ビートルズの影響を受けた申し分のないソングライティングで、90年代のブリットポップ全盛期の代表格となるバンドとなったOASIS。
「Supersonic」「Live Forever」「Wonderwall」という実に素晴らしいシングルでアメリカンカルチャーを撃ちぬいた彼らは現在、5thアルバムの製作に忙しい日々を送っている。
ビートルズライクなOASISの一方で、The Black Crowesの作る音楽は、Rolling StonesやFaces、70年代前半のブルースロック、彼らの出身地であるアトランタ、ジョージアの文化を反映した南部のブギを取り入れた音楽だ。最新作「Lions」では、柔軟にスタイルを変化させるセンスが感じられる。
だから、ある意味、OASISとThe Black Crowesが共にツアーをする今回の「The Brotherly Love Tour」は、The BeatlesとThe Rolling Stonesが、ポップとロックが、メロディとソウルが、ラガーとマリファナの融合が実現するということなのだ。
そしてそこには、ロックの伝統とも言える兄弟間のいさかいがある。The Black Crowesには、シンガーのクリス・ロビンソンと、その弟でギタリストのリッチ・ロビンソン。OASISにはギタリスト兼ソングライターのノエル・ギャラガーと、その弟でヴォーカルのリアム・ギャラガー。
兄弟間の関係悪化は決してバンドの存続にプラスの要素ではない。飲んだ末での取っ組み合いや、度を越えた言葉の飛び交う口論は、プレスを忙しく立ち回らせてきた。リアム・ギャラガーは、ツアーの途中でバンドを出て行って、ノエルをステージに置き去りにし、アベルの身に起こった悲劇が起こりかねない状況を作り出した。つまりプラスではなくリスクなのだ。
そして、リスクこそ、偉大なロックに欠かせないのである。
つまり、OASISとThe Black Crowesがツアーをすれば、必ずやそのギグはロックの真のスピリットがつまったものとなるだろう。The WhoにOtis Redding、Joan Baez、Ravi Shankarが一緒にツアーを行ったあの輝かしい日々のように。我々が、ツアーが台無しになるのではないか、明日の新聞の一面に崩壊の記事が掲載されるのではないかという心配をする必要は全くない。
ロックの歴史に残る、尊敬と賞賛を浴びるにふさわしいツアー。アメリカとイングランドのロックが一つになる瞬間なのだ。
雨のしたたる朝のロンドン、英米国間の関係は順調なようだった。ノエルとリアムがスカラ座に顔を出したのだ。
この古い映画館も、The Black Crowesが「Lions」リリース祝いに、ギグセットを組んだ時、ロックのステージに変貌する。たくさんのハグと握手による、ロビンソン兄弟とギャラガー兄弟の挨拶。
リアム・ギャラガーはクリス・ロビンソンの妻であるケイト・ハドソンの様子を尋ね、「あの頃ペニーレインと」での演技を褒めた。「良い映画だろ?」と、尋ねられたリアムが顔を輝かせる。「ああ、マジで最高だよ」。その答えを聞いて、クリスも微笑んだ。「名作さ」。
リアムは、イングランドの女優、パッツィ・ケンジットの元夫である。そこである疑問が湧き上がる。どうしてロックシンガーは女優と一緒になることが多いのか?
「女優はセックスが上手いからさ!」と、即答するリアムに対して、この時ばかりは、口の達者なクリス・ロビンソンが黙りこんだ。そして気まずい雰囲気がしばらく漂った後、ついに口を開く。「まあ、それも否定しないけど、逆に彼女達に聞いてみたら?俺達とのセックスに満足してるかどうかをさ」。
どうにか会話を音楽の話題へと方向転換しようと、ノエルが「あの頃ペニー・レインと」のサウンドトラックアルバムを褒め、特にサイモン&ガーファンクルが60年代後半に発表した「America」について話し始めた。
「アメリカのA Day In The Life(ビートルズの楽曲)だな」。ビートルズマニアのノエル・ギャラガーとしては、最大の賛辞だろう。
リアムとリッチはいつの間にか、会場のほかの場所へと行ってしまい、ノエルとクリスは二階のラウンジで長く語り合っていた。
マリファナが1オンスほど入った袋を取り出し、クリスが1.5インチ取り出して火をつける。ノエルはベンソン&ヘッジズの新しい箱を開ける。アメリカとイングランドの文化が取り交わされ、新しい時代が幕を開ける。
あなた方二人が最初に出会ったのはいつですか?
