[clevelandleader] 2008/09/20
OASISがニューアルバムと共に帰ってくる。彼らの音楽への取り組み方を表す1曲を選ぶとすれば、「The Turning」だろう。ミドルテンポのこの曲で、OASISは「いつも同じ曲を追い求めて」と歌うのである。
ギャラガー兄弟とその仲間達は、今回全く異なるアプローチで曲作りに挑んでいる。1994年に発売されたデビューアルバム「Definitely Maybe」以来の新鮮なサウンドだ。
The Beatles、The Doors、そしてジョン・レノンからの影響を誇らしげに身にまとってきた彼らの姿勢は、変わらないようだ。自らの作品で先人達の功績を世に知らしめつ つ、The Beatlesの「Dear Prudence」、The Doorsの「Five To One」、ジョン・レノンの「Gimme Some Truth」のような曲の詰まったニューアルバムを送り出す。
ヴォーカリストのリアム・ギャラガー、英国音楽界でも随一の声の持ち主は、オープニングの「Bag It Up」で、「俺の信じる全てのものが、まだ足りないと叫んでいる」と訴える。彼らのファンであるならばこの歌詞の意味はわかるだろうし、アルバムを最後ま で聴けば抵抗なく腑に落ちるフレーズとなるはずだ。
繊細なピアノの旋律で始まる「The Turning」は、続くギターソロによって新たな高みへ昇り、50層にも織り成されるコーラスでエンディングへと誘導される。
リアムの兄ノエルがアルバムで最初にヴォーカルを取るのは、3曲目「Waiting For The Rapture」だ。
The Doorsの「Five To One」でおなじみのビートで始まり、長年付き合っている恋人サラへの愛情が垣間見えるこの曲では、彼の音楽キャリア14年にして新しいヴォーカルスタイルをとっている。
次なるトラックは、シングル「The Shock Of The Lightning」。
この曲で私達は初めて、いつものOASIS節を耳にする。アメリカでは、1997年の「D'you Know What I Mean」以来の話題となりそうなシングルだ。
続いて、バンドには欠かせないジョン・レノンへの頌歌「I'm Outta Time」である。リアムが書いた曲だ。
ジョン・レノンのインタビュークリップまでサンプリングされたこの曲は、彼の「Imagine」、「Double Fantasy」に収録されていてもおかしくないサウンド。これを聴いたオノ・ヨーコが、涙を流し、リアムの確固としたソングライティング能力を誇りに 思ったとしても不思議ではない。
「(Get of Your) High Horse Lady」では、ノエルが再び戻ってくる。
The Beatlesの「Rocky Racoon」をブルージーに解釈したと言える曲だ。「Rocky Racoon」にThe Rolling Stonesの「Exile on Main Street」の雰囲気をミックスした感じを想像してほしい。
これまでのOASISとは一線を画するこの曲で、アルバムの流れは一変する。
そしてアルバム後半のスタートを切るのは、ノエルヴォーカルの「Falling Down」だ。リアムが歌う「The Shock Of The Lightning」のように、90年代のOASISを彷彿とさせるこの曲には、ノエルがケミカル・ブラザーズととの経験を生かしてドローンロックが取り 入れられている。
「(Get of Your) High Horse Lady」と「Falling Down」は、ノエルのソングライティングの奥の深さを示しているのみならず、曲調は全く異なるものの、どちらもアルバムの要塞となっているのである。
次のトラックを手がける栄誉を得たのは、ゲム・アーチャーだ。
「To Be Where There's Life」にシタールを取り入れることで、内なるジョージ・ハリソンを表現したゲム。気骨あふれるリアムのヴォーカル、粋なベースライン、シタール、そしてそれらをリードするギターテクニック。
ここで再びリアムの曲が登場する。1996年、マンチェスターでのギグの直前にジョン・レノンの魂が身体の中に入ってきたと主張する彼にふさわしく、この曲もジョン・レノンスタイルだ。
レノンのアグレッシブなナンバー「Gimme Some Truth」を髣髴とさせる「Ain't Got Nothin'」は、2002年ドイツで起こった喧嘩の真相が歌われる。
アルバムの終わりは、さらにレノンの影響を感じる2曲、アンディ・ベルの「Nature Of Reality」とリアムの「Soldier On」で幕を閉じる。
今回のアルバムで、OASISは反対論者達の口をつぐませることができるだろうか?
