1曲1曲分かれた曲の寄せ集めではなく、一つの作品として聴ける、OASISとしては初めてのアルバムですね。
ノエル:最近じゃこういうアルバム見なくなったよなあ。3つのシングルを含んだ単なる曲のコレクションって感じのばかりでさ。どの楽曲のラストも次の曲に つながっていくようにというのは、俺の意向だったんだ。だからitunesで選んで抜き出すと、前の楽曲の1秒と次の楽曲の2秒がくっついてくるってわ け。ダウンロードした曲を聴くたびにイライラがついて回るぞ。「Falling Down」だけを完璧に抜き出してダウンロードする方法なんて見当もつかないだろ、アルバムを買わないと無理だ。スタジオでそのクロスフェードの作業をし てる時、こう思ったもんさ。「これでダウンロードをする気も失せるだろう」。でもさ、寄せ集めばかり作るからクソみてえなアルバムができるんだぞ。みんな 気付いてるだろう。「ちょっと待てよ、Dark Side Of The MoonやLed ZeppelinのIV、The White Albumみたいなアルバムは最近見ないな。どれも4つのシングルを含んだ楽曲の寄せ集めばかりだ」。インターネットとitunesはそういうののために あるといっても良い、駄作のためにね。でも俺達は意図的に切れないアルバムを作ることを選んだんだ。
ゲムはあなたがここまで即興で作るのを初めて見たと言っていましたが、デビュー当時はほとんどそうだったんですよね・・・
ノエル:たぶん・・・メジャーなレコード会社との契約を終了させてさよならしたことが、実は俺達にとって大きなターニングポイントになったんだ。ブリット ポップを乗り越える、もしくはようやく受け入れる。そこが重要な時点だったのさ。ベスト盤も出してやったしな。ブリットポップの余波にはずいぶん楽しませ てもらったよ、みんなそろって「どうやら本当に終わりだ。連中もみんな40代に入ってみんな父親となった。一般人と同じように」と来た。「Sgt Peppers」を書いた時のポール・マッカートニーみたいに「今に見てろ」なんて俺は思わなかった。ただ「終わったと思ってくれて結構。期待もしなくて 結構。契約も切れたし、自分達のために音楽を作るんだ。俺達のレーベルなんだから好きにやってやろう」と思った。とても良い気分だよ。枷が外れたこと で・・・というのも、以前はミーティングで世界中のレコード契約を取り仕切ってたんだ。「OASISのレコードをどうしようか、これをどうしよう、どう進 めよう?」 - デビュー当時に戻った気分だよ、クリエイションにいた時みたいだ。でも大いに影響はあると思うね。プロデューサーのおかげでスムーズに進めることができ た。「いいか、完成できないなら、出さなきゃいいんだ」「それもそうだな、ソニーが仕切ってるわけじゃない。決定権は俺達にある。終わらなかったら出さな きゃいいだけの話だ。何だったらツアーだってしなくていい。全ては俺達次第」ってね。ツアーの予定が先に入っていたから、無理にアルバムを完成させた時も あったからな。俺達が予定の週に発売しなければ、マリア・キャレイにセリーヌ・ディオンが待ちかまえて、俺達は後回しってことさ。同じレーベルにいるとそ うなった。今聴きなおすと「ああ、この曲はもっとこうしたほうが・・・」、わかるだろ?だから今は自由を感じてるんだよ、「いいか、終わらないからって何 だ、どうでもいいさ。来年やればいいだろ、どうせ俺達期待されてないんだし(笑う)!」。
アルバムに収録されてる曲よりも良い出来でありながら、ボツにしたという楽曲群はどうするんです?
ノエル:さあね。アルバムをミキシングしている時、俺とゲムの2人だけで、他の部屋を使ってそういう楽曲をレコーディングしてたんだ。でもプロデューサー のデイヴに、こんなことはやめてバンド全体でレコーディングするべきだと言われてね。それでみんなでちょっとしたデモを作った。俺は「ちょっと待て」って 感じで、思ってたような出来じゃなかったが、それでも本当に最高の仕上がりだった。5,6つのコード展開が続く、どこまでもブルース調の曲さ。マディー・ ウォーターズみたいってわけじゃなく、モダン・サイケデリック・ブルースだな。でもこの先どうなるか誰にもわからねえだろ、他のバンドが「俺達今すぐ出し てもいいようなアルバムが2枚あるんだ」と話してるインタビューをよく目にするが、俺達だってそれくらいあるさ。いつだってね。ただ次に何をしようかまだ 決まってないんだよ。バンドがこれだけビッグになると、時々ポール・ウェラーがうらやましくなる。好きなようにやってるあいつがね。単に「ポール・ウェ ラー」を喜ばせるためだけにやってるんだよ。俺達となると、何かを計画するのに24時間ミーティングをして、「俺はこうしたい。ああしたい」。それでツ アーをやったり、家族と過ごすためのオフをとったり、次のアルバムを作るかソロ・プロジェクトに入るかでミーティングしてる間に、ゆうに5年は経っちまう んだ。時間ばかりが過ぎ去っていく。俺達やU2、Coldplayみたいなバンドを定期的に見ることができるのはそのせいなんだ。3,4年に1枚のペース でアルバムを出すのは、それが世界を回る唯一のチャンスだからさ。イギリスの普通のインディバンドですら、国内で数回、ヨーロッパで数回、アメリカで数回 で、8ヶ月もどぶに捨てるんだぜ、それに比べると俺達がツアーをすれば1年8ヶ月が消える。「3,4年も休むなんて」と、俺達のことを怠け者みたいに言う やつもいるが、それだけ処理に困る楽曲がそれだけたくさんあるってことなんだよ。