ノエル:ああ、それがおかしな話なんだよ。最初に会ったのはShepherds Bush EmpireでThe Black Crowesがギグをやっていた時なんだ。紹介を受けた5分後には、俺は楽屋で酔いつぶれていた。疲れていた上に酒を飲みすぎたのさ。次に会ったのは、ニューヨークで今度は俺達がギグをやっていた時だ。
クリス:2回目は二人とも頭がはっきりしてたよな!みんな、もっと他のバンドのギグに顔を出すべきだぜ。その時ばかりは、演奏する必要はない、聴くだけでいいんだから。
一緒にツアーをするというアイディアはどちらから?
クリス:OASISはアメリカでツアーをしたがっていて、俺達はアメリカで繰り返されるツアーに飽き飽きしていた。だからどっちのバンドにとってもちょうど良い機会だったのさ。ギターロックバンドで、ヴォーカルとギタリストがメインにソングライティングをしていて、しかもお互いに兄弟と来た!Spacehogも誘ってるんだ。あいつらも兄弟でバンドをやってるからな。
ノエル:俺のマネージャーだったか誰かが俺達に、「The Black Crowesとツアーをするってのはどうだ?」と言ってきたのさ。良い考えだと思ったんだ。「ったく、10年もやってきて、どうしてもっと早く思いつかなかったんだ?」。
ヘッドライナーはどっちなの?OASIS、それともThe Black Crowes?
ノエル:うーん、どっちもさ。でも俺達が先に出るだろうから、こいつらにギグをぼろくそに言われた後でしんみりとThe Black Crowesのギグを見るんだ。マネージャーと一緒に座って「ギグのトリは誰がするんだ?」。口をそろって「彼らに決まってるさ!」。
クリス:ツアーが始まって2,3日もすれば、バックステージに共同ルームが出来るだろう。アンプにドラムキット、キーボード。みんなでジャムをするのさ!
ノエル:ああ、俺達はツアー中でもレコーダーを持ち歩いてるんだ。楽屋で曲を作るのさ。なぜって他にやることが悲しいくらいにないからだ。今度のツアーで嬉しいのは、ラジオ番組に出ても、「新作について話してよ」と言われずに済むってことかな。
クリス:その気持ちわかるよ。このアイディアが出た時、「やりたくない」ってやつもいたんだけど、始めてみればすぐに面白さに気づくさ。
ノエル:「新作がない時にアメリカに来て、来年アルバムをプロモーションする時は一体どうするつもり?」ってよく言うだろ。俺の答えは「知るか」だ。その時が来ればどうにかなるだろう。俺達は全員The Black Crowesの大ファンで、ギグをするのが大好きなんだ。行かないわけにはいかない。
どちらのバンドもロックの歴史を忠実に反映しているように思います。OASISはイングランドの伝統を、The Black Crowesはアメリカの伝統を。
ノエル:バックステージで常にレコードをかけているんだ。俺達と同じくらいのレコードを聴きこんだら、出てくる音だってレコードコレクションに近いものになるさ。別に恥ずかしいことだとは思わない。
ビートルズとローリング・ストーンズ、一つを選べと言われたら?