14年の歳月をかけて到達した「Dig Out Your Soul」を受け入れられないならば、あなたにはOASISというバンドが合わないということだろう。
しかし1995年発売の「(What's the Story) Morning Glory?」から彼らを待ち続けてきたのなら、これこそ、あなたの待ち望んでいたアルバムである。
OASISの偉大さを確実なものとする胸のすくような作品だ。
[Guardian] 2008/09/14
5点中4点
彼らが社会に対して傲慢さと嘲りを持って現れてから15年近い。ギャラガー兄弟は今でも、他に類を見ないほどの注目を集めている。なぜ、これまでにみんな の興味を引くのか。答えは簡単だ。足元に及ぶものはいない真のロック・スター然とした振る舞い。そしてリオ・フェルディナンドも言及しているように「傑作 を作り続ける」からなのである。この2つがOASISを比類のものに至らしめているのだ。彼らは生き続ける。「ローリング・ストーンズになるには若すぎ る。リバティーンズの郎党になるには年上すぎる」と、アラン・マッギーが形容したように。
前作のインタビューで、リアムは「どこに行こうと、俺は狂気を持ち続けてる」と言ったものだが、かのロックスターは落ち着きを得、常識人になっているよう に思える。朝の6時に起床してハムステッド・ヒースをランニングした後に、子供達を学校まで連れて行くのだ。「Defeinitely Maybe」で、ギャラガー兄弟の弟は、ストロベリー&クリーム&ラザーニャについて歌っていたが、今のお気に入りは醤油味の焼きサーモンのようだ。そし て今でも彼の口からはFワードのスパイスがふんだんにかかった言葉が流れ出るが、実際「The F Word」という番組に出演し、ゴードン・ラムゼイ相手にジョークを交わしたりもするのだ。
一方ノエル派、第2の青春へと入ったようである。Radio 1の番組に朝一で、しかも酒が残ったままで出演したのだ。
2005年発売の前作「Don't Believe The Truth」では、長い間待たれていたサウンド面での復活を果たしたOASIS。今回は、ノエルの言葉で表すなら「グルーヴよりの音楽となっている」。こ れは彼が以前から持ち合わせていたものではあるが、メロディに圧されていたものだ。2000年の「Standing on the Shoulder of Giants」の時から、OASISは常に虚飾を廃した戦闘開始の合図を発してきた。「Go Let It Out」や「The Hindu Times」、「Lyla」などだ。そして今回もその姿勢は変わらない。「The Shock Of The Lightning」は、推進力みなぎるロックであり、もはやトレードマークでもあるノエルの不合理な、言いたいことはたくさんあるのだけど、どう表現す ればいいのかわからないという歌詞があふれている。
ギタリストのゲム・アーチャーは、ヒプノティックな「To be Where There's Life」、ベーシストのアンディ・ベルも、それぞれ「The Nature of Reality」で、アルバムのソングライティングに貢献している。しかし、ノエルのチーフの座を狙うようなことはしないようだ。それをする可能性がある のは、リアム、彼に違いないだろう。アルバムの中でもひときわ目立つ「I'm Outta Time」、レノン風のピアノで導かれるバラードでは、彼の繊細な面が露になっている。リアム自身の「自分の心をもっと穏やかな状態に保つ・・・イカれた 行動をすることがだんだん難しくなってきてるんだよ」という言葉は本当のようだ。
ビートルズの影響は今でも残っている。終盤に「Dear Prudence」のギターが入る「The Turning」から、「Give Peace a Chance」のクラップとストンプが入る「(Get Off Your) High Horse Lady」まで。しかし、今回のOASISは、それだけで終わらず、音楽の歴史を渡り歩いていたようだ。「Waiting For the Rapture」の猥褻なギターはドアーズの「Five To One」のものだし、「Ain't Got Nothin'」では、ザ・フーが、そして、「Bag It Up」ではピンク・フロイドも見えてくる。つまり、彼らはドローンからアシッド・ロックまで幅広い音楽性を取り入れることにより、一発で記憶に残る一般的 なポップソングを避けたのだ。
