OASISの権限を完全に自分のものにしたわけですが、他のメンバーは「降伏」したのでしょうか?
ノエル:他のメンバーの名誉のために言っておくが、あいつらは降参したわけじゃない。でも一度「Live Forever」みたいな曲を聴いたらな….ある夜に「Live Forever」をアコースティックで聴かせた時のことを覚えてるよ。「Maybe I Don’t Really Wanna Know….」ってね。ソングライターとして最高の瞬間だったな。みんな完全に黙り込んだんだ。もし俺がああいう曲を書けなかったとしたら、さっさと追い出されていたはずだ。
リアムとよく喧嘩をするようですが、どうして彼を追い出さなかったの?
ノエル:リアムは本当に才能のあるフロントマンなんだ、どんな曲でもあいつは歌うだけで自分だけの曲にしてしまう。フロントマンの座はあいつのものだよ、 俺には近づくことさえ出来ない。今の俺達の関係は、こんな感じさ、「この曲はお前が歌うとパンクロックになりすぎる」という曲を俺が歌う。リアムは激しい 曲が得意なんだ。俺に引け目を感じるのは、自分で歌詞が書けないからなんだ。書くことを考えるのさえ嫌らしい。
彼の自信を揺らがせるのは、たぶんあなたの存在なのでは?
ノエル:たぶんな。半分は俺に落ち度がある。俺が「次のアルバムのために3曲書いてくれ」と言うことはないけど、、ボーンヘッドかリアムが「While My Guitar Gently Weeps」並みの曲をプレゼントしてくれたら大喜びさ。そういうことが自然発生的に起こるまでは、俺はOASISの曲を書くのに忙しくて、他のメンバー の才能を引き出す暇なんてない。
あなたが初めてOASISとして演奏したのは、マンチェスターのボードウォークで、1991年10月19日のことでした。あなたは24歳で、公で演奏するのもこれが初めてだった。そこの人たちにとってあなた達は、とんでもない勘違い野郎だったんでしょうね。
ノエル:聞いてくれ、あのギグ、40人くらいのオーディエンスで「Rock’n Roll Star」をやったんだ。「今夜俺はロックンロールスター」。 みんな「その通り、火曜のボードウォークで歌う最低賃金のロックンロールスターだ」とくすくす笑ってた。思い上がったバカ野郎ってのが、あいつらが俺達に 下した評価だったんだ。壊れたリフトのようにすぐに歓声は静まっちまった。(笑って)俺達はそれを、音楽にうっとりして静かになったと思ってたけどな。で もそのギグの後からこれまで、一体何が起きたのか今でもわからないよ。俺達はずっと世界一のバンドだと信じてた。「Happy MondaysもStone Rosesも俺達のような音は出せない」と信じてたのさ。
今後悔することは?
ノエル:言わなきゃよかったと思うことはあるよ。俺に一生ついて回るだろう。
デーモンとアレックスに向かって「エイズにかかって死ねばいい」と言ったこととか?
ノエル:言った途端にこうなったよ(頭を抱える)。即座にインタビュアーに謝ったんだ。数週間後、その記事を見て、メグに「しくじったかもしれない」と 言ったら、彼女もその記事を読んで「バカ!」。おふくろからは電話がかかってきて「こんなことを言う子に育てた覚えはないわ!」と言われて、俺の中で全て が壊れた気分になった。もしリアムが側にいなかったら何をしでかしたかわからない。(肩に腕を回す仕草をして、静かに囁く)「大丈夫だよ、ちょっとバカな ことを言っただけだろ」。俺の弟だぜ、俺が面倒を見てた弟が、肩に手を回して「どうにかなるさ」。でもみんなは俺を永遠に許さないだろう。
成功をおさめたことで、バンド内の力関係は変わった?
ノエル:難しい質問だな。レコード売り上げの収入を5人で分けようと、俺がソングライターだから、その分多くもらうだけの話だ。
妬まれたことは?これが喧嘩の種になったり。
ノエル:そんなことはない。俺がうらやましいかどうか、直接聞いてみろよ。少なくとも俺には何も言ってこないぜ。というか、俺が書いた曲から生まれた金の分け前をもらおうということ自体、本当なら信じがたいことだけどな。
でもそれが普通ですよ。ドラムやベースもその曲を素晴らしいものにするためには必要なんですから。
ノエル:賛成しかねるね。
なぜ?あなたのバンドのベースやドラムが上手くないと?
