あなた達が表から姿を消してる間に、ロックにはまた新たな風が吹いてきたようですが…

ノエル:そりゃ素晴らしい。どっちにしろロックンロールはめぐりめぐるものだからな。俺達が現れる前はそれが滞っていた。HivesにBlack Rebel Motorcycle Club、The Soundtrack Of Our Lives、The Strokes、どれもかなり良いバンドだろ。その頂点にいるのはDovesだ。俺が思うに彼らは本当に特別なレコードを作ってきてる、素晴らしいよ。レス・ポールやウィンドミル的なロックンロールではないかもしれないが、最高の音楽だ。考えてみたら、今みたいな時代だと特に、一生を通して共に歩むようなレコードは多くないだろう。俺は死ぬまで彼らの音楽を聴くと思うよ。Coldplayのアルバムみたいにな。あれも凄い出来だ。

ではパンク・ロックはもういらない?

ノエル:パンクロック=ロックンロールじゃないだろう。パンクロックは、後先考えずに騒ぐってことだ。もし意味をつけるとしたら、そういう「態度」をパンクロックと言うと思う。Black Rebel MotorCycle Clubが「俺達のロックンロールに何が起きたんだ?」と歌ってるが、あの「ロックンロール」は音楽を指してるんじゃない。「俺達の時代、美、純粋さ、考え方に何が起きたんだ?」と言ってると、俺は思うんだ。だから一言で「俺達のパンクロックに何が起きたんだ?」と言うことも出来る。俺にとっては、プライマル・スクリームはパンクロックでありロックンロールだ。彼らを一つのカテゴリーに当てはめることは出来ないよな、ルールをぶっ壊してる。プロディジーはパンクロックだ。音楽のことじゃなくて彼らを見ればわかる。パンクロックは「黒ジャケットにつんつん頭」のことじゃない。

この10年でリアムとの関係は変わった?

ノエル:曲を書き始めたから、これまでより敬意をはらうようにしてるよ、自分の態度や髪型よりもバンドに対して熱を注ぐようになったんからな。

でも彼の髪型、良いですよね。

ノエル:最高だよな!って、俺に何を言わせる気だ!?これまでのあいつの態度は問題だった。でも10年たって、やっと方向転換して曲を書き始めたんだ、どれも素晴らしい曲ばかりだよ。さらに面白い男になったし。

最近リアムはあなたのことを彼にとっての「ヴェラ」だと例えてましたが…

ノエル:(笑)うーん…あまり賛成できないけど、言いたいことは分かる。確かにいつもお互い愚痴を言い合ってる2人のクソったれだからな。でも面白いたとえだ。

ジャックとヴェラは喧嘩をするけど、そこには真実の愛がある。

ノエル:もちろんさ。俺はリアムが大好きだ、本当だぜ。毎日あいつに言ってるよ。朝の9時に電話がかかってくるんだ、「今Trisha Show見てる?」。馬鹿かあいつ。朝から一体何見てんだよ?とにかく、リアムは俺の本当に良い仲間なんだ。弟としても他の誰よりも最高。俺達二人のバンドのシンガーでもあるしな、大好きだよ。(しばらく沈黙)でもこういうことは外で言いたくないんだ、あいつの耳に入ったら図に乗るだろ。でも本当にクールだよ、リアムは。

あなた達兄弟が離婚した時、何か…

ノエル:(そっけなく)逸話があるかって?

必要な経験だった?また二人一緒に苦労を乗り越えたという。

ノエル:いやいやいやいや。ない。絶対にそれはない。俺達はクリスチャンでも何でもないんだ。俺はリアムが何を経験したのかちゃんとわかってる。たとえあいつが何も言わなくてもだ。俺達はとてもとても…わかるだろ、あまりに近いんだ。自分の身に起こったくだらないことを、わざわざ繰り返して言いたがるやつなんているか?俺が言いたいのは、俺達の人生がくだらないんじゃなくて、起こったことがくだらない、ってことだぜ。バンド以外であいつと会って話すことといえば、ビートルズとローリング・ストーンズのことで、俺が語り倒すのはどんなに彼らが素晴らしいかってことだ。それと俺達の子供のことについて話す。でも俺達の間で過去にあったいろんなことについては話さない、ひどいもんだからな。終わったことは持ち出さない。前へ進むのみさ。

「Force Of Nature」は前アルバムの「Where Did It All Go Wrong?」や「Gas Panic!」の魂の暗い部分を受け継いでるように聴こえます。