「Definitely Maybe」が、OASISにとってのストーン・ローゼズの1st「Stone Roses」だとすれば、「Dig Out Your Soul」は、彼らの2nd「Second Coming」だと言えよう。新たなファンの獲得は望めないが、前作を気に入ったファン達には必ずや受け入れられるということだ。
[Q] 2008 October
OASISのメンバーが、楽曲を解説。
BAG IT UP
激しくサイケデリックなオープニング曲。The Pretty Thingsの「Baron Saturday」からインスピレーションを得たという。
ノエル:スローテンポのアシッドロック。The Pretty Things VS The Pink Floydってところだな。
アンディ:ノエルがゲムのホームスタジオでデモ録りをした3曲のうちの1曲だね。静かな落ち着いた環境で、基本に忠実にレコーディングをしたことで、どういうアルバムにしていくかが見えてきたんだ。
THE TURNING
ドリーミーなピアノ主体のリード・ヴァースから、多幸感あふれるコーラスへ。リアムの「shake, your reptile baby」というヴォーカルがリスナーを曲の世界へと引きずりこむ。
ノエル:The Stone Rosesが、The World Of Twistに目くばせしながらThe Stoogesをやった感じ。
ゲム:リアムのヴォーカルがすごいんだ。力強いんだけど粗野じゃない。
WAITING FOR THE RAPTURE
ヘヴィなリフ。特に、架空の女性に「get me off the merry-go-round」と歌うところでは、ノエルの熱のこもったヴォーカルを聴くことが出来る。
ノエル:イビサで出会った「天使」にまつわるラブソング。
アンディ:それってサラのことだろう。ノエルはそういう事柄を、ストレートに核心を突く現実的な方法で表現することができるのさ。
THE SHOCK OF THE LIGHTNING
「Come In, Come Out」の癖になるリフレインが肝の駆動力あふれるロック。「Definitely Maybe」に収録されていたとしてもおかしくない。
ゲム:レコーディング前夜にノエルがまさに一夜にしてデモを作ったんだよ。ちょっとしてワンマンバンドさ。ドラムもベースもギターもヴォーカルも1人でやって、僕達のいる2階に戻ってきたんだ。
I'M OUTTA TIME
「If I'm to fall/ Would you be there to applaud?」というはかない歌詞が歌われるリアムのバラード。ジョン・レノン死の前日に録られたラジオインタビューがサンプリングされている。
ノエル:実は、素晴らしい曲。女性は好きだろうね。
ゲム:心がこもってる。メランコリーが感じられるし、それこそリアムが表現したかったものだろう。
(GET OFF YOUR) HIGH HORSE LADY
手拍子でつづられるブルージーなアコースティックのストンプ。ノエルのヴォーカルにはディストーションがかけられている。
ノエル:このアルバムの中では一番古い曲だな。「Heathen Chemistry」の時にデモは録っていたから。この曲がアルバムのメインにはなりえないだろうが、ベースがとてもヘヴィなんだ。最後まで突っ走ってく感じさ。
FALLING DOWN
芯までサイケデリックに染まったドローン・ポップ。「Setting Sun」からエレクトリック要素を取り除いたような雰囲気。
ノエル:3コードに、Krautpop!のような感情の起伏のない感じ。長い間、こういう曲を書きたいと思ってた。
TO BE WHERE THERE'S LIFE
強靭なベースラインが目立つヒプノティックな楽曲。リスナーを広大でワイルドな世界へと導く。
ゲム:最初はグルーヴとベースラインしかなかった曲なんだ。これを聴いたノエルが「これはいい。歌詞を書いてくれ」って言ってきてね。感情の嵐って感じだよね。ギターが少しも入ってないけど、こういうのも僕は好きなんだ。
AIN'T GOT NOTHIN'
60年代のThe Whoを思わせるトリッピーな楽曲。2002年ミュンヘンで起きたバーでの騒動の後、リアムが書いた曲。
ノエル:ヘヴィ・メタルなモータウンさ!