OASISの「民主主義的な」体制は上手く稼動しているようですね・・・
ノエル:そう言われるのは今回のアルバムが初めてだね。前のアルバムの時だって、提供してる楽曲の割合は同じだぜ。でも意識してやったことじゃない。ゲム とアンディがOASISに入った時にこう言ってあるんだ。「アイディアが浮かんだらいつでも言ってくれ」とね。最初はずいぶん手間取った、というのも2人 とも「OASISソング」を狙って書いてきたからだ。それで俺が「俺が書くような曲は書くな。自分で曲を書いてくれ。Roll With Itの焼き直しなんてするんじゃねえ、クズども」と言ったくらいさ。でも「Don't Believe The Truth」の頃には、悪い癖を直して、ユニークな曲を書くようになった。送られてきたデモを聴いて「本当に良い曲だ、やってみるべきだな」と思えた。他 の連中の言うことなんてどうでもいい、俺は2人の作品を気に入ってる。リアムのもね。レコードの一部に自分が貢献してるんだと思うと、嬉しいよ。アルバム を聴いてその曲自体を楽しむことが出来る。今じゃ「Morning Glory」や「Definitely Maybe」は聴かなくなってるんだ、特に「Morning Glory」は・・・あのアルバムの曲を聴くと・・ 速攻でレコーディングしたアルバムだからさ、12日前後で、馬鹿もせず。ヨーロッパツアーから戻って1日1曲ミキシングを済ませた。スタジオに行って1テ イクでレコーディングして、アウトテイクはなしの、文字通りデモの寄り集めさ。だからデモがないんだ。それだけのことだよ。今でも思うね、「ったく、ひで えなこの音は」ってさ。だからアルバムを聴くたびに、「Don't Look Back In Angerを明日レコーディングしなおしたら、ぶっ飛ぶ出来になるぞ」とか「Wonderwallを録り直ししたら、野暮ったさが抜けてもっとブルージー になるのに」と思うんだ。もっと時間をかけるべきだったんだよなあ。だから今のように、ゲムやアンディ、リアムの曲も入ったアルバムを聴くと、ベース・ド ラムなんかに気を取られずに、レコードそのものを素直に聴くことができる。他のみんなと同じように、OASISの音楽を楽しめるんだよ。それでも自分の曲 に差し掛かると、「何だよこれは、やかましすぎだろ!」と思うんだけど。だから「民主主義的」ってのは、わざとじゃない。自然とそうなったっていうかな。 バンドにとっては良い方向に進んでると思うね。
以前は、バンドを取り仕切るためのルールがあったそうですね。
ノエル:若気の至りだね。20代の頃って「蝿の王」みたくお互いに支配しようとするだろう。でも子供も出来て親になってみると、スタジオに入って「おい、 お前そんな弾き方してんじゃねえよ・・・」とは行かなくなるわけ。俺は以前のような喋り方で、ゲムやアンディに話しかけたりはしない。俺もずいぶんイカれ てたもんだよなあ(笑う)!昔は、よくそういう態度を取り沙汰されてね。それがファッキン栄光の日々の象徴だったんだ。でもボーンへッドやギグジー、リア ムが、俺のやり方に異論を唱えなかったことも事実なんだぜ。俺が「こうするぞ」と言うと「おっしゃる通りです」ってさ。年を重ねて子供を持った今では、ゲ ムやアンディにはそんな・・・トニー・マッキャロルにしてたみたいに話しかけたりはしないさ、誰に対してもね。ったく、今思うとあいつにはかなりひでえこ と言っちまったな!だから次にアルバムを作る時に、どうしても自分で全曲書きたいと思っても、そうはしないと思う。たぶんみんなも曲を作ってくると思うか ら。
サウンドを厚くすることに、熱を入れてるみたいですね。
ノエル:これだけは言わせてくれ、このレコードの方向性はデイヴ・サーヴィのアイディアなんだ。俺はスタジオの隅に座って、彼に好きにさせてただけさ。 「どうしてこの方向で行くのか納得が行くように説明してくれ」って感じでね。「The Turning」や「Bag It Up」は今じゃ最高の出来だけど、デモの段階ではそれほどでもなかった。ただの貧相なブルースに過ぎなかったんだよ。でもデイヴが「いや、この方向で」と 言うから、「分かった、何か考えがあるんなら、俺はいつでもそのステージに乗る準備はできてるぜ」と、答えた。俺はバンドの一員としてそこにいて、みんな とふざけてただけさ。いつもならミキシングデスクの上で頭をかきむしってたのにな、やつは素晴らしいよ。OASISが初めてアルバムを一任したプロデュー サーだ。もっと前から一緒にやっときゃ良かったよな。
若々しいサウンドです。
ノエル:うん、デイヴはL.A.に住んでるんだけど、アメリカのラジオで流れるあらゆるバンドの楽曲をミキシングしてるんだ。俺達より断然多くの曲を聴い てるんだよ。だからアルバムがフレッシュに聴こえたなら、その秘訣はデイヴが知ってる、いつも新しい音楽を聴いてるんだからね。「Falling Down」をやる時も、デモを聴いた段階で「これはかなり良いよ」と来た。デモだけでからもう頭の中に完成形があるのさ。「これはいい、俺は演奏すること を楽しめばいいんだ」と思った。
Electric Promsは楽しみ?
