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1994年の終わり頃、ノエル・ギャラガーはバンド・メンバーと共にアメリカにいた。彼が書き上げ、レコーディングされたばかりのアルバムは全英ですぐさまイギリスのアルバムチャートでNo.1を獲得し、イギリスの音楽史上最速で売れたデビュー・アルバムとなった。
しかし、ロサンゼルスでそんなことは大した意味を持たなかった。コンサートを完全に台無しにして、ドラッグ・カクテルや酒に没頭する弟の姿をノエルは目の当たりにする。
ノエルはパスポートを握り締め、空港に行き、誰にも話すことなく、飛行機に乗ってサンフランシスコへと飛び立った。OASISは彼らがかろうじて何かを始めようとする前に終わってしまったのだ。これが、それから幾度となく繰り返されることになる解散劇の始まりであり、OASISを定義づける謎に彩られた骨折と殴り合いの幕開けであり、ロックンロールの歴史で最も偉大なエピソードの一つである。
私達がインタビューに訪れた時、ノエルは、チャルフォント・セント・ガイルス(ロンドンから車ですぐの場所にある)にある豪華な自宅で、休暇を楽しんでいた。彼が弟のバンドに加入してから15年がたったが、OASISのアルバムは5千万枚以上の売り上げを記録し、名声と富を生み、瞬く間にロックンロール神話となった。
「バックカタログの素晴らしさを語り合って、ここまでの道のりの長さを話すことになるとは思ってもなかったよ」。
ノエルは、笑いながら騒がしいOASISの歴史を振り返り、バンドのグレイテスト・ヒッツ・アルバムである「Stop The Clocks」について話してくれた。
「失業手当を受け取らなくてよくなった時は、嬉しかったよ、本当に。ひょっとしたら金を稼げるかもしれないっていうことがね。ドラッグをやれるだけやって、楽しい時間を過ごすってわけ。ロックンロールは計画をたてたり目標を達成したりすることじゃないんだよ。自分がやりたいことをやるってことさ。もちろん、リアムはそれをやりすぎなくらい完全に実行してた。だけど、基本的な計画なんて本当に一切なかったんだ」。
1994年のデビューアルバム「Definitely Maybe」のリリースのおかげで、OASISのメンバー5人 - ギャラガー兄弟、ポール・“ボーンヘッド”・アーサーズ、ポール・”ギグジー”・マッギガン、そしてトニー・マッキャロル - は、二度と失業手当暮らしに戻ることはなかった。
変わり映えのない毎日の中で、堕落し、腐っていく人々にとって、このマンキュニアン達が作り出す音楽は、唯一現実から逃避する術だった。そして、OASISが静かに去っていくことは決してなかった。リアムががなりたてるあの有名な「Cigarettes & Alcohol」の歌詞のように。
「悩む価値なんてあるのか、仕事を探すことに。働く価値もないのに。狂った状況だよな。だけどおれに必要なのはシガレッツとアルコールだけ」。
その後、素晴らしいB面を含む6枚のアルバムをリリースしながら、OASISは走り続け、ロックンロールの荒波をかいくぐって来た。「(What’s The Story)Morning Glory」は、ブリット・ポップという言葉を作り、メンバーにあまるほどの大金を与え、「Be Here Now」では、敵意を持ったイギリスの音楽メディアの協力もあいまって大衆の支持を失い、昨年の素晴らしい「Don’t Believe The Truth」は彼らを再びヒーローへと押し上げた。
幾多の紆余曲折を経て、現在バンドのオリジナル・メンバーとして残っているのはノエルとリアムだけである。しかし、その二人の間には、兄弟愛の断片を見つけ出すことさえも難しい。
「あいつはただのちっぽけな馬鹿野郎だ」。ノエルは平然と話す。
「俺はあの馬鹿を4ヶ月見てないが、どこにいようといつものように間抜けな面さらしてるだけさ。これだけは言える。本当に、あいつは俺のことを好きじゃないんだ。そして俺は、あいつがどんなに馬鹿だろうが構やしないね」。
乱痴気騒ぎとタブロイドの宣伝に隠れがちだが、OASISはいつだって単純に最高のロックンロール・バンドだった。ポップの司令塔であるノエル、形容しがたいロック・スターであるリアム。二人が揃えば誰にも止められない。そして「Stop The Clocks」に収められた卓越した18曲がステレオの両側から爆発するのを聴けば、証明はそれだけで十分だろう。「Rock N Roll Star」、「Wonderwall」、「Slide Away」、「Cigarettes & Alcohol」、「Live Forever」、「Supersonic」、「Don't Look Back In Anger」。挙げ始めればきりがない。