ゲム:リアムはこの曲を、ジンジャー・ベイカーがドラムに入ったThe Whoみたいなサウンドに仕上げたがっていた。
THE NATURE OF REALITY
「The nature of reality/ Is pure subjective fantasy」という歌詞がある、アンディ・ベルのアシッドロック。
アンディ:空いた時間に少しずつ書いた曲なんだ。僕の結婚生活がまだ上手く行ってた時にね。ノエルにギターラインを教えて、後は彼に好きなように弾いても らった。ゲムはベースを弾いてる。だからこの曲で僕は何も演奏していないんだよ。コントロールルームで、ちゃんとした音になってるか確認したくてね。
SOLDIER ON
The Coralによって日の目を見た楽曲。アンディ・ベルのipodから見つかるまで、誰も存在すら覚えてなかったという。
ゲム:The Coralがノエルに「良い曲だよ」と言ってきたんだけど、ノエルが「何の曲だ?」、僕もはっきりわからなくてさ。2004年か2005年あたりに、リアムとデモを作ったんだけど、思い出せなかったんだよね。
ノエル:人間の存在をメタファーとした曲。アウトロでは、レゲエ界の伝説ドレッド・ノエルがメロディカの音にあわせて出てくるぞ。
[Billboard] 2008/08/20
ラウドに誇らしげに。OASISがニューアルバムでロックを打ち鳴らす。
OASISが、無駄を一切省いたロックンロールへと回帰した。
アメリカにて10月7日に発売される、7thアルバム「Dig Out Your Soul」。
9月の終わりに発売されるラウドなリードシングル「The Shock of the Lightning」は、すでにラジオステーションで繰り返しオンエアされている。
1994年発売のデビューアルバム「Definitely Maybe」収録の「Columbia」が蘇る2コードの哀歌「Bag It Up」でアルバムの幕が上がる今作は、続く2曲目「The Turning」で、「Blackbird」のフィンガーピッキングスタイルで張り詰めた緊張を緩め、車の往来する音と警報のサンプリングを用いたアウト ロへとなだれ込む。
ノエルヴォーカルの「Waiting for the Rapture」は、ビートルズの「Come Together」に応えるかのような楽曲であり、手拍子がはまるストンプ「(Get Off Your) High Horse Lady」やブギの雰囲気を持つ「The Nature of Reality」を聴けば、今回のアルバムが原点へ戻ったという感慨が深まるだろう。
一方、リアム・ギャラガーがペンを取った「I'm Outta Time」には、1980年、ジョン・レノンがこの世を去るほんの数日前にBBC Radioで行われたインタビューをサンプリングされている。
ノエルの歌う「Falling Down」は、ケミカル・ブラザーズとのコラボレーション作品「Setting Sun」のビートに乗せて演奏される楽曲だ。
今回の「Dig Out Your Soul」では、ノエルが6曲、リアムが3曲、ゲムとアンディがそれぞれ1曲ずつを担当している。
8月26日のシアトルから、ノースアメリカでのツアーをスタートさせるOASIS。
バンドのスポークスマンによると、今朝発売されたUKツアー、10月に行われる18日程のチケットは既に完売したという。
OASISがニューアルバムと共に帰ってくる。彼らの音楽への取り組み方を表す1曲を選ぶとすれば、「The Turning」だろう。ミドルテンポのこの曲で、OASISは「いつも同じ曲を追い求めて」と歌うのである。
ギャラガー兄弟とその仲間達は、今回全く異なるアプローチで曲作りに挑んでいる。1994年に発売されたデビューアルバム「Definitely Maybe」以来の新鮮なサウンドだ。
