「もう飽き飽きしてたんだ、音楽にもう煩わされたくない。そういう考えが大きくなればなるほど、頭から離れなくなってきてね。そろそろバンド自体のスケールを落とすべきときかもしれないと考え始めてた。余計なものを全てとっぱらうか、むしろ新しい何かをくっつけるか。正直言って次のレコードを出せるかどうかも危うかったよ。時間が必要だった」

1997年12月3日の時点で、もし私が「OASISは10周年を迎えられると思うか」と尋ねられたら、私は控えめに微笑んで、あなたの顔を見ながらこう言っただろう、「そんなことはありえないよ」。

ノエル・ギャラガーは、その夜The Pointで行われる予定のギグでリアムは歌わないと聞かされていた。「喉の調子が悪い」のだそうだ。どんなに大きな拍手で迎えられたとしても、ノエルの不機嫌を直すことは出来ないような様子だった。さらに1998年初めには、オリジナルメンバーであるボーンヘッドとギグジーとギャラガー兄弟の間での不仲が明らかになり、後に発売された4thアルバム「Standing On The Shoulder Of Giants」では、彼らの参加した部分がきれいに消え去っている。

「災難続きだったよ。でもな」と、ノエルは続けた。

「今でも俺達は、ウェンブリースタジアムのギグ・チケットを朝のうちに完売させるだけの力を残してる。ギグジーやボーンヘッドを悪く言うつもりは無いが、あいつらが抜けてアンディやゲムが入ってきたことは、OASISにとって救いになったと思ってる。今、お前が何考えてるかわかるぜ、『またギャラガーが訳のわからないことを言い始めた』。でもそう思うのはまずニューアルバムを聴いてからにするんだな!」

HotPressがOASISとのインタビューをソニーに掛けあうと、帰ってきた答えは丁寧だがかたくななものだった。「ダメだ、OASISはアイルランドのプレスのインタビューは受けない」。その48時間後「空港まで急げ!」と言われた我々は、ノエルが私達を例外として扱ってくれたことを知った。

「HotPressは好きだよ、まず、君達は嘘をでっちあげない。次に、アイルランドにいる俺の母方の親戚はみんな、HotPressを読んでるからだ」。

ロンドンの一流ホテルに腰を落ち着けつつ、ノエルは身を乗り出して話し始めた。

「これまでに君達がOASISに関するたくさんの嘘を実は書いていたとしても、俺は直接読んでないしな!」。

信じられない!これまで行ってきた彼らとの4回にわたるインタビューが、私の脳裏をよぎった。これまで、ここまでリラックスしてまともなノエル・ギャラガーは見たことが無い。ドラッグを断って、新しい恋人サラと付き合い始めたおかげだろうか。まあ、我々は10年もOASISを見つめ続けてきたのだ。今回のインタビューでは、おなじみになってる質問はあえて避けることにした。

今回のニューアルバムについて教えてください。

ノエル:バックコーラスを大幅に増やした。来週にはストリングスなんかも加えるつもりだよ。リアム、あいつを制せるのは結局あいつ自身だけなわけだが、朝4時には起きてるぜ。アランは酒と車が好きで、ドラムを組み立てるなり、スタジオから消えちまうんだ。そうするとこれまでは、スタジオに俺とボーンヘッドとギグジーだけが残ってたんだが、この3人でこの7年間、建設的な会話を1時間以上できたためしがない。今いるアンディとゲムは音楽に真剣に取り組んでくれるから、俺にとっては新鮮だよ。曲に関しては、リアムが3曲、アンディとゲムが2曲ずつ書いてて、残りは俺の曲だ。そして1人のミュージシャンとして、モラルを持った人間として、契約を守る意味でも、つまり全てに誓って言わせてもらうが、「Morning Glory」や「Definitely Maybe」に匹敵するアルバムさ。

先行シングルとして候補は上がってますか?