「俺達は、嘘をつかない」。
ノエルはバンドが成功し続ける秘訣をそう表現した。
「みんな、俺達と一緒に浮き沈みを経験したんだと思う。そして何より良い音楽がそこにあった。それと、OASISはありのままを見せるってことかな。たまにロック・スターをテレビで見るんだけど『ほんとニセモノばっかだな』って思うんだよ。俺達にそんなことはない。とにかく何でもいいから質問してみろよ。一切嘘は言わないと約束しよう」。
「俺が思うに、もしOASISがいなかったら90年代はもっと退屈なものになってただろう」。
21世紀でもそれは変わらない。彼らだけが90年代に再び音楽を面白くしたわけではないが、バンドの影響は海を越えて広がり、現在のロックシーンでJetやKillersのような多様なバンドが台頭してきたことが、OASISの重要性を明白にしている。
来年の5月に40歳を迎えるノエルは、年老いたロックのステイトマンという運命を、喜んで受け入れているようだ、今は新作の製作を進めているが、そのリリースはわりあい「遅く」なるという。彼は、天才的なロックのワルガキ時代が過ぎ去ったことを、つつましくも認めた。
「根本的に、ロックは若い奴らのためのものだ」と、ノエル。
「だからいい年になったら、ロックンロールであることをやめるのさ。ロックンロールってのは、悪いことをしたり、とんがって生きたり、革のジャケットを着たり、ドラッグを常習したり一日中ジャック・ダニエルを飲んだりすることじゃない。そういうことをすればいかにもって感じはするけどな。その通り。だけど、何よりもまず若さなんだよ」。
「年をとればたくさんの重荷を背負うだろうし、音楽は人生で唯一重要なものではなくて、数ある重要なものの一つになってるはずさ」。
「6人の子供と5つの家を持つ50歳より、一つのエレキ・ギターとたくさんのファッキンアイディアを持ってる24歳のガキの方が、ずっと面白いんだよ」。
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1994年の終わり頃、ノエル・ギャラガーはバンド・メンバーと共にアメリカにいた。彼が書き上げ、レコーディングされたばかりのアルバムは全英ですぐさまイギリスのアルバムチャートでNo.1を獲得し、イギリスの音楽史上最速で売れたデビュー・アルバムとなった。
しかし、ロサンゼルスでそんなことは大した意味を持たなかった。コンサートを完全に台無しにして、ドラッグ・カクテルや酒に没頭する弟の姿をノエルは目の当たりにする。
ノエルはパスポートを握り締め、空港に行き、誰にも話すことなく、飛行機に乗ってサンフランシスコへと飛び立った。OASISは彼らがかろうじて何かを始めようとする前に終わってしまったのだ。これが、それから幾度となく繰り返されることになる解散劇の始まりであり、OASISを定義づける謎に彩られた骨折と殴り合いの幕開けであり、ロックンロールの歴史で最も偉大なエピソードの一つである。
私達がインタビューに訪れた時、ノエルは、チャルフォント・セント・ガイルス(ロンドンから車ですぐの場所にある)にある豪華な自宅で、休暇を楽しんでいた。彼が弟のバンドに加入してから15年がたったが、OASISのアルバムは5千万枚以上の売り上げを記録し、名声と富を生み、瞬く間にロックンロール神話となった。
「バックカタログの素晴らしさを語り合って、ここまでの道のりの長さを話すことになるとは思ってもなかったよ」。
ノエルは、笑いながら騒がしいOASISの歴史を振り返り、バンドのグレイテスト・ヒッツ・アルバムである「Stop The Clocks」について話してくれた。
「失業手当を受け取らなくてよくなった時は、嬉しかったよ、本当に。ひょっとしたら金を稼げるかもしれないっていうことがね。ドラッグをやれるだけやって、楽しい時間を過ごすってわけ。ロックンロールは計画をたてたり目標を達成したりすることじゃないんだよ。自分がやりたいことをやるってことさ。もちろん、リアムはそれをやりすぎなくらい完全に実行してた。だけど、基本的な計画なんて本当に一切なかったんだ」。