ノエル:Force of NatureとLittle By Littleは‘98年に上映された「ロンドン・ドッグス」を見て書いたんだ。最初は4thアルバムに入れようとしたんだけど、ギグジーとボーンヘッドは途中で抜けたし、アラン・マッギーはクリエイションをたたむしで、その時はスルーすることにした。くそ、出し惜しみだぜ。とにかくあの曲は全く自伝的なところなんてない。あの映画を見て、俺の言ってることが本当かどうか確認してみろよ。歌詞を読んで、みんながあることを考えてしまうことはしょうがないとは思う。あれは前妻とドラッグ漬けの日々について書いたんだとね。でも俺の「懺悔」はもう4thアルバムで終わってるんだ、「Where Did It All Go Wrong?」 と 「Gas Panic!」から感じられる「なぜ満足いく曲が書けなくなったんだ?」という告白が、そうだよ。

バンドをやめたいと思った瞬間があったってこと?

ノエル:いや違う。そういうことじゃない。うがいをしてレモンとはちみつで喉を整えてスケールもやってるのに、歌わないやつがいるとする。みんな苛立ってもう引退は近いというだろう。でも実際に「あと6ヶ月で辞めます」と発表されることはない。つまり、何をしようが俺達の人生だから、自由にさせてもらう。ビジネスじゃなくて生き方なんだ。俺はリアム以外とはレコードを作るつもりはない。ケミカル・ブラザーズと曲を作り、リアムはデス・イン・ヴェガスやプロディジーと曲を作るが、あれはあいつがやりたいことをやってるだけだ。俺はあいつ以外とバンドは組まないし、ソロになるつもりもない。セッション・ミュージシャンになんて囲まれたくないからな。

「解散?」ってよく話題になりますね。

ノエル:そうだな。確かにリアムがいらだってる時期があったんだ、あいつのプライベートのくだらないことをリハーサルルームにまで持ち込んで、みんなに八つ当たりしてる時もあった。その時の俺は正直「いつまでこの馬鹿と一緒にいなきゃならねえんだ?」と思ったよ。でも6ヶ月のオフのあと戻ってみたら、今度は「曲に自信もないのにスタジオに入って良いのか?妥協するファンの姿を見たいのか?」「同じ悩みを持ったままスタジオに入る他のメンバーを見たいのか?」と思った。もし俺が「今俺がやってることは正しいのか?」と聞いたらみんなに「ああ、ロビー(ロビー・ウィリアムズのジョーク)、正しいよ」とぜひ言ってほしかったんだ。まあそう言われても相手にしなかっただろうが、今はそんなこと言われたくもない。俺はこの世界で他の誰よりもリアムの意見を尊重する。

素敵な答えです。

ノエル:ただそれだけだ。6ヶ月ビーチで過ごすと、頭がすっきりするよ。リアムへの怒りや他の事…それもこう思える、そうさ、やつには少々だめなところもあるけど、きっと変わってくれる。今年で30だし、大丈夫だ、ってな。

あなたは自分の曲作りに批判的ですよね。

ノエル:正直なだけだよ。格好つけてるわけじゃない、実際俺はお前のメリットやこの読者のメリットは何も考えてないからな…みんなが俺のつくる音楽をどう思おうがどうでもいいんだ。ただ自分自身に正直なだけなんだ。「Be Here Now」では2週間レコーディングをして、アビーロードの外で「どんな感じ?」と聞かれたから「パブにスリにクズって感じさ」なんて答えて、テープレコーダーを持ったやつらに愉快な逸話を残した俺とは、もう違う。今は毎朝、ひげそり片手に自分を見つめなおすのさ、リアムは「そんなことするなよ」といつも言うけどな。自分に満足したいんだ。作った音楽を、らしくないものに仕立て直すことはしたくない。俺は「良い音楽を作るぜ、ウラヌス神が歌うような、未来永劫残る曲を」なんて馬鹿げたことも言わない。なんて言えば良いかな、俺はロックバンドでギターを弾く。聴くか聴かないかお前達次第だ。言えるのはそれだけだよ。

ビートルズと比較されて判断されるのは腹が立つ?