ノエル:もちろん俺はビートルズ。ミック・ジャガーの書いた歌詞は、ようやく最近読み始めたんだ。
クリス:ビートルズはよく聴くよ、でもレコードを作る参考にするためかな。ローリング・ストーンズ、俺にとっては、バンド以上の存在なんだ。ロックンロールバンドさ。ビートルズとは違うね。
では、クラッシュか、セックス・ピストルズか。
クリス:俺はクラッシュ。
ノエル:どうだろうな、どっちにしろ、実際その時代にいなかったから難しい質問だ。でも「Never Mind The Bollocks」は一家に一枚置くべきだね。俺のお袋ですら持ってたぜ、あのアルバムが出たときは大体40歳くらいだったけど。
ジミ・ヘンドリックスかジェフ・ベックか。
ノエル:ヘンドリックス。
クリス:もちろんさ。ジェフ・ベックも良いけどね。
ノエル:良いギタープレイヤーだ。
クリス:でももっと楽しんで弾くべきだな。
ノエル:ジミについて言えば、当時のアメリカの体制に反旗をひるがえしたんだ。全ての人に訴えかける。ジェフ・ベックも素晴らしいが、それだけだ。たとえれば、ジェフ・ベックがワイト・フェスで「God Save The Queen」をギターで弾いても、何の話題にもならない。でもジミ・ヘンドリックスがウッドストックで「The Star Spangled Banner」を弾けば、違う意味が出てくるだろう。
クリス:ジミの音楽はとても深い。アフリカの深く暗い部分から出てきたものさ。全ての音楽を含んでる、素晴らしいよ、全部だぜ。俺は、音楽は人間の深層から出てくるものだと思うんだ。遺伝子に刻み込まれてるんだろう。どうして音楽に回りくどい説明が必要なんだ?
ノエル:しかも、どうして価値の無い音楽を作るやつが有名になって尊敬までされるんだ?
クリス:原点に戻ればいい。ネイティブミュージックにモロッコの音楽やそいういうもの。むかつくことがあったら、彼らは音楽を演奏したんだ。6日ぶっ続けでね。するとどういうわけか、気分はいつの間にか晴れてる。
ノエル:俺はそういう時代に戻ったことはないが、音楽は生活のあらゆるところに組み込まれているんだ。音楽のために生まれて、音楽で学び、音楽のために死ぬ。人生の一部さ。
クリス:ギターを弾かない日はあるが、音楽を聴かない日はない。子供の時も、ラジオを聞きながら寝たからな。
ノエル:俺もだよ。そしてラジオの音で目が覚めるんだ。そしてギグに行って、自分もギターを弾きたい気持ちにさせてくれるバンドがいたら、「最高のバンドだ!」と叫ぶのさ。その他のバンドは「OK。なかなか良いね。でも今俺は家に帰りたいんだ」。
クリス:最近の新人バンドって音楽を楽しもうとしないよな?しかもそいつらの作るレコードも同じく退屈だ。演奏される音楽を聴いても苦痛の声しか聴こえない。
ノエル:T-Rexのレコードを聴いてみろ。「Bang A Gong」なんてまるでパーティだ。わかるだろ。今にも彼らに触れることさえできそうな鮮やかな音。目を閉じれば、スタジオでVサインを振る彼らの姿が浮かぶ。最近では何が何でも成功しようと、プレッシャーを感じすぎなんだよ。曲を書いても、何回も書き直しだ。それでもレコード会社が「うーん、もう少し考えてみて」。ふざけるな!
クリス:つまり、俺達はみんな成功はしたいんだ。でも成功するためにクールじゃないレコードを作るのはお断りってことさ。でもレコード会社はそうするように求めてくる。本人達は認めないかもしれないが、あいつらと話すたびに、言外にそれが感じられるんだよ。
ノエル:本当だぜ。仲良くするのは無理だな。「小切手にサインしてくれ。レコードを作ってやる。でもお前と友達にはなれない」って感じだ。
「ロックは死んだ」のでしょうか?全滅?
