったら、今でもマンチェスターに埋もれたままだったと思うぜ。25までに何か成し遂げないと、もうチャンスはめぐってこない。何もしなければ、自尊心なんて25になったら後は腐っていくだけだ。25までに自分のなりたいものになれってことさ。チャンスを掴むのを恐れる必要なんてない。おふくろはいつも言ってたもんさ、「神は挑戦者を愛される」「どうして?神様は車を持ってるの?」「ノエル。挑戦者(tryer,トライヤー)よ。タイヤじゃないわ」ってな。