ノエル:いや、そういうことじゃないさ。ただ、ベースラインで俺達の曲の良し悪しが決まるわけじゃないだろう。俺は作曲が出来たがために、このせわしい生 活に入って、マンチェスターにいたたくさんの友人を失ったんだ。俺が曲を書く時はこうさ。48時間同じ椅子に座りっきりで、煙草に酒をやりながら、同じ コードラインを何度も繰り返す。俺がそうやってる間も、他のメンバーは居心地の良いベッドですやすやとお休み中だ。楽な生活だよな。そしてアルバムを作る 頃になると、朝起きだして「曲はできてる?」。その曲を生み出すのは俺だ。それが仕事だと言われればそれまでだが、俺に借りがあるのは確かだろう。俺は一 日24時間バンドの仕事をしてるんだ。ただ言えるのは、もし駄曲を買いてファンに見捨てられ、こんな生活が終わっても、俺はボーンヘッドの娘の名付け親だ し、リアム・ギャラガーの兄だし、ポール・マッギガン、アラン・ホワイトの親友だ。俺達は家族なんだ。何が起ころうと、それだけは変わらない。
リアムはあなたのソングライティングを高く評価してますね。「ジョン・レノンの次に偉い」と言っています。あなた自身の評価は?
ノエル:もし今、ジョン・レノン、ジミ・ヘンドリックス、レイ・デイヴィス、スティーヴ・マリオット、誰のでもいい、最初の2枚のアルバムを、俺達の 1st、2ndと比べるとしたら、俺は確かにジョン・レノンの次にすごいものを作ってると思う。The Beatlesと同じさ。でも8thアルバムの頃には、完敗だな、たぶん。
自分のソングライティング能力に自信が持てないようですね。インタビューではよく、曲は降りてくるものだから、不安定だと話していますが。
ノエル:音楽を作るのは簡単さ。まずギターで目がくらむような最高のリフを見つけるだろう、そしてイントロとコーラスとつなぎのリフを準備する。タイトル もすぐ出来るぜ。「New Suede Shoes, Nothing to do with Elvis」(「New Suede Shoes,エルヴィスとは関係ないぞ」という意味、エルヴィスの持ち歌「Blue Suede Shoes」にあかている)とか。メロディはその次に出てくるんだ。でも最後の段階で迷宮入りだ。座り込んで(落胆した様子で、「エア」ギターの上に身を かがめる)、「くそ、歌詞はどうすればいいんだ?」。言いたいことは全て「Rock’n Roll Star」で言い尽くしてしまったからな。
では「(What’s The Story)Morning Glory?」で、歌詞が適当だと書いたレビューを否定しないと?
ノエル:良いものを書こうと努力はしてるんだ。もっと時間があれば。
「Cast No Shadow」は自分の作曲能力への不満が語られてるようにも聞こえるのですが…
ノエル:「口から出した言葉の重さに縛られ」。俺のことだ。俺はモリッシーじゃない。ボブ・ディランでもない。ブレット・アンダーソンでもない。みんな俺よりは良い歌詞を書くだろう。
ではOASISは歌詞ではなく、サウンドと衝動に重きを置くバンドなのですね?
ノエル:バンドとオーディエンスの間に生まれる絆、気持ちが大切だと思うね。
「Cast No Shadow」は、できることなら歌詞から気持ちを読み取られたくないという心情の表れなんですね。自分の思ってることが全て晒されると、辛いでしょうね?
ノエル:完全にその通りさ。本当の気持ちなんて露にしたくないに決まってる。俺にとって歌詞は、自分でも計り知れない未知の分野で、何を表現しているのかなんて俺にもわからないんだ。
「Hey Now」では「自分に問いかけてみた、なぜ俺は他人を受け入れることができないんだ?」とありますが。
ノエル:この歌詞の本当の意味を説明できるのは、広いこの世界でも隣の部屋にいる彼女だけさ。俺は元来楽観的なんだ。ここまで惨めな考え方はしない。でも俺も、他人を自分の世界に入れることは絶対にしないね。
歌詞以外に、壁にぶつかったことは?