ノエル:仕方ないだろ、俺達は世界中の誰よりもビートルズファンだからさ、今でもそうだ。そういう風に判断されるのは不公平とも思うけどな、だって俺達の音楽はビートルズライクじゃない。OASISは顔の見えない大衆から前向きな音楽を作ることを期待されてるみたいだ。もし俺達がこの世界で唯一ギターを鳴らすバンドだったら、違う種類の音楽を作らなきゃと負い目を感じるかもしれない。今HMVで手に入るプログレッシブロックやらスペース・ジャズ、デス・メタル・テクノみたいな音楽をな。でも俺達はやりたいことをやる。もし、平凡な毎日を盛り上げるロックンロールを聴きたいけれど、手首を切りたくなるような過激さは求めてないなら、もしみんなで飲みたくなるような音楽を求めてるなら、もしガールフレンドや親友を抱きしめたくなるような音楽が欲しいなら、俺達の右に出るものはない。レゲエを聴きたいなら、ボブ・マーリーがいる。プログレッシブでくそ前向きなロックが聴きたいならレディオヘッドを聴けばいい。メランコリックで内省的な気分ならコールドプレイやトラヴィスがいる。俺は仲間がぞくぞくするような音をつくるんだ、ストゥージズやピストルズ、ビートルズにストーンズ、ストーン・ローゼズが、それだ。俺達が音楽性を変えて最初に言われることは「何を血迷ったんだ?」だからな。

今回のアルバムで、あなたが歌う曲もいれようと決めたのはなぜ?

ノエル:リアムだよ。リアムが「Little By Little」を歌わなかったからだ。あいつの場合、試しに歌ってみて、100%以上満足のいく出来にできなかったら「俺は歌わねえ」だ。俺としてはリアムに歌ってほしかったんだ、5thアルバムの最初の先行シングルにしたかったからな。そしたらあいつは「お前のヴォーカル、これまでと比べても最高だぜ、なのにどうして俺に歌わせようとするんだ?」「シンガーはお前だろ」「お前以上に上手く歌えねえんだよ」。OASISの曲の中でもリアムが好きな曲なんだよ。それで歌おうとはしたが途方に暮れたらしい。ミキシングのデスクで、頭を抱えてるあいつをよく見かけたからな。あいつに歌ってほしかった歌詞だったんだけど、実際には歌うか歌わないかの決定権はリアムにある。OASISにフロントマンが2人いて良かったぜ、あいつが歌わないんなら俺が歌うまでだ(嬉しそうに)。「やったぜ!」。こういう風に考えることはみっともないかもしれないけど、あの曲を捨てるわけにはいかない。さっそくヘッドフォンをつけて「俺の出番だ!」

今でも野望はあるの?

ノエル:やりたいこと、やる予定のこと、たくさんあるよ。ギアは最速にいれてある。次のレコードもすぐに出すよ、さらにサイケデリックなやつかもしれないし、そうじゃないかもしれない。デモとして音を入れ始めてる曲は、これまでと同じ方向性の音だけど、仰々しさはない。有名なプロデューサーに参加してもらいたいとも思ってる、でも10%のギャラを払わないですむよう、ただ見てもらうだけだ。今はほとんどステージに通ってて、そこが使えない時はスタジオに戻る。お手のもんさ。かつて俺達はネブワースで演奏して、2ndアルバムは1800万枚売った、それは事実だけど、ただの戦略でもあったんだ、廃棄しなきゃならない余り物なんて無いほど売れたからな。アメリカで1位をとったのも嬉しい、でも俺が追い求めてるのはそういうことじゃない、部屋でニワトリを追い駆けまわすみたいにな(騒々しいニワトリの真似をして)。例えばジョージ・ハリソンの曲をカバーしたいんだ、「All Too Much」って曲をバンドでね。何の欲も無くただカバーしたいんだ。それとバート・バカラックの「This Guy's In Love With You」もやりたいな。

でも2ndの時はかなりまつりあげられたでしょう。

ノエル:(少し身構えて)それほどでもないよ。(前の質問に戻って)あの曲は前から好きだったんだ。これまで俺のヒーローだったミュージシャンに会ってきたけど、みんなそろってクールだった。「This Guy's In Love With You」をバート・バカラックと一緒に、バックにオーケストラをつけて歌ったが、あれほど良い経験はないな。ニール・ヤングも個人的に知り合いだ、俺のレコードを気に入ってくれてるよ。一緒にふざけあったりもしてね、彼も最高だ。ポール・ウェラーは俺の親友だろ。イアン・ブラウン、ジョニー・マー。俺の音楽人生に一人として欠かせないミュージシャンだ。

