アメリカに行っている間に母国での人気を失うのでは、という不安はある?

ノエル:Inspiral CarpetsやNeds Atomic Dustbinがそうだったな。全く、時間が流れるのは早いもんだ。ストーン・ローゼズが帰国した時も話題にならなかったし、最近の若い連中は飽きるのが早すぎるんだよ。

今までにはないくらい長い期間、アメリカでツアーをすることにプレッシャーは?

ノエル:ある程度はあるよ。レコード会社にアメリカまで来いと言われ、俺達もちょうど時間が空いていたから行ってやるんだ。どんなにビッグになろうが、行けと言われる場所がイギリスだろうがアメリカだろうが、俺はやりたいことしかやらない。それにビッグでいるのは別にイギリス内だけでいいと思ってるしね。そこまで金に困ってもないし、アメリカのために全てを犠牲にするつもりはない。俺達はあくまでイギリスを拠点としたバンドなんだ。それに加えて、日本、ヨーロッパ、オーストラリアにも行く。特に日本はアメリカと同じくらい俺にとっては大切なんだよ。

わかりますよ、でもアメリカ人はロックンロールの歴史を築くあなた達の訪米を待ち望んでいるし、アメリカこそがその歴史の始まりになると思っているんです。

ノエル:そういうことより、結局大切なのは俺達の曲を聴いてくれるファンなんだよ。もちろん日本のファンも。だからこそワールドツアーをやろうってことになった。ギグではみんな往年の名曲を期待してくる。でも俺はいつまでも昔の曲ばかりでギグをするつもりはない。4年間セットリストに入れっぱなしの曲もあるんだ。例えば「Rock N Roll Star」、「Live Forever」、「Cigarettes & Alcohol」とかさ。実はもう飽きちゃったんだけど。

あなたのマスタープランは?

ノエル:うーん、何が起こってもおかしくないからなあ。歌詞にもあるとおり来週何が起こるかもわからない。

でもどこに行き着きたいか、希望はあるでしょう?

ノエル:バンドを始めた頃に描いたゴールは、すぐにぶっ壊しちまったんでね。

この成功に値段を付けるとしたら?

ノエル:無名のバンドをうらやましいとは言わないけど、でも…俺はまだアルバムも出さずにギグをして回っていた時のほうが好きだったりするんだ。追い求めるものがあった頃がな。今みたいになると、何もかも簡単に達成できてしまうだろう。だって俺が適当に書いた曲でもトップ10に入るんだぜ、何が起こるかわかってると興味も失せちまう。

この生活にはすぐ慣れました?

ノエル:ああ、貪欲な連中が言い寄ってくる前から「みんなの気があるうちに、アルバムでも出してみないか」と言ってくる人達がいたんでね。OASISがステージに立てるバンドであることは誰に言われずとも分かってたことなんだ。あとはこれから立て続けに起こることを順次処理していくだけだ、とね。

EPはこれからも出していくつもり?

ノエル:もちろん。伝統だよ。AdamにAnts、The Jam、Madnessもやってきたことだろ。

ということは、これからも名曲をB面におさめてしまうということですね。

ノエル:「Acquiesce」は、シングルになってもおかしくなったな確かに。スタジオに向かう電車の中で書いたんだ。レコーディングしてるときに「これはシングルになる!」と思った。でもThe JamとかThe SmithみたいにB面にも名曲を持ってきたかったんでね。

アメリカで一番腹が立ったことは?

ノエル:モッシュさ。イギリスでは「Live Forever」みたいな曲はたとえギグでやったとしてもじっくりと聴いてくれたのに、ここでは喧嘩にモッシュ、ステージ・ダイビング、それにお互いを罵り合う連中。ステージの上からその様子を眺めていると「お前ら俺達の曲てんで聴いてねえだろ、そういうノリの曲じゃねえんだよ」と一言言ってやりたくなるぜ。これがもし、「Bring It On Down」、「Headshrinker」、「Fade Away」みたいな曲だったら、まあ、そういうことをしてもいいかもしれないけど、「Live Forever」は違うだろ。この曲はファイティング・チューンじゃない。

バンド内で重要な決定を下すのは誰?