ノエル:ああ、北部人の作るアンセムだよ、救世主を迎えたOASISが放つシングルだ。

アメリカにはもううんざり?

ノエル:その質問はつまり「アメリカはもうOASISにうんざり?」ってことだよな。気を悪くしないでほしいんだが、アメリカでU2クラスまでビッグになるには、何かを犠牲にする覚悟が必要なんだ。俺達はもうUSのためにミュージックビデオを作ったり、シンシナティでSam Goodyレコード会社なんかと交渉する必要がないところまで登りつめた。ボノは世界一のロックスターになりたがってる、それがやつのあり方なのさ。

どうしてアメリカにおいてOASISはイギリスからのセレブリティ以上の存在にはなれないのでしょう?

ノエル:U2からは何度もアメリカに誘われてるんだ。俺達は「わかった、アメリカに行ってあのエミネムの野郎をシメてこよう」、なんて思いはしない。あの時のアメリカといえば、ステージ上には太った連中がのさばってマイクに叫んでばかりで、レコードは聴くに堪えないものばかり、そしてとどめがエミネムだ。カリスマ性があると勘違いされてるエミネムが、つまんなそうに突っ立ってるのさ。

マリリン・マンソンともお近づきになったようですね。

ノエル:舞台袖からエミネムを見てたんだ、そしたらマンソンのギタリストがやってきて「やあ、会えて嬉しいよ」。その10分後に今度は肩を叩かれて振り向いたら、ブライアン(マリリン・マンソンのこと)があの格好で「これから首切りだ」、ってのは嘘で、とても丁寧に握手を求めてきたんだよ、「こんにちは」ってさ。何年か前にジャーナリストどもが「Be Here Nowはマリリン・マンソンのお気に入りだ」と言ってたことを本人に確かめたが、どうやら本当らしいな。

あなた達の間では正式に離婚が成立してると考えても良いでしょうか?

ノエル:The News Of The World(UKタブロイド紙)で働いてたことでもあるのか?俺のプライベートは今買い手市場だからな。まずサラのことでだろ、それに昔のような生活から抜け出したからだ。どいつのパーティに行けばいいのか悩むなんてくだらないことに時間を浪費するのをやめて、一日一日大切に生きることにしたんだよ。

最近のボブ・ゲルドフのインタビューを読みました?彼はその中で、「裁判所は親権問題に関して父親を差別しすぎだ」と批判していますが、これに対して意見は?

ノエル:ああ、その通りだね。母親が父親よりも親としてふさわしいと当然のように思うのは明らかに男性差別だぜ。ポール・ウェラーもその問題で、プレスを賑わせてるみたいだが「疑わしきは罰せず」だろ?なのに有名人ではそれは通用しないみたいだ。

メグとの離婚で、あなたとアナイスとの関係に影響はありました?

ノエル:自分の子供に避けられるのはとても辛いことだね。一時期は自分を責めてもみたよ。アナイスは俺にとって特別な存在だし…まあ、この年頃の子供が興味を持ってるのは壁に落書きしたりケーキを投げあうことだと思い込むのはよしたほうがいいな。俺がアナイスと真剣に話す時は、あいつを座らせて「こうすることにした。理由はこうだ。良かれ悪かれ、これがベストな選択だと思ってる。お前はどう思う?受け入れてくれるか?何か言いたいことは?」。ただこういう風に話をする前に、まずはおかしなマスクを着けて、部屋中アナイスを追いかけ回さなきゃならないんだけどな!

アナイスとはいつ会えることに決まったの?

ノエル:週末に会える週と、火曜金曜に会える週があるんだ。

USでブラック・クロウズと一緒にツアーをする前に、リアムと「10の掟」を作ったのは本当?