ノエル:「New Suede Shoes」以外でってことか?デビューしてからずっと壁にぶつかり通しさ。この6ヶ月はだいぶ良い感じだけどね。まだ1曲しか出来てない状況も、初めてだよ。
1曲しか出来てないという状態は、恐ろしくはない?
ノエル:怖い。でも曲なんてそのうち出てくるさ。
The Beatlesへの執着が強すぎるとは思わない?
ノエル:執着なんてとっくに超えてるよ。生きるうえでの理想だな。自分でも、この気持ちをどう上手く説明すれば良いのかわからない。書いた曲は全部、 The Beatlesの曲と比べるんだ。似た曲はいくつも書いたよ。「Live Forever」だろ、「Don’t Look Back In Anger」に「Whatever」。言えることは、彼らは俺よりも先に音楽を作ってたってことさ。もし俺がジョン・レノンと同じくらいに生まれてたら、 ライバルになってたに違いないね。そうだな、Gerry And Pacemakersよりよっぽどましだっただろう。ポール・マッカートニーと話をしたら、俺が書いた曲の半分以上は気に入ってるそうだ。「Come Together」で一緒になった時に、セント・ジョーンズ・ウッドにある彼の家に招かれたんだ。「Slide Away」と「Whatever」「Live Forever」が好きだと言ってくれた。もしその帰りにタクシーに轢かれたとしても、俺は誰より幸せな男として死んでっただろう。 「Definitely Maybe」をレコーディング中に、共同プロデューサーのマーク・コイルに嬉しいことを言われたよ。もちろんベロンベロンに酔っぱらってる時だ。俺を指差 して「お前はこの国に住む20歳以下の人間に、音楽とはどういうものか教えてやる義務がある」だとさ。
ギグの半ばにアコースティックセットを組もうと考えたのはいつから?
ノエル:どうせ巷では、権力を握ったことをいいことに、今度はギグで目立とうとしてるとか言われてるんだろ?そうだな、一番最初にやったのは日本でだっ た。1時間半ギグをすることで契約してたんだが、40から50分で終わってしまってね。唯一の策が、俺がアコースティックをやることだったんだ。認めよ う、とても良い気分だったぜ。「よし来た、これからもギグに組み入れよう」と思ったね。でもこれに関しては、バンド内でも色々言われるんだ。
メンバーからも「しゃしゃり出てる」と?
ノエル:たぶん思われてるだろうな。俺の考えはこうだ。バンドのファンには、この曲が生まれた過程を知るチャンスを与えてあげるべきだと思うんだよ。全て の曲は、一人の男が、椅子に腰掛けて、アコースティック・ギターを爪弾きながら、ウォークマンに声入れして作られたんだ。今更、ギグから外す気はないね。
ソロになる予定は?
ノエル:いや、そう思ったことはないしこれからもない。OASISは俺が入った最初のバンドだし、ここからロックンロールが始まったんだ。これが俺が参加する最後のバンドとなるだろう。心の底からそう思うよ。
あなたとリアムはお互いを褒めるような発言をすることがありますよね。最近のインタビューでは、リアムが「ノエルに会いたいと思わなかった日は一日たりともない」と言っていましたが。
ノエル:あいつの言いたいことはよくわかるよ。俺だってマンチェスターに残りたかったのは、リアムから目を離したくなかったからだ。 あいつ、ビッグマウスだろ、フロントマンだしな、「Elasticaのジャスティンとヤりてえ」だの、いつもそんな調子だ。だからいつもあいつの側にいて こうやってやりたいんだ(リアムにヘッドロックをかけて、殴る仕草をする)「黙れ、いいから黙れ」ってな。この瞬間もリアムの顔を見たいし、あいつも俺に 会いたがってるはずだ。リアムはいまやマンチェスターで一番の有名人だろう。貧乏で意気地の無いやつは、リアム・ギャラガーになりきって外を歩いてみると いい、すぐにぼこぼこにされて脅しをかけられることになるから。
それならどうしてマンチェスターを離れたの?