ノエル:俺とマネージャーのマーカスで話し合うんだ。俺で勝手に決めて終わりってこともあるけどな。俺達の考え方は似てるから。

この2、3年に起きたことについて話してください。

ノエル:うーん(15秒ほど考えて)…いろんなところに生意気な口を叩きまくった時期だったかな。もうみんなこりごりだろ。でも俺が言ったことは全て理に適ってるし真実だ。というか、俺の言ったことってどれも面白いし笑えるしくだらねえだろ。俺達、昔のインタビューを読んで頭抱えて笑ってるんだぜ。「Supersonic」から1stアルバムまで、OASISはコントロール不可能な状態だった。クリエイションのやつらも他のバンドのマネージャー連中もみんな「こいつら、来年には消えてるぜ。今にも殺し合いでも始めそうだ」と話してたくらいだぞ。

この調子だとホテルでの出来事も話してくれそうですね。

ノエル:あれは笑えたね。ボーンヘッドと一緒にホテルの中にあったものを全部窓から放り出したんだ。ギグジーは24時間完全に酔っぱらってたし…あいつと8ヶ月はまともな話をしなかった気さえするね。そして俺とリアムはまさにあのパンチとジュディ(訳注:古い歴史を持つ操り人形で、真っ赤なわし鼻とホッペのパンチが些細なことから妻のジュディを棍棒でポカポカ殴るといったドタバタ喜劇)みたいなもんだった。

ボーンヘッドはどこのホテルでそういうことをしていなかった?録音しておくべきでしたね。

ノエル:最初のホテルは(笑って)、いつが最初だったかなんて覚えてねえよ。あまりにたくさんやりすぎてさ。たぶんあいつがそんなことしたのは、前日にテレビを見すぎて飲みすぎて、他のバンドのやつらに「やってみろよ、お前それでも男か?窓から放り投げろ!」とけしかけられたせいだろうな。俺は部屋やバーでインタビューを受けてて、それに気づいたのはあいつらが3回目にものを放り投げたときだ。インタビューが半分ほど終わった時、誰かがやって来て「電気をつけてくれるか?」と言うんだ。つまり、そいつは俺達が犯人だと目星をつけて確かめようとしたんだろう。俺は窓を背にして座っていたから、そのジャーナリストに「違うぞ、誤解だ」と言ってどうにかおさめようとした。「俺達じゃない」とね。でもそこらじゅうに床を滑って移動したテーブルやらがあってジャーナリスト達は「確かに空を飛ぶテレビを見たんだけど」とか言って。俺は「そういうことが現実にあるわけないだろ」とごまかした。でも今度は壊れたテーブルなんかを持ったホテルマネージャーが現れてさ。まあ、結局ホテル側は特に問題沙汰にしなかった。俺達が弁償することを知ってたからな。俺達がしなくてもボーンヘッドがする。今ではああいうことをするのって時代遅れだけど、言っておこう。あれはあれで相当楽しかったぜ。

一番楽しかったのは?

ノエル:一番はスウェーデンでPrimal ScreamやThe Verveと一緒にやった時。強制退去させられて、3万ドルを賠償させられた。最高の思い出だよ。

ツアーをすると、おかしくなっちゃうみたいですね。

ノエル:ああ、そうだな。最初の2つのツアーはその頂点でさ、ツアーマネージャーやドライバー抜きで、2人のローディーと一緒にバンに全ての荷物を詰め込んで回ったんだ。自分達でホテルを予約して、チェックインして経費も持った。Whiteoutと一緒だったな。まるでイギリスに初めて侵入したバイキングの一団みたいだったぜ!Whiteoutはシングルを出していてすでにレコード会社とも契約していたから、彼らには豪華なバス、そして俺達はバン。そして連中には立派な器材にクルー達。ファンが間違えて俺達のバンを訪ねてきたりしてな。で、毎週カバン一杯の金をまるで小銭扱いでくれた。もちろん1時間もしないうちにドラッグに消えたけど。

誰があなた達にロビー集合時間とかチェックアウトの時間を指示したの?