ノエル:先週の金曜の夜、マズウェル・ヒルにある誰かのキッチンでコーラス隊と一緒にリハーサルをしてからは、楽しみになったよ。16人しかいなくて、テ ノールやソプラノ、その中間が数名ずつだったんだけど、本番では50名になる予定さ。7曲一緒にやるんだけど、凄いぜ。マジで最高なんだ。
どんな感じになるんでしょう。
ノエル:そうだな、合唱隊は自分の服を着けてセットの途中から登場するんだ - 自分の洋服にするよう言ったんだよ。ミーティングの時に「どんな衣装を着けてほしい?」と言われて、俺が「衣装?いつもどういうのを着けてるんだ?」と聞 き返すと「いつもはみんな黒で統一してるよ」「いやいやいや、みんな仮装してくるかみんなカジュアルでくるかどっかにしてくれ」「へえ、自分の服でいい の?自分の服でいいらしいぞ!」とさ。リハーサルで集まった時には、「自分の洋服で良いなんて、君たちはなんて優しいんだ」とまで言うから、「いつも何着 けて歌ってるんだ?」と思ったぜ。ということで、合唱隊はセットの3分の1が終わったあたりから登場して、大曲を一緒に歌うのさ。
ひょっとして、ニューアルバムの曲を全曲やったり?
ノエル:いや・・・っていうか、ニューアルバムの曲で合唱が入るのはあったかな?いや、ないね。神々しい出来だぜ。ストリング・セクションみたいに歌うん だ。みんなで合唱さ。たとえば、簡単に言うとリハーサルはこんな感じかな、「いいか、俺達が演奏してるとみんな一緒に歌うよな。OASISはみんなで合唱 するロックンロールを作ってる、だからみんなで歌うんだ」。それで一旦解散して自由にやってもらい、月曜日にまた集合した - いくつか変える必要はあったけどね、というのも「I Am The Walrus」をやる時に、俺は「さて、ひたすらマッドに行くぞ、やりたいようにやってくれ」と言ったんだが、実際やってみると「やべえな、そこまでマッ ドじゃねえけど。それじゃダメだ。どうかしてる。でも完成したらすごいことになるぞ」と思ったね。
以前からPromsはやってみたかったの?
ノエル:俺個人では、昨年The Coralと一緒にやったよ、でも自分からやりたいと思ったわけじゃなかった。俺は違う世代だからさ、つまり「Live8に呼んでくれ!ブリット・アワー ドに呼んでくれ!ブリットに出たいんだ!」って連中とは違うってことだよ。イギリスのバンドはどいつもこいつも、ブリット・アワードの季節になるたびに、 どうにかショーに出ようと必死だろ。ノミネートされても行かないのは俺達くらいだな。だから違う、もう十分に成功してるし、そんなのに出る必要はないん だ。予定が空いてれば、Jools Hollandもやるが・・・今回も「Electric Promsに出してくれ」と頼んだわけじゃない。依頼が来たから「予定もないし、やってやるよ」とOKしたのさ。
BBCも粋な計らいをしますよね。
ノエル:確かにな。それに依頼されれば無下にあしらうわけにもいかない。BBCは素晴らしいと思うよ。どんなにコストがかかろうとも継続すべきだね。最高 のテレビ局、最高のラジオ局。最高、Radio1なしでは、この国のポップ・ミュージックは死に絶えるね。どこを見ても広告にファッキンセリーヌ・ディオ ンってことになるさ。Top Of The Popsもやってほしいよな、もし新しい番組をやるとしたら、ぜひTop Of The Popsを。でもBBCは本当に重要だよ、これまでのキャリアを見ても・・・この10年を見ても、色んな面で文化的に貢献してる。「The Office」みたいな番組とかさ。ITVと競いあって「Pop Idol」みたいな番組を作ろうとしてるのを見ると、ちょっとムカつくんだよな。「ITVなんてお前の敵じゃないだろ」と言ってやりたくなるんだ。「X Factor」とかそういうの、時代の流れだな、そう思うだろ。それに、ああいう番組が続くのも人々が求めてるからだ。誰も見ない番組をやるわけがないか らな。でも「Strictly Come Dancing」とか、なくても困らない類の番組。水泳選手が社交ダンスをする姿なんて見たくねえっての。まあそれでもBBCは良いね。イギリス国内から 出たことのない連中は、BBCが見れてどれだけラッキーなのか気づいてないのさ。あんな国営放送局がある国なんて他にないぜ。でも、BBCはフェスティバ ルを壊そうともしてる。「Live From Reading」とか「Live From T In The Park」とか・・・考えてもみろ、ジャック・ぺニャーテやQueens Of The Stone Ageが人気の世界で、エディス・ボウマンやゼーン・ロウがやってけると思うか?無理だね。テレビで、ジャック・ぺニャーテのインタビューを見たんだよ。 「昨夜、あなたの素晴らしいギグを見ましたよ、本当に素晴らしいセットです。みんなもノッてましたね、あなたは本当に素晴らしかった」。その2分後、今度 は「さて今度はQueens Of The Stone Ageの昨夜のギグだ、本当に素晴らしいですよ」と来ると、「ファックオフ!いいからファッキンスカイプラスの一時停止ボタンを押してくれ!」ってなこと やることになるのさ。そんなのってないだろう?ジャック・ぺニャーテかQueens Of The Stone Ageかどっちか選べなんてさ。俺ならどっちも許さねえ。見たくねえ。絶対にない、絶対に見ない。
それが、時代の流れってやつじゃあ・・・
ノエル:何もかも「最高」だと!俺はゼーン・ロウにも言ってるんだぜ、「おいおい、グラストンベリーで全部が全部最高なんてありえねえだろ!」。連中と一 対一で話せば、本音を言ってくれるぞ。全部最高なんてあるわけねえんだよ!週末ずっと座りっきりで752組のライブアクトを見て、どれも素晴らしいなんて さ、無理。どれか一つは絶対にクソだ。だからこういう風にやればいいんじゃないかな。俺が「ライブはどうだ?楽しめた?」。連中が「うん、とても良かった ね」「そうか?俺は違う意見だ。ちょっとばかしクソだったぜ、な?」。それでもやつらはフェスティバルを褒めまくる。今フェスティバルが絶滅の危機に瀕し てる理由がこれだ。それというのも、これまで長い間、グラストンベリーを経験するには、その場所に直接足を運ばなきゃならなかった。なのに今では行かなく てもいい。テレビで見れるしラジオで聴ける、自宅の裏庭でね。キッチンでやかんを火にかけながら体験できるんだぜ。テレビで見れる時代に、どうして会場ま で行って小便やクソだらけの芝生に腰を下ろそうと思う?ライブは生放送するべきじゃない。週末にハイライトを流すくらいに止めるべきだ。
今回のElectric Promsで、バート・バカラックと共演する予定は?