ノエル:ある程度の金が貯まった時点で、すぐに出たんだ。マンチェスターでは15の時からパブに入り浸ってて疲れきってたのさ、何も買わなきゃ「けちな野郎だ!」と言われて、酒を買うと「大人ぶりやがって!」。コカイン中毒どもに背中からスクリュードライバーを突きつけられて「次のツアーの宣伝を担当して やるよ」とか「セキュリティになってやる」と言われるのに、うんざりしてたからさ。そういう手段で稼ごうとするワーキングクラスどもは大嫌いだ。ワーキン グクラスに格付けされてることで人間が変わるのも仕方のないことかもしれないけどな。俺達は生まれてから死ぬまでワーキングクラスだ。社会主義者として育 てられたら社会主義者として死ぬのと同じさ。
お金をばらまくのは楽しい?
ノエル:ああ、そりゃな。失業手当暮らしだと絶対に出来ないことだろ。何と言っても浪費の元は、ギターだね。
OASISはバケツ一杯のコカインを常用していると聞きますが。それが浪費の元なのでは?
ノエル:俺達が40分毎にコカインを吸ってるなんて言ったくず野郎は全員、訴えてやる。人権侵害だな。なぜならOASISのメンバーでも、ギグジーにボー ンヘッド、アラン・ホワイトはドラッグをやらないからだ。やるのは俺とリアムさ。俺達2人は目の前にあるものなら何だって吸うんだ、なぜなら…….そうい う人間だからさ。でもラリッた状態でギグをやったことは一度もないぞ。ヘロインとかコカインとか、俺達はたくさんのドラッグをやってきたけど、手をつけな ければよかったと今では思ってるよ。煙草も酒もコカインやエクスタシーもそうだ。今みたいに金が十分にあるなら、手を伸ばさなかったと思うんだ。俺達につ いて一つ言えるのは、いつでも正直なことだろう。もしドラッグをやってるかと聞かれたら、「Yes」と答えるよ。正直な母親に育てられたからね。俺はコカ インをやってる。大量にな。公の事実だし、バンドに入る前からやってた。そして今は危険な悪循環に陥ってるわけだ、中毒者への道さ。
もう中毒になっていると?
ノエル:いや、俺はなってないよ。1週間前にヨーロッパ入りしたんだけど、その期間一度も酒もコカインもやってないんだ。ああいうのは精神安定剤みたいな ものさ。もし若くて失業手当をもらってて金に余裕がないとしたら、残されたものはドラッグくらいだろう。週末たった5ポンドで、自分の置かれた状況から逃 避できるんだ。みんなやってるよ。
あなたのお母様は、そのことをどう思ってるの?
ノエル:(うなりながら)ぜひともわかってほしいんだが、おふくろは俺達をドラッグから遠ざけようと必死なんだ。もう10年になる、今に始まったことじゃ ない。俺達を育て上げてみるとこの状態だから、もうお手上げさ、「これが左、これが右、これが黒で、これが白。これは間違い、これは正しい。全部教えてき たわ。もし私の言うことを受け入れられないなら、さっさと出て行って」。プレスで俺達のドラッグ関連の記事を読むたびにうんざりしてるんだよ。頭を抱える んだ、なぜならその度に、この事態を俺のばあちゃんに説明しなければならないからさ。でも実際はばあちゃんの方が冷めてるんだな。どういうことなのかよく わかってる。俺達は悪じゃないんだ。ただ時々息抜きが必要なだけさ。
自分の未来に関して不安なことはあるの?
ノエル:エールズコートでの2回のギグ、2枚のプラチナアルバム、次はどこに向かえばいいんだ?だから今年に入った時に少しアクセルを緩めたんだ。次は何をすればいいんだ?これは、俺達自身が作ってしまった悪夢だな。
あなたの夢は何ですか?
ノエル:アメリカにたいして特別な感情はない。ただあそこでもイングランドと同じような波を起こせればな……一番の夢は、U2になることさ(両手をたたく)、流行の洋服と髪型をしたブリットポップの寵児で終わりはしない。それが俺の夢だ。
--------------------------------------------------------------------------
ノエルの口からその言葉を聞いた時、思わず胸が躍りだした。イギリスのバンドが再び世界一となる。まるであの60年代のように。実際に、まるで…。
「まだ終わらないの?」というメグ・マシューズの声で、私の妄想は中断された。時計は午前0時を指し、彼女の忍耐も限界に近づいたようだ。そろそろ切り上げる時間だろう。
ノエルがここに引っ越してきたのは正解だったかもしれない。彼の家から送り出されても、外の階段に待ち受けるプレスの姿はない。「Roll With It」を合唱するファン達の姿もない。もちろん玄関に待ち受けるマーク・チャップマンの姿もないのだった。
ノエル:他のメンバーの名誉のために言っておくが、あいつらは降参したわけじゃない。でも一度「Live Forever」みたいな曲を聴いたらな….ある夜に「Live Forever」をアコースティックで聴かせた時のことを覚えてるよ。「Maybe I Don’t Really Wanna Know….」ってね。ソングライターとして最高の瞬間だったな。みんな完全に黙り込んだんだ。もし俺がああいう曲を書けなかったとしたら、さっさと追い出されていたはずだ。
リアムとよく喧嘩をするようですが、どうして彼を追い出さなかったの?