クリス:なわけない。
ノエル:このツアーのチケットの販売が始まった時から、俺はその質問に対する答えを考えてたんだ。その2週間後、「ロックは死んで」いないことが明白になった。なぜなら、アメリカの大都市でもそうじゃない都市でも、たくさんの、本当にたくさんの人々が、2つのロックンロールバンドのギグを見るために金を払ってくれたからさ。ブリトニー・スピアーズやリンプ・ビズキットのレコードを買うやつらにとっては、そう、ロックは死んでいるかもしれない。でもそういうやつらにロックの何が分かるって言うんだ?リンプを聴くやつがエルヴィス・プレスリーを聴くと思うか?ありえないね。
バンド内に兄弟がいるというだけでなく、その兄弟と不仲だった時期があるというのも、あなた達の共通点ですね。
クリス:ここにいるのは、どっちも兄貴の方だな。なら言わせてもらおう、俺は今でも弟と仲が悪い。ノエル、お前達はどうか知らないが、俺達はそうだ。俺の弟は、自分が何をしゃべってるのか半分もわかってない。
ノエル:俺の弟もさ。賛同せざるをえないな。
クリス:リッチのことは誰より愛してるが、あいつの口から出てくるのはいつだってクソみたいなことばかりなんだ。
ノエル:でもツアー中、目を覚ますと家族の一人がそこにいるということが、何よりも心強いことは間違いないよな。そいつと上手く行ってようがなかろうがさ。少なくともバスの中に、自分のことを表も裏も知り尽くしたやつが一人はいる。ほとんどのバンドは、知り合って5,6年にしかならないメンバーが5人集まってるだけだから、重要な事柄についても、心のうちから本気で話し合うなんてことはしたがらない。でも俺とリアムにはそれができるんだ。もしそれが原因で喧嘩別れしても構わない。言うべきことは、ちゃんと言わなきゃならない。シンプルだろ。
クリス:よくわかるよ。俺とリッチがどんなに喧嘩しても、まあ、確かに最悪な結果に終わったこともあったが、それでも結局兄弟であることに変わりはないんだ。バンドは解散するかもしれない。The Black Crowesは消えるかもしれない。それでも、俺とリッチ、そして俺達の音楽はそのまま一緒にあり続ける。俺達は一緒のバンドにいることで、他のやつらがたどり着けない場所まで登りつめることが出来る。そんなことが一生のうちに実現できるなんて、最高だよ。特にその相手が、自分と血を分けた兄弟だったとしたら。
ノエル:他のバンドメンバーと知り合う前から、ずっと一緒なんだからな。兄弟でバンドをやる理由を親に納得させるのには苦労したぜ。
今度のツアーでリアムが出て行ってしまったらどうしましょう?
ノエル:それはないさ。俺にはわかる。俺達が出て行くことはない。そういうことが起こるのは、6時間プレスと付き合った後にサウンドチェックって時に、自分の弟が酔っぱらった状態で姿を現したときだけだ。そのままの状態でステージに立っても、当然だがまともに歌えるわけがない。その時俺が何を考えるかわかるか?2週間くらいビーチに行って、あいつの頭がまともに戻るのを待とうって思うのさ。でも今回のツアーでそういうことはない。これは断言しておこう。
今回は違うと?