ノエル:できたらいいな。予定が空いてたら、ありえるかも。それとロビン・ギブ。「Mr Natural」以降は好きじゃないが、その前は最高だ。全部好き。Bee Geesとできるならどんな手段も厭わない。「Home Town Boys」とかね。最高だったよ・・・そして・・・連中はディスコに傾いてしまった。でも60年代の彼らは本当に良かった。その頃のはどれも良い。一度ロ ビン・ギブにこう言ったことがあるんだ、誰にでも言えるもんじゃないぞ、「最初の6枚はマジで最高」。他にこの言葉が当てはまるのはThe Beatlesとニール・ヤングくらいだな。ボブ・ディランは違う。つまり「最初の6枚は大好きだけど、残りはクソだね」って言えるのはってことさ。
以前、バートとは共演したことがありますよね?
ノエル:1995年にRoyal Festival Hallで一緒に歌ったよ。「This Guy's In Love With You」をやったんだ。ホテルのロビーで偶然出くわして、彼はイギリスで最初のツアーのためにやってきてたんだ。俺が「誰が歌うんだ?」と聴くと、「ゲス トを呼ぼうと思うんだ」と言う。さらに「This Guy's In Love With Youは誰か決まってる?」と聞くと、まだと言うんだ。だから「俺がやるよ。C#は俺のキーだ」と立候補したのさ。
あなたと会う前に、バートは「Definitely Maybe」を聴いていたんですか?
ノエル:ああ、1994年にL.A.に引っ越して、周りが「おい、OASISは聴いた?」と言ってばかりいたから、名前はしょっちゅう耳にしていたらし い。それで誰かからアルバムをもらったんだと。会った時にこう言われたよ。「君達のレコードを買って聴いたんだが、とても聴きやすい音楽だね」。へえ! 「聴きやすい」!バート・バカラックからその言葉を聴けるとは!
ジョニー・ロッテンから「パンクロック」と評価されるようなものですね。
ノエル:まさにその通り。それにそのギグに参加した、おかしなことに、ちょうどその時L.A.でジョニー・ロッテンと2日に渡って飲み歩いたんだ。崇高な 空間からそのまま馬鹿騒ぎに突入さ。48時間の間にジョニー・ライドンと遊びに行った後に、バート・バカラックで締めるみたいなもんだぜ。Sex PistolesとOASISは一緒にツアーするべきだなんて言いながら、その2日後に同じノリで、バート・バカラックに名曲を歌わせてくれと頼む。あの 時期がどれだけイカれてたかがわかるだろ。彼のどでかいスイートルームに行くと、角に白いグランドピアノがあった。その場には俺とバート・バカラックだ け。当時俺は27歳で、2年前にメジャー契約したばかりで、しかも二日酔いが残ってて、前歯半分は抜けてて、完全にトンでるドラッグ常用者面だった。一 方、相手は「Police Woman」のヒロインと結婚した男だ。俺は「なんて言えばいい?」とだけ考えていた。この前会った時にはべろんべろんに酔ってて口が止まらなかったんで ね。それでその時は、彼の方から60年代の話を始めたんだ。俺がビールを取りに行って戻ってくると、彼はピアノの前に座り「This Guy's In Love With You」のコードを弾いていた。そして「ここに座れよ」と言う。それで俺が隣に座ると今度は「一緒に歌って」と言う。一度歌い終わると、彼は「ほら、今の は最高だったからもっと良くなるぞ」と言ってくれた。その時はそれだけさ。俺は部屋から出て、夕方だったから、そのままグルーチョ・クラブに行って2日間 連続で飲んで騒いで、そして店から出てバカラックと一緒に歌ったんだ。何て生活だろう。みんなもそう思うだろ。時々そんな90年代を俺が楽しんでたことに 憤って、何もかも手にしてた俺のことを糾弾するやつもいる。でも俺自身にとってはいつもと変わらない日々だったんだ。「今日は何するんだ?」「信じないだ ろうが、バート・バカラックとジャムするのさ」。輝ける日々のとある一日に過ぎなかった。だから有名になったことで思い悩んでるやつの記事を読むと、なん て惨めで白けた野郎だと思うぜ。あんな連中の人生を濃縮しても、俺のとある一日の方が断然良いと思うね。最高だった。本当に最高だったんだ。栄光と富のこ とだが、俺はそれを手にすることにためらったりはしない。金を儲けることも恥ずかしいとは思わない。俺は今みんなからうらやましがられる地位にある。自分 で自分の曲を書いてきた、ホテルの部屋で色んなスタジオで。俺が書いたんだ、相応のものを受け取って何が悪い。ミドルクラス特有の罪悪感は俺にはない。カ トリック教徒の罪悪感もない。そんなの全部ポイだね。他のやつが遊んでる間に、俺がOASISから金を作り出したんだ。でも夜遊びすると決まったら、 パーっと騒ぐ、その後さらにパパーっと騒ぎとおしてやる。栄光やら名声やらスターの座やらを恥じたりしない。このために俺は生まれたんだ。エイミー・ワイ ンハウスを見てみろ、スターにふさわしくないという周りの声から自分を守るために、誰にも壊せない殻に閉じこもっちまってる。でも前にも言ったように、俺 の場合他の誰かの力でここまできたわけじゃない。全ての曲を書いたのは俺だ。他のやつの曲と似てるかもしれねえけど、訴えたいなら訴えればいいさ!(笑 う)。