ノエル:リアムは本当に才能のあるフロントマンなんだ、どんな曲でもあいつは歌うだけで自分だけの曲にしてしまう。フロントマンの座はあいつのものだよ、 俺には近づくことさえ出来ない。今の俺達の関係は、こんな感じさ、「この曲はお前が歌うとパンクロックになりすぎる」という曲を俺が歌う。リアムは激しい 曲が得意なんだ。俺に引け目を感じるのは、自分で歌詞が書けないからなんだ。書くことを考えるのさえ嫌らしい。
彼の自信を揺らがせるのは、たぶんあなたの存在なのでは?
ノエル:たぶんな。半分は俺に落ち度がある。俺が「次のアルバムのために3曲書いてくれ」と言うことはないけど、、ボーンヘッドかリアムが「While My Guitar Gently Weeps」並みの曲をプレゼントしてくれたら大喜びさ。そういうことが自然発生的に起こるまでは、俺はOASISの曲を書くのに忙しくて、他のメンバー の才能を引き出す暇なんてない。
あなたが初めてOASISとして演奏したのは、マンチェスターのボードウォークで、1991年10月19日のことでした。あなたは24歳で、公で演奏するのもこれが初めてだった。そこの人たちにとってあなた達は、とんでもない勘違い野郎だったんでしょうね。
ノエル:聞いてくれ、あのギグ、40人くらいのオーディエンスで「Rock’n Roll Star」をやったんだ。「今夜俺はロックンロールスター」。 みんな「その通り、火曜のボードウォークで歌う最低賃金のロックンロールスターだ」とくすくす笑ってた。思い上がったバカ野郎ってのが、あいつらが俺達に 下した評価だったんだ。壊れたリフトのようにすぐに歓声は静まっちまった。(笑って)俺達はそれを、音楽にうっとりして静かになったと思ってたけどな。で もそのギグの後からこれまで、一体何が起きたのか今でもわからないよ。俺達はずっと世界一のバンドだと信じてた。「Happy MondaysもStone Rosesも俺達のような音は出せない」と信じてたのさ。
今後悔することは?
ノエル:言わなきゃよかったと思うことはあるよ。俺に一生ついて回るだろう。
デーモンとアレックスに向かって「エイズにかかって死ねばいい」と言ったこととか?
ノエル:言った途端にこうなったよ(頭を抱える)。即座にインタビュアーに謝ったんだ。数週間後、その記事を見て、メグに「しくじったかもしれない」と 言ったら、彼女もその記事を読んで「バカ!」。おふくろからは電話がかかってきて「こんなことを言う子に育てた覚えはないわ!」と言われて、俺の中で全て が壊れた気分になった。もしリアムが側にいなかったら何をしでかしたかわからない。(肩に腕を回す仕草をして、静かに囁く)「大丈夫だよ、ちょっとバカな ことを言っただけだろ」。俺の弟だぜ、俺が面倒を見てた弟が、肩に手を回して「どうにかなるさ」。でもみんなは俺を永遠に許さないだろう。
成功をおさめたことで、バンド内の力関係は変わった?
ノエル:難しい質問だな。レコード売り上げの収入を5人で分けようと、俺がソングライターだから、その分多くもらうだけの話だ。
妬まれたことは?これが喧嘩の種になったり。
ノエル:そんなことはない。俺がうらやましいかどうか、直接聞いてみろよ。少なくとも俺には何も言ってこないぜ。というか、俺が書いた曲から生まれた金の分け前をもらおうということ自体、本当なら信じがたいことだけどな。
でもそれが普通ですよ。ドラムやベースもその曲を素晴らしいものにするためには必要なんですから。
ノエル:賛成しかねるね。
なぜ?あなたのバンドのベースやドラムが上手くないと?