1994年のデビューアルバム「Definitely Maybe」のリリースのおかげで、OASISのメンバー5人 - ギャラガー兄弟、ポール・“ボーンヘッド”・アーサーズ、ポール・”ギグジー”・マッギガン、そしてトニー・マッキャロル - は、二度と失業手当暮らしに戻ることはなかった。
変わり映えのない毎日の中で、堕落し、腐っていく人々にとって、このマンキュニアン達が作り出す音楽は、唯一現実から逃避する術だった。そして、OASISが静かに去っていくことは決してなかった。リアムががなりたてるあの有名な「Cigarettes & Alcohol」の歌詞のように。
「悩む価値なんてあるのか、仕事を探すことに。働く価値もないのに。狂った状況だよな。だけどおれに必要なのはシガレッツとアルコールだけ」。
その後、素晴らしいB面を含む6枚のアルバムをリリースしながら、OASISは走り続け、ロックンロールの荒波をかいくぐって来た。「(What’s The Story)Morning Glory」は、ブリット・ポップという言葉を作り、メンバーにあまるほどの大金を与え、「Be Here Now」では、敵意を持ったイギリスの音楽メディアの協力もあいまって大衆の支持を失い、昨年の素晴らしい「Don’t Believe The Truth」は彼らを再びヒーローへと押し上げた。
幾多の紆余曲折を経て、現在バンドのオリジナル・メンバーとして残っているのはノエルとリアムだけである。しかし、その二人の間には、兄弟愛の断片を見つけ出すことさえも難しい。
「あいつはただのちっぽけな馬鹿野郎だ」。ノエルは平然と話す。
「俺はあの馬鹿を4ヶ月見てないが、どこにいようといつものように間抜けな面さらしてるだけさ。これだけは言える。本当に、あいつは俺のことを好きじゃないんだ。そして俺は、あいつがどんなに馬鹿だろうが構やしないね」。
乱痴気騒ぎとタブロイドの宣伝に隠れがちだが、OASISはいつだって単純に最高のロックンロール・バンドだった。ポップの司令塔であるノエル、形容しがたいロック・スターであるリアム。二人が揃えば誰にも止められない。そして「Stop The Clocks」に収められた卓越した18曲がステレオの両側から爆発するのを聴けば、証明はそれだけで十分だろう。「Rock N Roll Star」、「Wonderwall」、「Slide Away」、「Cigarettes & Alcohol」、「Live Forever」、「Supersonic」、「Don't Look Back In Anger」。挙げ始めればきりがない。
「俺達は、嘘をつかない」。
ノエルはバンドが成功し続ける秘訣をそう表現した。
「みんな、俺達と一緒に浮き沈みを経験したんだと思う。そして何より良い音楽がそこにあった。それと、OASISはありのままを見せるってことかな。たまにロック・スターをテレビで見るんだけど『ほんとニセモノばっかだな』って思うんだよ。俺達にそんなことはない。とにかく何でもいいから質問してみろよ。一切嘘は言わないと約束しよう」。
「俺が思うに、もしOASISがいなかったら90年代はもっと退屈なものになってただろう」。
21世紀でもそれは変わらない。彼らだけが90年代に再び音楽を面白くしたわけではないが、バンドの影響は海を越えて広がり、現在のロックシーンでJetやKillersのような多様なバンドが台頭してきたことが、OASISの重要性を明白にしている。
来年の5月に40歳を迎えるノエルは、年老いたロックのステイトマンという運命を、喜んで受け入れているようだ、今は新作の製作を進めているが、そのリリースはわりあい「遅く」なるという。彼は、天才的なロックのワルガキ時代が過ぎ去ったことを、つつましくも認めた。
「根本的に、ロックは若い奴らのためのものだ」と、ノエル。
「だからいい年になったら、ロックンロールであることをやめるのさ。ロックンロールってのは、悪いことをしたり、とんがって生きたり、革のジャケットを着たり、ドラッグを常習したり一日中ジャック・ダニエルを飲んだりすることじゃない。そういうことをすればいかにもって感じはするけどな。その通り。だけど、何よりもまず若さなんだよ」。
「年をとればたくさんの重荷を背負うだろうし、音楽は人生で唯一重要なものではなくて、数ある重要なものの一つになってるはずさ」。
「6人の子供と5つの家を持つ50歳より、一つのエレキ・ギターとたくさんのファッキンアイディアを持ってる24歳のガキの方が、ずっと面白いんだよ」。