ノエル:最近じゃこういうアルバム見なくなったよなあ。3つのシングルを含んだ単なる曲のコレクションって感じのばかりでさ。どの楽曲のラストも次の曲に つながっていくようにというのは、俺の意向だったんだ。だからitunesで選んで抜き出すと、前の楽曲の1秒と次の楽曲の2秒がくっついてくるってわ け。ダウンロードした曲を聴くたびにイライラがついて回るぞ。「Falling Down」だけを完璧に抜き出してダウンロードする方法なんて見当もつかないだろ、アルバムを買わないと無理だ。スタジオでそのクロスフェードの作業をし てる時、こう思ったもんさ。「これでダウンロードをする気も失せるだろう」。でもさ、寄せ集めばかり作るからクソみてえなアルバムができるんだぞ。みんな 気付いてるだろう。「ちょっと待てよ、Dark Side Of The MoonやLed ZeppelinのIV、The White Albumみたいなアルバムは最近見ないな。どれも4つのシングルを含んだ楽曲の寄せ集めばかりだ」。インターネットとitunesはそういうののために あるといっても良い、駄作のためにね。でも俺達は意図的に切れないアルバムを作ることを選んだんだ。
ゲムはあなたがここまで即興で作るのを初めて見たと言っていましたが、デビュー当時はほとんどそうだったんですよね・・・
ノエル:たぶん・・・メジャーなレコード会社との契約を終了させてさよならしたことが、実は俺達にとって大きなターニングポイントになったんだ。ブリット ポップを乗り越える、もしくはようやく受け入れる。そこが重要な時点だったのさ。ベスト盤も出してやったしな。ブリットポップの余波にはずいぶん楽しませ てもらったよ、みんなそろって「どうやら本当に終わりだ。連中もみんな40代に入ってみんな父親となった。一般人と同じように」と来た。「Sgt Peppers」を書いた時のポール・マッカートニーみたいに「今に見てろ」なんて俺は思わなかった。ただ「終わったと思ってくれて結構。期待もしなくて 結構。契約も切れたし、自分達のために音楽を作るんだ。俺達のレーベルなんだから好きにやってやろう」と思った。とても良い気分だよ。枷が外れたこと で・・・というのも、以前はミーティングで世界中のレコード契約を取り仕切ってたんだ。「OASISのレコードをどうしようか、これをどうしよう、どう進 めよう?」 - デビュー当時に戻った気分だよ、クリエイションにいた時みたいだ。でも大いに影響はあると思うね。プロデューサーのおかげでスムーズに進めることができ た。「いいか、完成できないなら、出さなきゃいいんだ」「それもそうだな、ソニーが仕切ってるわけじゃない。決定権は俺達にある。終わらなかったら出さな きゃいいだけの話だ。何だったらツアーだってしなくていい。全ては俺達次第」ってね。ツアーの予定が先に入っていたから、無理にアルバムを完成させた時も あったからな。俺達が予定の週に発売しなければ、マリア・キャレイにセリーヌ・ディオンが待ちかまえて、俺達は後回しってことさ。同じレーベルにいるとそ うなった。今聴きなおすと「ああ、この曲はもっとこうしたほうが・・・」、わかるだろ?だから今は自由を感じてるんだよ、「いいか、終わらないからって何 だ、どうでもいいさ。来年やればいいだろ、どうせ俺達期待されてないんだし(笑う)!」。
アルバムに収録されてる曲よりも良い出来でありながら、ボツにしたという楽曲群はどうするんです?
ノエル:さあね。アルバムをミキシングしている時、俺とゲムの2人だけで、他の部屋を使ってそういう楽曲をレコーディングしてたんだ。でもプロデューサー のデイヴに、こんなことはやめてバンド全体でレコーディングするべきだと言われてね。それでみんなでちょっとしたデモを作った。俺は「ちょっと待て」って 感じで、思ってたような出来じゃなかったが、それでも本当に最高の仕上がりだった。5,6つのコード展開が続く、どこまでもブルース調の曲さ。マディー・ ウォーターズみたいってわけじゃなく、モダン・サイケデリック・ブルースだな。でもこの先どうなるか誰にもわからねえだろ、他のバンドが「俺達今すぐ出し てもいいようなアルバムが2枚あるんだ」と話してるインタビューをよく目にするが、俺達だってそれくらいあるさ。いつだってね。ただ次に何をしようかまだ 決まってないんだよ。バンドがこれだけビッグになると、時々ポール・ウェラーがうらやましくなる。好きなようにやってるあいつがね。単に「ポール・ウェ ラー」を喜ばせるためだけにやってるんだよ。俺達となると、何かを計画するのに24時間ミーティングをして、「俺はこうしたい。ああしたい」。それでツ アーをやったり、家族と過ごすためのオフをとったり、次のアルバムを作るかソロ・プロジェクトに入るかでミーティングしてる間に、ゆうに5年は経っちまう んだ。時間ばかりが過ぎ去っていく。俺達やU2、Coldplayみたいなバンドを定期的に見ることができるのはそのせいなんだ。3,4年に1枚のペース でアルバムを出すのは、それが世界を回る唯一のチャンスだからさ。イギリスの普通のインディバンドですら、国内で数回、ヨーロッパで数回、アメリカで数回 で、8ヶ月もどぶに捨てるんだぜ、それに比べると俺達がツアーをすれば1年8ヶ月が消える。「3,4年も休むなんて」と、俺達のことを怠け者みたいに言う やつもいるが、それだけ処理に困る楽曲がそれだけたくさんあるってことなんだよ。
OASISの「民主主義的な」体制は上手く稼動しているようですね・・・