ノエル:いや、そういうことじゃないさ。ただ、ベースラインで俺達の曲の良し悪しが決まるわけじゃないだろう。俺は作曲が出来たがために、このせわしい生 活に入って、マンチェスターにいたたくさんの友人を失ったんだ。俺が曲を書く時はこうさ。48時間同じ椅子に座りっきりで、煙草に酒をやりながら、同じ コードラインを何度も繰り返す。俺がそうやってる間も、他のメンバーは居心地の良いベッドですやすやとお休み中だ。楽な生活だよな。そしてアルバムを作る 頃になると、朝起きだして「曲はできてる?」。その曲を生み出すのは俺だ。それが仕事だと言われればそれまでだが、俺に借りがあるのは確かだろう。俺は一 日24時間バンドの仕事をしてるんだ。ただ言えるのは、もし駄曲を買いてファンに見捨てられ、こんな生活が終わっても、俺はボーンヘッドの娘の名付け親だ し、リアム・ギャラガーの兄だし、ポール・マッギガン、アラン・ホワイトの親友だ。俺達は家族なんだ。何が起ころうと、それだけは変わらない。
リアムはあなたのソングライティングを高く評価してますね。「ジョン・レノンの次に偉い」と言っています。あなた自身の評価は?
ノエル:もし今、ジョン・レノン、ジミ・ヘンドリックス、レイ・デイヴィス、スティーヴ・マリオット、誰のでもいい、最初の2枚のアルバムを、俺達の 1st、2ndと比べるとしたら、俺は確かにジョン・レノンの次にすごいものを作ってると思う。The Beatlesと同じさ。でも8thアルバムの頃には、完敗だな、たぶん。
自分のソングライティング能力に自信が持てないようですね。インタビューではよく、曲は降りてくるものだから、不安定だと話していますが。
ノエル:音楽を作るのは簡単さ。まずギターで目がくらむような最高のリフを見つけるだろう、そしてイントロとコーラスとつなぎのリフを準備する。タイトル もすぐ出来るぜ。「New Suede Shoes, Nothing to do with Elvis」(「New Suede Shoes,エルヴィスとは関係ないぞ」という意味、エルヴィスの持ち歌「Blue Suede Shoes」にあかている)とか。メロディはその次に出てくるんだ。でも最後の段階で迷宮入りだ。座り込んで(落胆した様子で、「エア」ギターの上に身を かがめる)、「くそ、歌詞はどうすればいいんだ?」。言いたいことは全て「Rock’n Roll Star」で言い尽くしてしまったからな。
では「(What’s The Story)Morning Glory?」で、歌詞が適当だと書いたレビューを否定しないと?
ノエル:良いものを書こうと努力はしてるんだ。もっと時間があれば。
「Cast No Shadow」は自分の作曲能力への不満が語られてるようにも聞こえるのですが…
ノエル:「口から出した言葉の重さに縛られ」。俺のことだ。俺はモリッシーじゃない。ボブ・ディランでもない。ブレット・アンダーソンでもない。みんな俺よりは良い歌詞を書くだろう。
ではOASISは歌詞ではなく、サウンドと衝動に重きを置くバンドなのですね?
ノエル:バンドとオーディエンスの間に生まれる絆、気持ちが大切だと思うね。
「Cast No Shadow」は、できることなら歌詞から気持ちを読み取られたくないという心情の表れなんですね。自分の思ってることが全て晒されると、辛いでしょうね?
ノエル:完全にその通りさ。本当の気持ちなんて露にしたくないに決まってる。俺にとって歌詞は、自分でも計り知れない未知の分野で、何を表現しているのかなんて俺にもわからないんだ。
「Hey Now」では「自分に問いかけてみた、なぜ俺は他人を受け入れることができないんだ?」とありますが。
ノエル:この歌詞の本当の意味を説明できるのは、広いこの世界でも隣の部屋にいる彼女だけさ。俺は元来楽観的なんだ。ここまで惨めな考え方はしない。でも俺も、他人を自分の世界に入れることは絶対にしないね。
歌詞以外に、壁にぶつかったことは?