The Beatles、The Doors、そしてジョン・レノンからの影響を誇らしげに身にまとってきた彼らの姿勢は、変わらないようだ。自らの作品で先人達の功績を世に知らしめつ つ、The Beatlesの「Dear Prudence」、The Doorsの「Five To One」、ジョン・レノンの「Gimme Some Truth」のような曲の詰まったニューアルバムを送り出す。
ヴォーカリストのリアム・ギャラガー、英国音楽界でも随一の声の持ち主は、オープニングの「Bag It Up」で、「俺の信じる全てのものが、まだ足りないと叫んでいる」と訴える。彼らのファンであるならばこの歌詞の意味はわかるだろうし、アルバムを最後ま で聴けば抵抗なく腑に落ちるフレーズとなるはずだ。
繊細なピアノの旋律で始まる「The Turning」は、続くギターソロによって新たな高みへ昇り、50層にも織り成されるコーラスでエンディングへと誘導される。
リアムの兄ノエルがアルバムで最初にヴォーカルを取るのは、3曲目「Waiting For The Rapture」だ。
The Doorsの「Five To One」でおなじみのビートで始まり、長年付き合っている恋人サラへの愛情が垣間見えるこの曲では、彼の音楽キャリア14年にして新しいヴォーカルスタイルをとっている。
次なるトラックは、シングル「The Shock Of The Lightning」。
この曲で私達は初めて、いつものOASIS節を耳にする。アメリカでは、1997年の「D'you Know What I Mean」以来の話題となりそうなシングルだ。
続いて、バンドには欠かせないジョン・レノンへの頌歌「I'm Outta Time」である。リアムが書いた曲だ。
ジョン・レノンのインタビュークリップまでサンプリングされたこの曲は、彼の「Imagine」、「Double Fantasy」に収録されていてもおかしくないサウンド。これを聴いたオノ・ヨーコが、涙を流し、リアムの確固としたソングライティング能力を誇りに 思ったとしても不思議ではない。
「(Get of Your) High Horse Lady」では、ノエルが再び戻ってくる。
The Beatlesの「Rocky Racoon」をブルージーに解釈したと言える曲だ。「Rocky Racoon」にThe Rolling Stonesの「Exile on Main Street」の雰囲気をミックスした感じを想像してほしい。
これまでのOASISとは一線を画するこの曲で、アルバムの流れは一変する。
そしてアルバム後半のスタートを切るのは、ノエルヴォーカルの「Falling Down」だ。リアムが歌う「The Shock Of The Lightning」のように、90年代のOASISを彷彿とさせるこの曲には、ノエルがケミカル・ブラザーズととの経験を生かしてドローンロックが取り 入れられている。
「(Get of Your) High Horse Lady」と「Falling Down」は、ノエルのソングライティングの奥の深さを示しているのみならず、曲調は全く異なるものの、どちらもアルバムの要塞となっているのである。
次のトラックを手がける栄誉を得たのは、ゲム・アーチャーだ。
「To Be Where There's Life」にシタールを取り入れることで、内なるジョージ・ハリソンを表現したゲム。気骨あふれるリアムのヴォーカル、粋なベースライン、シタール、そしてそれらをリードするギターテクニック。
ここで再びリアムの曲が登場する。1996年、マンチェスターでのギグの直前にジョン・レノンの魂が身体の中に入ってきたと主張する彼にふさわしく、この曲もジョン・レノンスタイルだ。
レノンのアグレッシブなナンバー「Gimme Some Truth」を髣髴とさせる「Ain't Got Nothin'」は、2002年ドイツで起こった喧嘩の真相が歌われる。
アルバムの終わりは、さらにレノンの影響を感じる2曲、アンディ・ベルの「Nature Of Reality」とリアムの「Soldier On」で幕を閉じる。
今回のアルバムで、OASISは反対論者達の口をつぐませることができるだろうか?