アルバムの約半数の作曲を他のメンバーに譲ってますが。

ノエル:「譲った」わけじゃない。本当だよ。今回俺が書いたのが3,4曲だっただけだ。いつもなら18曲は書くんだけどな、アルバムやB面用に。それに俺の場合、バンドに「曲作り手伝ってくれ」とは言わない。リアムもたくさんの曲を作ってスタジオに入り、セッションしてた。それで3曲アルバムに入ることになったんだ。あいつもわざわざ「俺の曲をセッションしてもいいか?」なんて聞かない。俺は「『Songbird』は際立ってる、でもお前のアレンジは間違いだ。『Born On A Different Cloud』は最高だからあのままでいい。『Better Man』は今のままでもかなり良いが、もっとよく出来るはずだ」。ゲムとアンディだって、(こわごわと)「僕の曲を1曲でいいから入れてくれない?」とは絶対に言わない。スタジオに入ったら演奏するだけだ。当然だろ。次の作品ではアルバム全部俺の曲かもしれないし、逆に1曲も入ってないかもしれない、ころころ変わるもんなんだ。

リアムや他のメンバーと一緒に曲作りをするの?

ノエル:「Better Man」ではリアムを手伝っって、「Different Cloud」ではメンバー全員で取り組んだ。でも、俺があいつの側に座って…あのさ、俺とポール・ウェラーは時々、一緒に座って話すんだ、「俺達曲作るべきだよな、良いものが出来るに決まってるからさ」ってな。でもそこに座って話し合ってるだけじゃ、マジックは決して起きないだろ。つまり曲作りっていうのは、計画立ててするものじゃないと思うんだ。ギャラガー兄弟の曲が1位になれば素晴らしいと思うよ、最高さ。音楽界にとってもな、周知の事実だ。でももう一度言うが、そういう受けを狙ってリアムと曲作りをすることはない。

他のメンバーはOASISらしい曲を作ろうと意識してるの?

ノエル:そうしてるかどうかは知らないけど、意識してることを願うよ、俺達はスペースジャズをはやらないからな。気分に合う時はサイケデリックなものも作るけど、完全にそういうカテゴリーにOASISを移すつもりはない。俺達が聴きたいと思う曲を作る。ロックンロールにエレクトリック・ギター。でも言っておくが、音楽にガイドラインはないんだ、「レゲエ音楽は持ち込むな、俺はそんなの聴かないからな」とかいうやつは一人もいない。本当だぜ。とにかく、ゲムはHeavy Stereoにいた、ロックバンドだよな。アンディの音楽の幅は誰よりも広い。Buffalo Springfieldにクラウト・ロック、いろいろだ。それは彼のソングライティングにも大きく反映されてると思う。そうなることを期待してるんだ。でも、俺を含めて他のメンバーはほとんど同じような音楽を聴いてきてるんだ。

アナイスはもう音楽に反応する?

ノエル:ダンスは好きだよ、トウィーニーズにのってね。ウェンブリー・アリーナにトウィーニーズを一緒に見に行ったら、ブギを踊ってた。あの時はかなり混乱したみたいだった、それまで俺のことをTVの中に住んでる人と思ってたらしくてさ。おかしいと思ったに違いないぜ(よちよち歩きで驚きの表情で父親を見るアナイスの真似をして)「うーん?」。2歳半だけど、見込みがあるんだ。面白い子だよ。もうハッピーな曲と悲しい曲の区別ができるんだ。きっとこれからこんな感じだな。家の中をねじがとれたおもちゃみたいに走り回る。俺がギターを弾くのをやめると、あいつも止まって、(小さな可愛い声で)「ハッピーな曲を弾いてよ」。で、俺は「Roll With It」を弾く、アナイスはそれにのってダンスだ。彼女はごく普通にティーンエイジャーが聴くような音楽を聴いて育つと思うんだ、ロビー・ウィリアムズにブリトニー・スピアーズだろ、それにエミネムとか。

家の中でロビー・ウィリアムズの曲を弾き始めたら?

ノエル:素晴らしいね。音楽は楽しむためにあるからな。俺の願うような音楽が好きになってくれたら、待ちきれずにこう言うね、「よし、ホワイト・アルバムだ。必ず聴け、それとThe Dovesのアルバムもな」。もし俺とは違うタイプの音楽が好きになっても、それはそれでいいんだ、アナイスが楽しんでくれれば、俺も嬉しいんだから。