ノエル:「New Suede Shoes」以外でってことか?デビューしてからずっと壁にぶつかり通しさ。この6ヶ月はだいぶ良い感じだけどね。まだ1曲しか出来てない状況も、初めてだよ。
1曲しか出来てないという状態は、恐ろしくはない?
ノエル:怖い。でも曲なんてそのうち出てくるさ。
The Beatlesへの執着が強すぎるとは思わない?
ノエル:執着なんてとっくに超えてるよ。生きるうえでの理想だな。自分でも、この気持ちをどう上手く説明すれば良いのかわからない。書いた曲は全部、 The Beatlesの曲と比べるんだ。似た曲はいくつも書いたよ。「Live Forever」だろ、「Don’t Look Back In Anger」に「Whatever」。言えることは、彼らは俺よりも先に音楽を作ってたってことさ。もし俺がジョン・レノンと同じくらいに生まれてたら、 ライバルになってたに違いないね。そうだな、Gerry And Pacemakersよりよっぽどましだっただろう。ポール・マッカートニーと話をしたら、俺が書いた曲の半分以上は気に入ってるそうだ。「Come Together」で一緒になった時に、セント・ジョーンズ・ウッドにある彼の家に招かれたんだ。「Slide Away」と「Whatever」「Live Forever」が好きだと言ってくれた。もしその帰りにタクシーに轢かれたとしても、俺は誰より幸せな男として死んでっただろう。 「Definitely Maybe」をレコーディング中に、共同プロデューサーのマーク・コイルに嬉しいことを言われたよ。もちろんベロンベロンに酔っぱらってる時だ。俺を指差 して「お前はこの国に住む20歳以下の人間に、音楽とはどういうものか教えてやる義務がある」だとさ。
ギグの半ばにアコースティックセットを組もうと考えたのはいつから?
ノエル:どうせ巷では、権力を握ったことをいいことに、今度はギグで目立とうとしてるとか言われてるんだろ?そうだな、一番最初にやったのは日本でだっ た。1時間半ギグをすることで契約してたんだが、40から50分で終わってしまってね。唯一の策が、俺がアコースティックをやることだったんだ。認めよ う、とても良い気分だったぜ。「よし来た、これからもギグに組み入れよう」と思ったね。でもこれに関しては、バンド内でも色々言われるんだ。
メンバーからも「しゃしゃり出てる」と?
ノエル:たぶん思われてるだろうな。俺の考えはこうだ。バンドのファンには、この曲が生まれた過程を知るチャンスを与えてあげるべきだと思うんだよ。全て の曲は、一人の男が、椅子に腰掛けて、アコースティック・ギターを爪弾きながら、ウォークマンに声入れして作られたんだ。今更、ギグから外す気はないね。
ソロになる予定は?
ノエル:いや、そう思ったことはないしこれからもない。OASISは俺が入った最初のバンドだし、ここからロックンロールが始まったんだ。これが俺が参加する最後のバンドとなるだろう。心の底からそう思うよ。
あなたとリアムはお互いを褒めるような発言をすることがありますよね。最近のインタビューでは、リアムが「ノエルに会いたいと思わなかった日は一日たりともない」と言っていましたが。
ノエル:あいつの言いたいことはよくわかるよ。俺だってマンチェスターに残りたかったのは、リアムから目を離したくなかったからだ。 あいつ、ビッグマウスだろ、フロントマンだしな、「Elasticaのジャスティンとヤりてえ」だの、いつもそんな調子だ。だからいつもあいつの側にいて こうやってやりたいんだ(リアムにヘッドロックをかけて、殴る仕草をする)「黙れ、いいから黙れ」ってな。この瞬間もリアムの顔を見たいし、あいつも俺に 会いたがってるはずだ。リアムはいまやマンチェスターで一番の有名人だろう。貧乏で意気地の無いやつは、リアム・ギャラガーになりきって外を歩いてみると いい、すぐにぼこぼこにされて脅しをかけられることになるから。
それならどうしてマンチェスターを離れたの?
ノエル:ある程度の金が貯まった時点で、すぐに出たんだ。マンチェスターでは15の時からパブに入り浸ってて疲れきってたのさ、何も買わなきゃ「けちな野郎だ!」と言われて、酒を買うと「大人ぶりやがって!」。コカイン中毒どもに背中からスクリュードライバーを突きつけられて「次のツアーの宣伝を担当して やるよ」とか「セキュリティになってやる」と言われるのに、うんざりしてたからさ。そういう手段で稼ごうとするワーキングクラスどもは大嫌いだ。ワーキン グクラスに格付けされてることで人間が変わるのも仕方のないことかもしれないけどな。俺達は生まれてから死ぬまでワーキングクラスだ。社会主義者として育 てられたら社会主義者として死ぬのと同じさ。
お金をばらまくのは楽しい?