ノエル:まぎれもない俺達の口から言い出したことだからな。「来週にはレコードがリリースされるんだから、さっさとツアーに行きなさい」「でも、俺はフットボールが見たいんだ!」なんてやり取りしながら、飛行機に詰め込まれることがない。そんなのはこのツアーが初めてだよ。今回は俺達の方から「いつ行くんだ?もう待てない」って感じさ。最後には「もう3つのギグしか残ってないんだって?」となるんだろう。
クリス:ロックンロールとは何なのか、毎晩見せてやるんだ。ベース・プレイヤーは腰のあたりでしっかりとベースを持ち、足首までだらりと下ろすことはない。それが、60、70年代に生まれた俺達のスタイルなんだ。
「Supersonic」「Live Forever」「Wonderwall」という実に素晴らしいシングルでアメリカンカルチャーを撃ちぬいた彼らは現在、5thアルバムの製作に忙しい日々を送っている。
ビートルズライクなOASISの一方で、The Black Crowesの作る音楽は、Rolling StonesやFaces、70年代前半のブルースロック、彼らの出身地であるアトランタ、ジョージアの文化を反映した南部のブギを取り入れた音楽だ。最新作「Lions」では、柔軟にスタイルを変化させるセンスが感じられる。
だから、ある意味、OASISとThe Black Crowesが共にツアーをする今回の「The Brotherly Love Tour」は、The BeatlesとThe Rolling Stonesが、ポップとロックが、メロディとソウルが、ラガーとマリファナの融合が実現するということなのだ。
そしてそこには、ロックの伝統とも言える兄弟間のいさかいがある。The Black Crowesには、シンガーのクリス・ロビンソンと、その弟でギタリストのリッチ・ロビンソン。OASISにはギタリスト兼ソングライターのノエル・ギャラガーと、その弟でヴォーカルのリアム・ギャラガー。
兄弟間の関係悪化は決してバンドの存続にプラスの要素ではない。飲んだ末での取っ組み合いや、度を越えた言葉の飛び交う口論は、プレスを忙しく立ち回らせてきた。リアム・ギャラガーは、ツアーの途中でバンドを出て行って、ノエルをステージに置き去りにし、アベルの身に起こった悲劇が起こりかねない状況を作り出した。つまりプラスではなくリスクなのだ。
そして、リスクこそ、偉大なロックに欠かせないのである。
つまり、OASISとThe Black Crowesがツアーをすれば、必ずやそのギグはロックの真のスピリットがつまったものとなるだろう。The WhoにOtis Redding、Joan Baez、Ravi Shankarが一緒にツアーを行ったあの輝かしい日々のように。我々が、ツアーが台無しになるのではないか、明日の新聞の一面に崩壊の記事が掲載されるのではないかという心配をする必要は全くない。
ロックの歴史に残る、尊敬と賞賛を浴びるにふさわしいツアー。アメリカとイングランドのロックが一つになる瞬間なのだ。
雨のしたたる朝のロンドン、英米国間の関係は順調なようだった。ノエルとリアムがスカラ座に顔を出したのだ。
この古い映画館も、The Black Crowesが「Lions」リリース祝いに、ギグセットを組んだ時、ロックのステージに変貌する。たくさんのハグと握手による、ロビンソン兄弟とギャラガー兄弟の挨拶。
リアム・ギャラガーはクリス・ロビンソンの妻であるケイト・ハドソンの様子を尋ね、「あの頃ペニーレインと」での演技を褒めた。「良い映画だろ?」と、尋ねられたリアムが顔を輝かせる。「ああ、マジで最高だよ」。その答えを聞いて、クリスも微笑んだ。「名作さ」。
リアムは、イングランドの女優、パッツィ・ケンジットの元夫である。そこである疑問が湧き上がる。どうしてロックシンガーは女優と一緒になることが多いのか?
「女優はセックスが上手いからさ!」と、即答するリアムに対して、この時ばかりは、口の達者なクリス・ロビンソンが黙りこんだ。そして気まずい雰囲気がしばらく漂った後、ついに口を開く。「まあ、それも否定しないけど、逆に彼女達に聞いてみたら?俺達とのセックスに満足してるかどうかをさ」。
どうにか会話を音楽の話題へと方向転換しようと、ノエルが「あの頃ペニー・レインと」のサウンドトラックアルバムを褒め、特にサイモン&ガーファンクルが60年代後半に発表した「America」について話し始めた。
「アメリカのA Day In The Life(ビートルズの楽曲)だな」。ビートルズマニアのノエル・ギャラガーとしては、最大の賛辞だろう。
リアムとリッチはいつの間にか、会場のほかの場所へと行ってしまい、ノエルとクリスは二階のラウンジで長く語り合っていた。
マリファナが1オンスほど入った袋を取り出し、クリスが1.5インチ取り出して火をつける。ノエルはベンソン&ヘッジズの新しい箱を開ける。アメリカとイングランドの文化が取り交わされ、新しい時代が幕を開ける。
あなた方二人が最初に出会ったのはいつですか?