ノエル:そう言われるのは今回のアルバムが初めてだね。前のアルバムの時だって、提供してる楽曲の割合は同じだぜ。でも意識してやったことじゃない。ゲム とアンディがOASISに入った時にこう言ってあるんだ。「アイディアが浮かんだらいつでも言ってくれ」とね。最初はずいぶん手間取った、というのも2人 とも「OASISソング」を狙って書いてきたからだ。それで俺が「俺が書くような曲は書くな。自分で曲を書いてくれ。Roll With Itの焼き直しなんてするんじゃねえ、クズども」と言ったくらいさ。でも「Don't Believe The Truth」の頃には、悪い癖を直して、ユニークな曲を書くようになった。送られてきたデモを聴いて「本当に良い曲だ、やってみるべきだな」と思えた。他 の連中の言うことなんてどうでもいい、俺は2人の作品を気に入ってる。リアムのもね。レコードの一部に自分が貢献してるんだと思うと、嬉しいよ。アルバム を聴いてその曲自体を楽しむことが出来る。今じゃ「Morning Glory」や「Definitely Maybe」は聴かなくなってるんだ、特に「Morning Glory」は・・・あのアルバムの曲を聴くと・・ 速攻でレコーディングしたアルバムだからさ、12日前後で、馬鹿もせず。ヨーロッパツアーから戻って1日1曲ミキシングを済ませた。スタジオに行って1テ イクでレコーディングして、アウトテイクはなしの、文字通りデモの寄り集めさ。だからデモがないんだ。それだけのことだよ。今でも思うね、「ったく、ひで えなこの音は」ってさ。だからアルバムを聴くたびに、「Don't Look Back In Angerを明日レコーディングしなおしたら、ぶっ飛ぶ出来になるぞ」とか「Wonderwallを録り直ししたら、野暮ったさが抜けてもっとブルージー になるのに」と思うんだ。もっと時間をかけるべきだったんだよなあ。だから今のように、ゲムやアンディ、リアムの曲も入ったアルバムを聴くと、ベース・ド ラムなんかに気を取られずに、レコードそのものを素直に聴くことができる。他のみんなと同じように、OASISの音楽を楽しめるんだよ。それでも自分の曲 に差し掛かると、「何だよこれは、やかましすぎだろ!」と思うんだけど。だから「民主主義的」ってのは、わざとじゃない。自然とそうなったっていうかな。 バンドにとっては良い方向に進んでると思うね。
以前は、バンドを取り仕切るためのルールがあったそうですね。
ノエル:若気の至りだね。20代の頃って「蝿の王」みたくお互いに支配しようとするだろう。でも子供も出来て親になってみると、スタジオに入って「おい、 お前そんな弾き方してんじゃねえよ・・・」とは行かなくなるわけ。俺は以前のような喋り方で、ゲムやアンディに話しかけたりはしない。俺もずいぶんイカれ てたもんだよなあ(笑う)!昔は、よくそういう態度を取り沙汰されてね。それがファッキン栄光の日々の象徴だったんだ。でもボーンへッドやギグジー、リア ムが、俺のやり方に異論を唱えなかったことも事実なんだぜ。俺が「こうするぞ」と言うと「おっしゃる通りです」ってさ。年を重ねて子供を持った今では、ゲ ムやアンディにはそんな・・・トニー・マッキャロルにしてたみたいに話しかけたりはしないさ、誰に対してもね。ったく、今思うとあいつにはかなりひでえこ と言っちまったな!だから次にアルバムを作る時に、どうしても自分で全曲書きたいと思っても、そうはしないと思う。たぶんみんなも曲を作ってくると思うか ら。
サウンドを厚くすることに、熱を入れてるみたいですね。
ノエル:これだけは言わせてくれ、このレコードの方向性はデイヴ・サーヴィのアイディアなんだ。俺はスタジオの隅に座って、彼に好きにさせてただけさ。 「どうしてこの方向で行くのか納得が行くように説明してくれ」って感じでね。「The Turning」や「Bag It Up」は今じゃ最高の出来だけど、デモの段階ではそれほどでもなかった。ただの貧相なブルースに過ぎなかったんだよ。でもデイヴが「いや、この方向で」と 言うから、「分かった、何か考えがあるんなら、俺はいつでもそのステージに乗る準備はできてるぜ」と、答えた。俺はバンドの一員としてそこにいて、みんな とふざけてただけさ。いつもならミキシングデスクの上で頭をかきむしってたのにな、やつは素晴らしいよ。OASISが初めてアルバムを一任したプロデュー サーだ。もっと前から一緒にやっときゃ良かったよな。
若々しいサウンドです。
ノエル:うん、デイヴはL.A.に住んでるんだけど、アメリカのラジオで流れるあらゆるバンドの楽曲をミキシングしてるんだ。俺達より断然多くの曲を聴い てるんだよ。だからアルバムがフレッシュに聴こえたなら、その秘訣はデイヴが知ってる、いつも新しい音楽を聴いてるんだからね。「Falling Down」をやる時も、デモを聴いた段階で「これはかなり良いよ」と来た。デモだけでからもう頭の中に完成形があるのさ。「これはいい、俺は演奏すること を楽しめばいいんだ」と思った。
Electric Promsは楽しみ?
ノエル:先週の金曜の夜、マズウェル・ヒルにある誰かのキッチンでコーラス隊と一緒にリハーサルをしてからは、楽しみになったよ。16人しかいなくて、テ ノールやソプラノ、その中間が数名ずつだったんだけど、本番では50名になる予定さ。7曲一緒にやるんだけど、凄いぜ。マジで最高なんだ。
どんな感じになるんでしょう。
ノエル:そうだな、合唱隊は自分の服を着けてセットの途中から登場するんだ - 自分の洋服にするよう言ったんだよ。ミーティングの時に「どんな衣装を着けてほしい?」と言われて、俺が「衣装?いつもどういうのを着けてるんだ?」と聞 き返すと「いつもはみんな黒で統一してるよ」「いやいやいや、みんな仮装してくるかみんなカジュアルでくるかどっかにしてくれ」「へえ、自分の服でいい の?自分の服でいいらしいぞ!」とさ。リハーサルで集まった時には、「自分の洋服で良いなんて、君たちはなんて優しいんだ」とまで言うから、「いつも何着 けて歌ってるんだ?」と思ったぜ。ということで、合唱隊はセットの3分の1が終わったあたりから登場して、大曲を一緒に歌うのさ。
ひょっとして、ニューアルバムの曲を全曲やったり?