ノエル:俺だよ。俺。つうか俺以外誰もやろうとしないからな!みんなをバンに乗せて、金を払うのも俺だ。請求書に追加料金があったら、一見ちゃんと払うように金を数えながら、バスをコーナーまで移動させていつでも発車できるようにエンジンをかけておいた。で、従業員が「390ポンドと2つのテーブル分が追加料金となります」とかなんとか言ったら「小切手帳を取ってくる」と言ってそのまま逃げるんだ。俺達の旅行代理店はそういう未払いの請求書をかき集めて俺達に支払わせようと苦労してたもんさ。そういうことばかりやっていたから、4つのホテルチェーンから出入り禁止になってさ。だからツアーの最後にはギグをする町から20マイルも離れたところに泊まるはめになった。グラストンべリーでホテルをとった時は偶然マネージャーにいつもの俺の作戦を見られちまって「みんな外に出てろ」と言われた。それからはコロンビアにまで出入り禁止になったよ、っていうのは誰かが窓からものを放り投げてマネージャーのメルセデスに当てたからなんだけどさ。

そういう生活をしてて、身体を壊さなかった?

ノエル:1回ね。2日間何も食べず、ドラッグと酒だけ飲んでギグをしたんだ。胸が痛くなってそのままぶっ倒れて、デトロイトの病院に1日入院したよ。医者は「27歳で良かったですよ。もし47歳なら死んでいたところです。もっと大人の自覚を持って行動してください」と言われて、その時からちゃんと食べて睡眠もとることにしたんだ。

バンド専用の医者というのはいるの?

ノエル:精神科医みたいなのならいるぜ。俺がハーレイ通りに住んでた時のな(笑う)。ちっともロックンロールじゃねえよな。ジェイソン・ドノヴァンにクレイグ・マクラーハンと俺の3人。全くロックンロールだろ?(笑)俺の場合、耳がやばくてね、爆音で演奏するもんだから鼓膜がどうにかなっちまってる。

医者から学んだことは?

ノエル:俺の問題はドラッグに関することだけさ。医者の助言でもうマリファナは止めた。もともと低血圧だから、マリファナ吸うたびに失神しちまってね。あれ吸うと、鼓動が遅くなって、全身に血液が行き渡らなくなるらしい。だから俺はめまいがしたり呼吸困難になってたんだ。いつもそいつを大量に吸ってたら、ドクターから「自分がしてることで自分の身がどうなろうとかまわないんだな。それくらいマリファナが大事とは。全くクールなやつだ」とまで言われちまった(笑)面白えドクターだろ。

コカインは?

ノエル:前までは1日に2回はやってたぜ。最後のアメリカでのツアーの時、バンドのメンバーを集めてコカインを止めろと言ったんだ。俺が言わなきゃ、いつ止めればいいのかも分からない連中だからな。いや、死んじまった時にやっと分かるんじゃないかな。今はみんな落ち着いてきてるよ。昔は大量のコカと一緒に歩んでたといってもいいくらいだったから。

ミズーリみたいにOASISが知られてない場所でギグをすることになったら?

ノエル:企画したやつに「こういう風変わりなことをやるのがお前の趣味なのか?もしそうじゃないなら、ここでギグをしたら最悪なムードになって白けるのは目に見えてるぜ」と言うね。

レコード会社に期待することは?

ノエル:あいつらとは話したこともねえよ。アメリカでも自分達のことは自分でやった。結局は全て自分の身に返ってくるんだからレコード会社なんかにお伺いは立てない。

アメリカではレコード会社への挨拶にも行かなかったの?

ノエル:「近いうち、私の妻にも会ってほしい」「ぜひお会いしたい」とかのことだろ。あの連中は何を言っても怒らないけど、俺は契約書に対して難癖つけたことはないぜ。でも俺がローディをしてた頃の経験からいって、ああいう挨拶まわりは100%やる必要のないことだ。どのバンドも、みんなやってることだからとかいうくだらねえ理由でやるみたいだし、周囲からもやるよう言われるみたいだが、俺はこう言ってやった。「俺はやらない。タワー・レコードの連中とのテリトリー争いについての話し合いなんてどうでもいい。ただそいつらにこう言っとくんだな。俺がわざわざチェックしなきゃちゃんと仕事する気もないのか?もしもそうなら、契約はこっちから切ってやるぜ、クソったれ。ちゃんと自分の仕事をしろ」。俺達は次世代のバンドのためにもこういう行動をとる必要があるんだ。誰かが彼らに言ってやるのさ、「OASISはやらなかった。だから君達もやらなくていい」。