ノエル:ああ、それがおかしな話なんだよ。最初に会ったのはShepherds Bush EmpireでThe Black Crowesがギグをやっていた時なんだ。紹介を受けた5分後には、俺は楽屋で酔いつぶれていた。疲れていた上に酒を飲みすぎたのさ。次に会ったのは、ニューヨークで今度は俺達がギグをやっていた時だ。
クリス:2回目は二人とも頭がはっきりしてたよな!みんな、もっと他のバンドのギグに顔を出すべきだぜ。その時ばかりは、演奏する必要はない、聴くだけでいいんだから。
一緒にツアーをするというアイディアはどちらから?
クリス:OASISはアメリカでツアーをしたがっていて、俺達はアメリカで繰り返されるツアーに飽き飽きしていた。だからどっちのバンドにとってもちょうど良い機会だったのさ。ギターロックバンドで、ヴォーカルとギタリストがメインにソングライティングをしていて、しかもお互いに兄弟と来た!Spacehogも誘ってるんだ。あいつらも兄弟でバンドをやってるからな。
ノエル:俺のマネージャーだったか誰かが俺達に、「The Black Crowesとツアーをするってのはどうだ?」と言ってきたのさ。良い考えだと思ったんだ。「ったく、10年もやってきて、どうしてもっと早く思いつかなかったんだ?」。
ヘッドライナーはどっちなの?OASIS、それともThe Black Crowes?
ノエル:うーん、どっちもさ。でも俺達が先に出るだろうから、こいつらにギグをぼろくそに言われた後でしんみりとThe Black Crowesのギグを見るんだ。マネージャーと一緒に座って「ギグのトリは誰がするんだ?」。口をそろって「彼らに決まってるさ!」。
クリス:ツアーが始まって2,3日もすれば、バックステージに共同ルームが出来るだろう。アンプにドラムキット、キーボード。みんなでジャムをするのさ!
ノエル:ああ、俺達はツアー中でもレコーダーを持ち歩いてるんだ。楽屋で曲を作るのさ。なぜって他にやることが悲しいくらいにないからだ。今度のツアーで嬉しいのは、ラジオ番組に出ても、「新作について話してよ」と言われずに済むってことかな。
クリス:その気持ちわかるよ。このアイディアが出た時、「やりたくない」ってやつもいたんだけど、始めてみればすぐに面白さに気づくさ。
ノエル:「新作がない時にアメリカに来て、来年アルバムをプロモーションする時は一体どうするつもり?」ってよく言うだろ。俺の答えは「知るか」だ。その時が来ればどうにかなるだろう。俺達は全員The Black Crowesの大ファンで、ギグをするのが大好きなんだ。行かないわけにはいかない。
どちらのバンドもロックの歴史を忠実に反映しているように思います。OASISはイングランドの伝統を、The Black Crowesはアメリカの伝統を。
ノエル:バックステージで常にレコードをかけているんだ。俺達と同じくらいのレコードを聴きこんだら、出てくる音だってレコードコレクションに近いものになるさ。別に恥ずかしいことだとは思わない。
ビートルズとローリング・ストーンズ、一つを選べと言われたら?