ノエル:ああ、そりゃな。失業手当暮らしだと絶対に出来ないことだろ。何と言っても浪費の元は、ギターだね。
OASISはバケツ一杯のコカインを常用していると聞きますが。それが浪費の元なのでは?
ノエル:俺達が40分毎にコカインを吸ってるなんて言ったくず野郎は全員、訴えてやる。人権侵害だな。なぜならOASISのメンバーでも、ギグジーにボー ンヘッド、アラン・ホワイトはドラッグをやらないからだ。やるのは俺とリアムさ。俺達2人は目の前にあるものなら何だって吸うんだ、なぜなら…….そうい う人間だからさ。でもラリッた状態でギグをやったことは一度もないぞ。ヘロインとかコカインとか、俺達はたくさんのドラッグをやってきたけど、手をつけな ければよかったと今では思ってるよ。煙草も酒もコカインやエクスタシーもそうだ。今みたいに金が十分にあるなら、手を伸ばさなかったと思うんだ。俺達につ いて一つ言えるのは、いつでも正直なことだろう。もしドラッグをやってるかと聞かれたら、「Yes」と答えるよ。正直な母親に育てられたからね。俺はコカ インをやってる。大量にな。公の事実だし、バンドに入る前からやってた。そして今は危険な悪循環に陥ってるわけだ、中毒者への道さ。
もう中毒になっていると?
ノエル:いや、俺はなってないよ。1週間前にヨーロッパ入りしたんだけど、その期間一度も酒もコカインもやってないんだ。ああいうのは精神安定剤みたいな ものさ。もし若くて失業手当をもらってて金に余裕がないとしたら、残されたものはドラッグくらいだろう。週末たった5ポンドで、自分の置かれた状況から逃 避できるんだ。みんなやってるよ。
あなたのお母様は、そのことをどう思ってるの?
ノエル:(うなりながら)ぜひともわかってほしいんだが、おふくろは俺達をドラッグから遠ざけようと必死なんだ。もう10年になる、今に始まったことじゃ ない。俺達を育て上げてみるとこの状態だから、もうお手上げさ、「これが左、これが右、これが黒で、これが白。これは間違い、これは正しい。全部教えてき たわ。もし私の言うことを受け入れられないなら、さっさと出て行って」。プレスで俺達のドラッグ関連の記事を読むたびにうんざりしてるんだよ。頭を抱える んだ、なぜならその度に、この事態を俺のばあちゃんに説明しなければならないからさ。でも実際はばあちゃんの方が冷めてるんだな。どういうことなのかよく わかってる。俺達は悪じゃないんだ。ただ時々息抜きが必要なだけさ。
自分の未来に関して不安なことはあるの?
ノエル:エールズコートでの2回のギグ、2枚のプラチナアルバム、次はどこに向かえばいいんだ?だから今年に入った時に少しアクセルを緩めたんだ。次は何をすればいいんだ?これは、俺達自身が作ってしまった悪夢だな。
あなたの夢は何ですか?
ノエル:アメリカにたいして特別な感情はない。ただあそこでもイングランドと同じような波を起こせればな……一番の夢は、U2になることさ(両手をたたく)、流行の洋服と髪型をしたブリットポップの寵児で終わりはしない。それが俺の夢だ。
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ノエルの口からその言葉を聞いた時、思わず胸が躍りだした。イギリスのバンドが再び世界一となる。まるであの60年代のように。実際に、まるで…。
「まだ終わらないの?」というメグ・マシューズの声で、私の妄想は中断された。時計は午前0時を指し、彼女の忍耐も限界に近づいたようだ。そろそろ切り上げる時間だろう。
ノエルがここに引っ越してきたのは正解だったかもしれない。彼の家から送り出されても、外の階段に待ち受けるプレスの姿はない。「Roll With It」を合唱するファン達の姿もない。もちろん玄関に待ち受けるマーク・チャップマンの姿もないのだった。