ノエル:いや・・・っていうか、ニューアルバムの曲で合唱が入るのはあったかな?いや、ないね。神々しい出来だぜ。ストリング・セクションみたいに歌うん だ。みんなで合唱さ。たとえば、簡単に言うとリハーサルはこんな感じかな、「いいか、俺達が演奏してるとみんな一緒に歌うよな。OASISはみんなで合唱 するロックンロールを作ってる、だからみんなで歌うんだ」。それで一旦解散して自由にやってもらい、月曜日にまた集合した - いくつか変える必要はあったけどね、というのも「I Am The Walrus」をやる時に、俺は「さて、ひたすらマッドに行くぞ、やりたいようにやってくれ」と言ったんだが、実際やってみると「やべえな、そこまでマッ ドじゃねえけど。それじゃダメだ。どうかしてる。でも完成したらすごいことになるぞ」と思ったね。
以前からPromsはやってみたかったの?
ノエル:俺個人では、昨年The Coralと一緒にやったよ、でも自分からやりたいと思ったわけじゃなかった。俺は違う世代だからさ、つまり「Live8に呼んでくれ!ブリット・アワー ドに呼んでくれ!ブリットに出たいんだ!」って連中とは違うってことだよ。イギリスのバンドはどいつもこいつも、ブリット・アワードの季節になるたびに、 どうにかショーに出ようと必死だろ。ノミネートされても行かないのは俺達くらいだな。だから違う、もう十分に成功してるし、そんなのに出る必要はないん だ。予定が空いてれば、Jools Hollandもやるが・・・今回も「Electric Promsに出してくれ」と頼んだわけじゃない。依頼が来たから「予定もないし、やってやるよ」とOKしたのさ。
BBCも粋な計らいをしますよね。
ノエル:確かにな。それに依頼されれば無下にあしらうわけにもいかない。BBCは素晴らしいと思うよ。どんなにコストがかかろうとも継続すべきだね。最高 のテレビ局、最高のラジオ局。最高、Radio1なしでは、この国のポップ・ミュージックは死に絶えるね。どこを見ても広告にファッキンセリーヌ・ディオ ンってことになるさ。Top Of The Popsもやってほしいよな、もし新しい番組をやるとしたら、ぜひTop Of The Popsを。でもBBCは本当に重要だよ、これまでのキャリアを見ても・・・この10年を見ても、色んな面で文化的に貢献してる。「The Office」みたいな番組とかさ。ITVと競いあって「Pop Idol」みたいな番組を作ろうとしてるのを見ると、ちょっとムカつくんだよな。「ITVなんてお前の敵じゃないだろ」と言ってやりたくなるんだ。「X Factor」とかそういうの、時代の流れだな、そう思うだろ。それに、ああいう番組が続くのも人々が求めてるからだ。誰も見ない番組をやるわけがないか らな。でも「Strictly Come Dancing」とか、なくても困らない類の番組。水泳選手が社交ダンスをする姿なんて見たくねえっての。まあそれでもBBCは良いね。イギリス国内から 出たことのない連中は、BBCが見れてどれだけラッキーなのか気づいてないのさ。あんな国営放送局がある国なんて他にないぜ。でも、BBCはフェスティバ ルを壊そうともしてる。「Live From Reading」とか「Live From T In The Park」とか・・・考えてもみろ、ジャック・ぺニャーテやQueens Of The Stone Ageが人気の世界で、エディス・ボウマンやゼーン・ロウがやってけると思うか?無理だね。テレビで、ジャック・ぺニャーテのインタビューを見たんだよ。 「昨夜、あなたの素晴らしいギグを見ましたよ、本当に素晴らしいセットです。みんなもノッてましたね、あなたは本当に素晴らしかった」。その2分後、今度 は「さて今度はQueens Of The Stone Ageの昨夜のギグだ、本当に素晴らしいですよ」と来ると、「ファックオフ!いいからファッキンスカイプラスの一時停止ボタンを押してくれ!」ってなこと やることになるのさ。そんなのってないだろう?ジャック・ぺニャーテかQueens Of The Stone Ageかどっちか選べなんてさ。俺ならどっちも許さねえ。見たくねえ。絶対にない、絶対に見ない。
それが、時代の流れってやつじゃあ・・・
ノエル:何もかも「最高」だと!俺はゼーン・ロウにも言ってるんだぜ、「おいおい、グラストンベリーで全部が全部最高なんてありえねえだろ!」。連中と一 対一で話せば、本音を言ってくれるぞ。全部最高なんてあるわけねえんだよ!週末ずっと座りっきりで752組のライブアクトを見て、どれも素晴らしいなんて さ、無理。どれか一つは絶対にクソだ。だからこういう風にやればいいんじゃないかな。俺が「ライブはどうだ?楽しめた?」。連中が「うん、とても良かった ね」「そうか?俺は違う意見だ。ちょっとばかしクソだったぜ、な?」。それでもやつらはフェスティバルを褒めまくる。今フェスティバルが絶滅の危機に瀕し てる理由がこれだ。それというのも、これまで長い間、グラストンベリーを経験するには、その場所に直接足を運ばなきゃならなかった。なのに今では行かなく てもいい。テレビで見れるしラジオで聴ける、自宅の裏庭でね。キッチンでやかんを火にかけながら体験できるんだぜ。テレビで見れる時代に、どうして会場ま で行って小便やクソだらけの芝生に腰を下ろそうと思う?ライブは生放送するべきじゃない。週末にハイライトを流すくらいに止めるべきだ。
今回のElectric Promsで、バート・バカラックと共演する予定は?