ノエル:もちろん俺はビートルズ。ミック・ジャガーの書いた歌詞は、ようやく最近読み始めたんだ。
クリス:ビートルズはよく聴くよ、でもレコードを作る参考にするためかな。ローリング・ストーンズ、俺にとっては、バンド以上の存在なんだ。ロックンロールバンドさ。ビートルズとは違うね。
では、クラッシュか、セックス・ピストルズか。
クリス:俺はクラッシュ。
ノエル:どうだろうな、どっちにしろ、実際その時代にいなかったから難しい質問だ。でも「Never Mind The Bollocks」は一家に一枚置くべきだね。俺のお袋ですら持ってたぜ、あのアルバムが出たときは大体40歳くらいだったけど。
ジミ・ヘンドリックスかジェフ・ベックか。
ノエル:ヘンドリックス。
クリス:もちろんさ。ジェフ・ベックも良いけどね。
ノエル:良いギタープレイヤーだ。
クリス:でももっと楽しんで弾くべきだな。
ノエル:ジミについて言えば、当時のアメリカの体制に反旗をひるがえしたんだ。全ての人に訴えかける。ジェフ・ベックも素晴らしいが、それだけだ。たとえれば、ジェフ・ベックがワイト・フェスで「God Save The Queen」をギターで弾いても、何の話題にもならない。でもジミ・ヘンドリックスがウッドストックで「The Star Spangled Banner」を弾けば、違う意味が出てくるだろう。
クリス:ジミの音楽はとても深い。アフリカの深く暗い部分から出てきたものさ。全ての音楽を含んでる、素晴らしいよ、全部だぜ。俺は、音楽は人間の深層から出てくるものだと思うんだ。遺伝子に刻み込まれてるんだろう。どうして音楽に回りくどい説明が必要なんだ?
ノエル:しかも、どうして価値の無い音楽を作るやつが有名になって尊敬までされるんだ?
クリス:原点に戻ればいい。ネイティブミュージックにモロッコの音楽やそいういうもの。むかつくことがあったら、彼らは音楽を演奏したんだ。6日ぶっ続けでね。するとどういうわけか、気分はいつの間にか晴れてる。
ノエル:俺はそういう時代に戻ったことはないが、音楽は生活のあらゆるところに組み込まれているんだ。音楽のために生まれて、音楽で学び、音楽のために死ぬ。人生の一部さ。
クリス:ギターを弾かない日はあるが、音楽を聴かない日はない。子供の時も、ラジオを聞きながら寝たからな。
ノエル:俺もだよ。そしてラジオの音で目が覚めるんだ。そしてギグに行って、自分もギターを弾きたい気持ちにさせてくれるバンドがいたら、「最高のバンドだ!」と叫ぶのさ。その他のバンドは「OK。なかなか良いね。でも今俺は家に帰りたいんだ」。
クリス:最近の新人バンドって音楽を楽しもうとしないよな?しかもそいつらの作るレコードも同じく退屈だ。演奏される音楽を聴いても苦痛の声しか聴こえない。
ノエル:T-Rexのレコードを聴いてみろ。「Bang A Gong」なんてまるでパーティだ。わかるだろ。今にも彼らに触れることさえできそうな鮮やかな音。目を閉じれば、スタジオでVサインを振る彼らの姿が浮かぶ。最近では何が何でも成功しようと、プレッシャーを感じすぎなんだよ。曲を書いても、何回も書き直しだ。それでもレコード会社が「うーん、もう少し考えてみて」。ふざけるな!
クリス:つまり、俺達はみんな成功はしたいんだ。でも成功するためにクールじゃないレコードを作るのはお断りってことさ。でもレコード会社はそうするように求めてくる。本人達は認めないかもしれないが、あいつらと話すたびに、言外にそれが感じられるんだよ。
ノエル:本当だぜ。仲良くするのは無理だな。「小切手にサインしてくれ。レコードを作ってやる。でもお前と友達にはなれない」って感じだ。
「ロックは死んだ」のでしょうか?全滅?