14年の歳月をかけて到達した「Dig Out Your Soul」を受け入れられないならば、あなたにはOASISというバンドが合わないということだろう。
しかし1995年発売の「(What's the Story) Morning Glory?」から彼らを待ち続けてきたのなら、これこそ、あなたの待ち望んでいたアルバムである。
OASISの偉大さを確実なものとする胸のすくような作品だ。
[Guardian] 2008/09/14
5点中4点
彼らが社会に対して傲慢さと嘲りを持って現れてから15年近い。ギャラガー兄弟は今でも、他に類を見ないほどの注目を集めている。なぜ、これまでにみんな の興味を引くのか。答えは簡単だ。足元に及ぶものはいない真のロック・スター然とした振る舞い。そしてリオ・フェルディナンドも言及しているように「傑作 を作り続ける」からなのである。この2つがOASISを比類のものに至らしめているのだ。彼らは生き続ける。「ローリング・ストーンズになるには若すぎ る。リバティーンズの郎党になるには年上すぎる」と、アラン・マッギーが形容したように。
前作のインタビューで、リアムは「どこに行こうと、俺は狂気を持ち続けてる」と言ったものだが、かのロックスターは落ち着きを得、常識人になっているよう に思える。朝の6時に起床してハムステッド・ヒースをランニングした後に、子供達を学校まで連れて行くのだ。「Defeinitely Maybe」で、ギャラガー兄弟の弟は、ストロベリー&クリーム&ラザーニャについて歌っていたが、今のお気に入りは醤油味の焼きサーモンのようだ。そし て今でも彼の口からはFワードのスパイスがふんだんにかかった言葉が流れ出るが、実際「The F Word」という番組に出演し、ゴードン・ラムゼイ相手にジョークを交わしたりもするのだ。
一方ノエル派、第2の青春へと入ったようである。Radio 1の番組に朝一で、しかも酒が残ったままで出演したのだ。
2005年発売の前作「Don't Believe The Truth」では、長い間待たれていたサウンド面での復活を果たしたOASIS。今回は、ノエルの言葉で表すなら「グルーヴよりの音楽となっている」。こ れは彼が以前から持ち合わせていたものではあるが、メロディに圧されていたものだ。2000年の「Standing on the Shoulder of Giants」の時から、OASISは常に虚飾を廃した戦闘開始の合図を発してきた。「Go Let It Out」や「The Hindu Times」、「Lyla」などだ。そして今回もその姿勢は変わらない。「The Shock Of The Lightning」は、推進力みなぎるロックであり、もはやトレードマークでもあるノエルの不合理な、言いたいことはたくさんあるのだけど、どう表現す ればいいのかわからないという歌詞があふれている。
ギタリストのゲム・アーチャーは、ヒプノティックな「To be Where There's Life」、ベーシストのアンディ・ベルも、それぞれ「The Nature of Reality」で、アルバムのソングライティングに貢献している。しかし、ノエルのチーフの座を狙うようなことはしないようだ。それをする可能性がある のは、リアム、彼に違いないだろう。アルバムの中でもひときわ目立つ「I'm Outta Time」、レノン風のピアノで導かれるバラードでは、彼の繊細な面が露になっている。リアム自身の「自分の心をもっと穏やかな状態に保つ・・・イカれた 行動をすることがだんだん難しくなってきてるんだよ」という言葉は本当のようだ。
ビートルズの影響は今でも残っている。終盤に「Dear Prudence」のギターが入る「The Turning」から、「Give Peace a Chance」のクラップとストンプが入る「(Get Off Your) High Horse Lady」まで。しかし、今回のOASISは、それだけで終わらず、音楽の歴史を渡り歩いていたようだ。「Waiting For the Rapture」の猥褻なギターはドアーズの「Five To One」のものだし、「Ain't Got Nothin'」では、ザ・フーが、そして、「Bag It Up」ではピンク・フロイドも見えてくる。つまり、彼らはドローンからアシッド・ロックまで幅広い音楽性を取り入れることにより、一発で記憶に残る一般的 なポップソングを避けたのだ。