ノエル:「汝酒を飲むなかれ、ノエルを追い出すなかれ」って?まさか。ドミニク・モーハンがSun紙の掲載コラムのためにでっちあげたんだろうよ、どうでもいいけどさ、でもあの記事を信じた読者から、俺が馬鹿みたいに思われるからやめてほしいぜ!まあ、1つか2つは作ったよ、なんていえばいいかな….リアムがバンドを出て行った時のためにさ。でもあのツアーではあいつも大人しくしてたから、実際に施行されることはなかった。

Sun紙は、あなたがもう一文無しだとも書いてますが。

ノエル:(笑って)ああ、その通り。あと800、900万ポンドしか残ってないんだよなあ。今住んでる家からスタジオまで車で片道1時間かかるから、電車で通ってるんだ、もちろんロンドン-ハイウィカム間のファーストクラスなんて、金の無い俺には乗れたもんじゃないよ。こういう風にあいつら、話を作るのが好きなんだ。「ノエル・ギャラガー、金欠。英国国鉄をエコノミーで乗車」。

タブロイドが求めてるような話はないんですか?

ノエル:あるよ、でも教えない。それこそ俺達がなんとしてでも隠し通したいことだからさ!

実際に会ってがっかりしたミュージシャンはいますか?

ノエル:俺はラッキーだね。俺の中のヒーロー達はみんな、話をしてみてもやっぱりクールなやつばかりだった。リアムにとって最悪だったらしいのは、ジョン・ライドンだな。リアム、哀れなやつだ。ロスでジョニーとその弟に会って一緒に飲んだんだ。酒が回るにつれ彼はますますよく喋るようになってね。ライドン曰く「俺が呼びつけたシンガー」のリアムが、The Smithsについて話し始めたんだ。リアムは「お前あいつらのこと好きなのかよ?モリッシーはゲイだぜ」。そしたらライドンは俺をちらっと見た後、リアムに向かって「それならお前もその方面の仲間か?」なんて言うから、俺は即リアムに向かって「やめろ、バカ!」と制したんだ。ライドンがリアムをからかってることに俺は気づいていたが、あいつはあっという間に臨戦状態に入ってたからな。

あなたは男同士でキスしたり、化粧をしたことはないの?

ノエル:それよりもとろけそうなことをしてもらったよ。シェパードで行われたピストルズのギグでのことだった。ライドンが俺に向かって歩いてくるのが見えて、俺は「ヘッドバットされるか、顔に酒を吹きつけられるかだな」と観念してたんだ。そしたら俺の肩に腕を回して、こう囁いた。「俺はこの世界にはあまり友達がいない。でもお前となら上手くやっていける気がする」。聞いてくれ、俺はあの瞬間、マジで涙が出そうだった。

それは手厚い歓迎でしたね。でもあのスティーブ・ジョーンズ(ピストルズのギタリスト)には会いました?

ノエル:(笑う)レオパード柄のパンツ、それにあのでかいビール腹!やばいよな、でもギタリストとしては最高だぜ!

ヒーローだと思ってたのに、実はとんでもないやつだったという人は?

ノエル:イアン・マカロック。ギグで会ったんだが「ああ、ああ、口では何とでも言えるよな」と思ったね。でもその後意気投合して6時間は一緒に飲んだ。断言するがセックスまでは行ってないぞ。

つまりこれまで会った中でも強烈なキャラクターだと?

ノエル:トップ10位そこらには入るね。でも一番は何と言ってもポール・ウェラーだ。彼と一緒にセッションをやった時は本当に鳥肌が立ったね。俺とリアム、クラドックにフォウワーで「The Carnation」をやった時だよ。俺達みんな自分の音楽嗜好については全く譲ろうとしないんだ。リアムがその時はまってたバンドの名前を挙げると、ウェラーは「確かに良いよな、でもあいつらの履いてる靴を見てみろよ」さ。ついでに言うと、その時リアムはThe Strokesをクソだとも言ってたぜ。理由はヴォーカルの名前がジュリアンだからだ、確かに、ふざけた名前だぜ。でも音楽的には良い線行ってる。