クリス:なわけない。
ノエル:このツアーのチケットの販売が始まった時から、俺はその質問に対する答えを考えてたんだ。その2週間後、「ロックは死んで」いないことが明白になった。なぜなら、アメリカの大都市でもそうじゃない都市でも、たくさんの、本当にたくさんの人々が、2つのロックンロールバンドのギグを見るために金を払ってくれたからさ。ブリトニー・スピアーズやリンプ・ビズキットのレコードを買うやつらにとっては、そう、ロックは死んでいるかもしれない。でもそういうやつらにロックの何が分かるって言うんだ?リンプを聴くやつがエルヴィス・プレスリーを聴くと思うか?ありえないね。
バンド内に兄弟がいるというだけでなく、その兄弟と不仲だった時期があるというのも、あなた達の共通点ですね。
クリス:ここにいるのは、どっちも兄貴の方だな。なら言わせてもらおう、俺は今でも弟と仲が悪い。ノエル、お前達はどうか知らないが、俺達はそうだ。俺の弟は、自分が何をしゃべってるのか半分もわかってない。
ノエル:俺の弟もさ。賛同せざるをえないな。
クリス:リッチのことは誰より愛してるが、あいつの口から出てくるのはいつだってクソみたいなことばかりなんだ。
ノエル:でもツアー中、目を覚ますと家族の一人がそこにいるということが、何よりも心強いことは間違いないよな。そいつと上手く行ってようがなかろうがさ。少なくともバスの中に、自分のことを表も裏も知り尽くしたやつが一人はいる。ほとんどのバンドは、知り合って5,6年にしかならないメンバーが5人集まってるだけだから、重要な事柄についても、心のうちから本気で話し合うなんてことはしたがらない。でも俺とリアムにはそれができるんだ。もしそれが原因で喧嘩別れしても構わない。言うべきことは、ちゃんと言わなきゃならない。シンプルだろ。
クリス:よくわかるよ。俺とリッチがどんなに喧嘩しても、まあ、確かに最悪な結果に終わったこともあったが、それでも結局兄弟であることに変わりはないんだ。バンドは解散するかもしれない。The Black Crowesは消えるかもしれない。それでも、俺とリッチ、そして俺達の音楽はそのまま一緒にあり続ける。俺達は一緒のバンドにいることで、他のやつらがたどり着けない場所まで登りつめることが出来る。そんなことが一生のうちに実現できるなんて、最高だよ。特にその相手が、自分と血を分けた兄弟だったとしたら。
ノエル:他のバンドメンバーと知り合う前から、ずっと一緒なんだからな。兄弟でバンドをやる理由を親に納得させるのには苦労したぜ。
今度のツアーでリアムが出て行ってしまったらどうしましょう?
ノエル:それはないさ。俺にはわかる。俺達が出て行くことはない。そういうことが起こるのは、6時間プレスと付き合った後にサウンドチェックって時に、自分の弟が酔っぱらった状態で姿を現したときだけだ。そのままの状態でステージに立っても、当然だがまともに歌えるわけがない。その時俺が何を考えるかわかるか?2週間くらいビーチに行って、あいつの頭がまともに戻るのを待とうって思うのさ。でも今回のツアーでそういうことはない。これは断言しておこう。
今回は違うと?
ノエル:まぎれもない俺達の口から言い出したことだからな。「来週にはレコードがリリースされるんだから、さっさとツアーに行きなさい」「でも、俺はフットボールが見たいんだ!」なんてやり取りしながら、飛行機に詰め込まれることがない。そんなのはこのツアーが初めてだよ。今回は俺達の方から「いつ行くんだ?もう待てない」って感じさ。最後には「もう3つのギグしか残ってないんだって?」となるんだろう。
クリス:ロックンロールとは何なのか、毎晩見せてやるんだ。ベース・プレイヤーは腰のあたりでしっかりとベースを持ち、足首までだらりと下ろすことはない。それが、60、70年代に生まれた俺達のスタイルなんだ。