「Definitely Maybe」が、OASISにとってのストーン・ローゼズの1st「Stone Roses」だとすれば、「Dig Out Your Soul」は、彼らの2nd「Second Coming」だと言えよう。新たなファンの獲得は望めないが、前作を気に入ったファン達には必ずや受け入れられるということだ。
[Q] 2008 October
OASISのメンバーが、楽曲を解説。
BAG IT UP
激しくサイケデリックなオープニング曲。The Pretty Thingsの「Baron Saturday」からインスピレーションを得たという。
ノエル:スローテンポのアシッドロック。The Pretty Things VS The Pink Floydってところだな。
アンディ:ノエルがゲムのホームスタジオでデモ録りをした3曲のうちの1曲だね。静かな落ち着いた環境で、基本に忠実にレコーディングをしたことで、どういうアルバムにしていくかが見えてきたんだ。
THE TURNING
ドリーミーなピアノ主体のリード・ヴァースから、多幸感あふれるコーラスへ。リアムの「shake, your reptile baby」というヴォーカルがリスナーを曲の世界へと引きずりこむ。
ノエル:The Stone Rosesが、The World Of Twistに目くばせしながらThe Stoogesをやった感じ。
ゲム:リアムのヴォーカルがすごいんだ。力強いんだけど粗野じゃない。
WAITING FOR THE RAPTURE
ヘヴィなリフ。特に、架空の女性に「get me off the merry-go-round」と歌うところでは、ノエルの熱のこもったヴォーカルを聴くことが出来る。
ノエル:イビサで出会った「天使」にまつわるラブソング。
アンディ:それってサラのことだろう。ノエルはそういう事柄を、ストレートに核心を突く現実的な方法で表現することができるのさ。
THE SHOCK OF THE LIGHTNING
「Come In, Come Out」の癖になるリフレインが肝の駆動力あふれるロック。「Definitely Maybe」に収録されていたとしてもおかしくない。
ゲム:レコーディング前夜にノエルがまさに一夜にしてデモを作ったんだよ。ちょっとしてワンマンバンドさ。ドラムもベースもギターもヴォーカルも1人でやって、僕達のいる2階に戻ってきたんだ。
I'M OUTTA TIME
「If I'm to fall/ Would you be there to applaud?」というはかない歌詞が歌われるリアムのバラード。ジョン・レノン死の前日に録られたラジオインタビューがサンプリングされている。
ノエル:実は、素晴らしい曲。女性は好きだろうね。
ゲム:心がこもってる。メランコリーが感じられるし、それこそリアムが表現したかったものだろう。
(GET OFF YOUR) HIGH HORSE LADY
手拍子でつづられるブルージーなアコースティックのストンプ。ノエルのヴォーカルにはディストーションがかけられている。
ノエル:このアルバムの中では一番古い曲だな。「Heathen Chemistry」の時にデモは録っていたから。この曲がアルバムのメインにはなりえないだろうが、ベースがとてもヘヴィなんだ。最後まで突っ走ってく感じさ。
FALLING DOWN
芯までサイケデリックに染まったドローン・ポップ。「Setting Sun」からエレクトリック要素を取り除いたような雰囲気。
ノエル:3コードに、Krautpop!のような感情の起伏のない感じ。長い間、こういう曲を書きたいと思ってた。
TO BE WHERE THERE'S LIFE
強靭なベースラインが目立つヒプノティックな楽曲。リスナーを広大でワイルドな世界へと導く。
ゲム:最初はグルーヴとベースラインしかなかった曲なんだ。これを聴いたノエルが「これはいい。歌詞を書いてくれ」って言ってきてね。感情の嵐って感じだよね。ギターが少しも入ってないけど、こういうのも僕は好きなんだ。
AIN'T GOT NOTHIN'
60年代のThe Whoを思わせるトリッピーな楽曲。2002年ミュンヘンで起きたバーでの騒動の後、リアムが書いた曲。
ノエル:ヘヴィ・メタルなモータウンさ!