ノエル:できたらいいな。予定が空いてたら、ありえるかも。それとロビン・ギブ。「Mr Natural」以降は好きじゃないが、その前は最高だ。全部好き。Bee Geesとできるならどんな手段も厭わない。「Home Town Boys」とかね。最高だったよ・・・そして・・・連中はディスコに傾いてしまった。でも60年代の彼らは本当に良かった。その頃のはどれも良い。一度ロ ビン・ギブにこう言ったことがあるんだ、誰にでも言えるもんじゃないぞ、「最初の6枚はマジで最高」。他にこの言葉が当てはまるのはThe Beatlesとニール・ヤングくらいだな。ボブ・ディランは違う。つまり「最初の6枚は大好きだけど、残りはクソだね」って言えるのはってことさ。
以前、バートとは共演したことがありますよね?
ノエル:1995年にRoyal Festival Hallで一緒に歌ったよ。「This Guy's In Love With You」をやったんだ。ホテルのロビーで偶然出くわして、彼はイギリスで最初のツアーのためにやってきてたんだ。俺が「誰が歌うんだ?」と聴くと、「ゲス トを呼ぼうと思うんだ」と言う。さらに「This Guy's In Love With Youは誰か決まってる?」と聞くと、まだと言うんだ。だから「俺がやるよ。C#は俺のキーだ」と立候補したのさ。
あなたと会う前に、バートは「Definitely Maybe」を聴いていたんですか?
ノエル:ああ、1994年にL.A.に引っ越して、周りが「おい、OASISは聴いた?」と言ってばかりいたから、名前はしょっちゅう耳にしていたらし い。それで誰かからアルバムをもらったんだと。会った時にこう言われたよ。「君達のレコードを買って聴いたんだが、とても聴きやすい音楽だね」。へえ! 「聴きやすい」!バート・バカラックからその言葉を聴けるとは!
ジョニー・ロッテンから「パンクロック」と評価されるようなものですね。
ノエル:まさにその通り。それにそのギグに参加した、おかしなことに、ちょうどその時L.A.でジョニー・ロッテンと2日に渡って飲み歩いたんだ。崇高な 空間からそのまま馬鹿騒ぎに突入さ。48時間の間にジョニー・ライドンと遊びに行った後に、バート・バカラックで締めるみたいなもんだぜ。Sex PistolesとOASISは一緒にツアーするべきだなんて言いながら、その2日後に同じノリで、バート・バカラックに名曲を歌わせてくれと頼む。あの 時期がどれだけイカれてたかがわかるだろ。彼のどでかいスイートルームに行くと、角に白いグランドピアノがあった。その場には俺とバート・バカラックだ け。当時俺は27歳で、2年前にメジャー契約したばかりで、しかも二日酔いが残ってて、前歯半分は抜けてて、完全にトンでるドラッグ常用者面だった。一 方、相手は「Police Woman」のヒロインと結婚した男だ。俺は「なんて言えばいい?」とだけ考えていた。この前会った時にはべろんべろんに酔ってて口が止まらなかったんで ね。それでその時は、彼の方から60年代の話を始めたんだ。俺がビールを取りに行って戻ってくると、彼はピアノの前に座り「This Guy's In Love With You」のコードを弾いていた。そして「ここに座れよ」と言う。それで俺が隣に座ると今度は「一緒に歌って」と言う。一度歌い終わると、彼は「ほら、今の は最高だったからもっと良くなるぞ」と言ってくれた。その時はそれだけさ。俺は部屋から出て、夕方だったから、そのままグルーチョ・クラブに行って2日間 連続で飲んで騒いで、そして店から出てバカラックと一緒に歌ったんだ。何て生活だろう。みんなもそう思うだろ。時々そんな90年代を俺が楽しんでたことに 憤って、何もかも手にしてた俺のことを糾弾するやつもいる。でも俺自身にとってはいつもと変わらない日々だったんだ。「今日は何するんだ?」「信じないだ ろうが、バート・バカラックとジャムするのさ」。輝ける日々のとある一日に過ぎなかった。だから有名になったことで思い悩んでるやつの記事を読むと、なん て惨めで白けた野郎だと思うぜ。あんな連中の人生を濃縮しても、俺のとある一日の方が断然良いと思うね。最高だった。本当に最高だったんだ。栄光と富のこ とだが、俺はそれを手にすることにためらったりはしない。金を儲けることも恥ずかしいとは思わない。俺は今みんなからうらやましがられる地位にある。自分 で自分の曲を書いてきた、ホテルの部屋で色んなスタジオで。俺が書いたんだ、相応のものを受け取って何が悪い。ミドルクラス特有の罪悪感は俺にはない。カ トリック教徒の罪悪感もない。そんなの全部ポイだね。他のやつが遊んでる間に、俺がOASISから金を作り出したんだ。でも夜遊びすると決まったら、 パーっと騒ぐ、その後さらにパパーっと騒ぎとおしてやる。栄光やら名声やらスターの座やらを恥じたりしない。このために俺は生まれたんだ。エイミー・ワイ ンハウスを見てみろ、スターにふさわしくないという周りの声から自分を守るために、誰にも壊せない殻に閉じこもっちまってる。でも前にも言ったように、俺 の場合他の誰かの力でここまできたわけじゃない。全ての曲を書いたのは俺だ。他のやつの曲と似てるかもしれねえけど、訴えたいなら訴えればいいさ!(笑 う)。