ゲム:リアムはこの曲を、ジンジャー・ベイカーがドラムに入ったThe Whoみたいなサウンドに仕上げたがっていた。
THE NATURE OF REALITY
「The nature of reality/ Is pure subjective fantasy」という歌詞がある、アンディ・ベルのアシッドロック。
アンディ:空いた時間に少しずつ書いた曲なんだ。僕の結婚生活がまだ上手く行ってた時にね。ノエルにギターラインを教えて、後は彼に好きなように弾いても らった。ゲムはベースを弾いてる。だからこの曲で僕は何も演奏していないんだよ。コントロールルームで、ちゃんとした音になってるか確認したくてね。
SOLDIER ON
The Coralによって日の目を見た楽曲。アンディ・ベルのipodから見つかるまで、誰も存在すら覚えてなかったという。
ゲム:The Coralがノエルに「良い曲だよ」と言ってきたんだけど、ノエルが「何の曲だ?」、僕もはっきりわからなくてさ。2004年か2005年あたりに、リアムとデモを作ったんだけど、思い出せなかったんだよね。
ノエル:人間の存在をメタファーとした曲。アウトロでは、レゲエ界の伝説ドレッド・ノエルがメロディカの音にあわせて出てくるぞ。
[Billboard] 2008/08/20
ラウドに誇らしげに。OASISがニューアルバムでロックを打ち鳴らす。
OASISが、無駄を一切省いたロックンロールへと回帰した。
アメリカにて10月7日に発売される、7thアルバム「Dig Out Your Soul」。
9月の終わりに発売されるラウドなリードシングル「The Shock of the Lightning」は、すでにラジオステーションで繰り返しオンエアされている。
1994年発売のデビューアルバム「Definitely Maybe」収録の「Columbia」が蘇る2コードの哀歌「Bag It Up」でアルバムの幕が上がる今作は、続く2曲目「The Turning」で、「Blackbird」のフィンガーピッキングスタイルで張り詰めた緊張を緩め、車の往来する音と警報のサンプリングを用いたアウト ロへとなだれ込む。
ノエルヴォーカルの「Waiting for the Rapture」は、ビートルズの「Come Together」に応えるかのような楽曲であり、手拍子がはまるストンプ「(Get Off Your) High Horse Lady」やブギの雰囲気を持つ「The Nature of Reality」を聴けば、今回のアルバムが原点へ戻ったという感慨が深まるだろう。
一方、リアム・ギャラガーがペンを取った「I'm Outta Time」には、1980年、ジョン・レノンがこの世を去るほんの数日前にBBC Radioで行われたインタビューをサンプリングされている。
ノエルの歌う「Falling Down」は、ケミカル・ブラザーズとのコラボレーション作品「Setting Sun」のビートに乗せて演奏される楽曲だ。
今回の「Dig Out Your Soul」では、ノエルが6曲、リアムが3曲、ゲムとアンディがそれぞれ1曲ずつを担当している。
8月26日のシアトルから、ノースアメリカでのツアーをスタートさせるOASIS。
バンドのスポークスマンによると、今朝発売されたUKツアー、10月に行われる18日程のチケットは既に完売したという。
